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[訃報]“ニューエイジ・ミュージックの父”と呼ばれたポール・ホーンさん逝去

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

JAZZ GREAT AND FATHER OF NEW AGE-WORLD MUSIC, PAUL HORN, PASSES AT 84

Internationally acclaimed musician and recording artist Paul Horn passed away Sunday morning, June 29 after a brief illness. He was 84. Horn is survived by his wife Ann Mortifee, his sons Robin and Marlen, stepson Devon, 4 grandchildren- Brittany, Tyler, Jonah, Ana- and daughters in law Robin, Alison and Beth. The family has been overwhelmed by the outpouring of love and support from people around the world who admired Horn as a musician and respected him as a man of great integrity and deep philosophical principles. A private memorial-celebration of life is being planned.

引用:Paul Horn Official Site

ポール・ホーン『インサイド』
ポール・ホーン『インサイド』

“ニューエイジ・ミュージックの父”と呼ばれ、マイルス・デイヴィスに「彼は楽器がそう鳴るべきサウンドを演奏する」と言わしめたフルート奏者のポール・ホーンさんが亡くなられました。享年84歳。

1930年米ニューヨーク生まれ。4歳でピアノ、10歳でクラリネット、12歳でサックスを演奏するようになった彼は、オハイオ州にある名門オバーリン音楽院でクラリネットとフルートを学び、マンハッタン音楽学校で修士号を取得しました。

ロサンゼルスに拠点を移して、チコ・ハミルトン・クインテットに参加したのが1956年。しばらくはウエスト・コーストのジャズ・シーンでセッション・ミュージシャンとして活動を続けます。

1970年には家族を連れてカナダ・ブリティッシュコロンビア州の州都ヴィクトリアへ移住。自分のクインテットを結成して、ザ・ビートルズも同時期に訪れていたヨガの聖地であるインドのリシケシュで得たインスピレーションを具現化するサウンドを追究するようになります。

1998年には、チベット仏教の中心であるポタラ宮で西洋人で初めて演奏を許されました。彼の精神世界への追究がチベット仏教と深く結びついていたことを評価されてのことだったと言われています。

♪Inside Paul Horn

ポール・ホーンさんの活動を紹介する映像。本人へのインタビューやコメント入りです。

♪Paul Horn Mirage for Miles

ウエストコーストで活動していた時期のアルバム『The Sound of Paul Horn』(1961年)収録曲。マイルスの「ソー・ホワット」へのオマージュではなかろうかと思わせるサウンドですね。クール・ジャズ、ウエストコースト・ジャズを基調としたサウンドですが、すでに瞑想的なニュアンスが色濃く漂っているのが伝わってきます。

ご冥福をお祈りします。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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