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南海トラフが起きたら起こること東京の深夜が46.2度!?巨大地震の過去から学び猛暑と地震に備えよう

おりえ総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

今南海トラフ地震が今の猛暑で起きたら起こる事

昨日、宮崎でマグニチュード7.1の地震が発生したのを受けて、気象庁は南海トラフ巨大地震に対する「巨大地震注意」を発表しましたね。
猛暑が続く中、実際に南海トラフ地震が起きたら都市などはどうなるのでしょうか?
皆さんは想像できますか?

首都直下型地震とは被害想定が違いますが、今回は猛暑にも視点を当てたいので、101年前の9月1日に起きた関東大震災を例に挙げて考えてみます。
この記事は恐怖や買い占めを煽るためではなく、この暑さでの実際の被害を想定して今どんな準備をするべきかの参考のために書いています。

101年前の現実、災害直後に千代田区が46.2度!

実は、101年前の関東大震災(9月1日)の時、東京の千代田区(今の大手町付近)では夜中の1時で外気が46.2度という驚異的な気温が観測されました。これは火災旋風という火災が引き起こす強風の熱風や炎の竜巻が原因で、東京だけで火災旋風が111個も発生したことが影響して高温の地域が増えたことを示しています。
もちろん火災旋風自体非常に恐ろしいものですが、それを逃れた後の被害もこのような状況が起こる可能性があります。しかも火災旋風が起きた地域ではライフラインが通常通り稼働しているとは考えにくいのです。
そうした場合、外の気温が46,2度どころではないのは容易に想像できますよね?
エアコンが使えないどころか水も出ないなど、危険だと思いませんか?
今年の猛暑の中私たちはそのような想定をしながらしっかりと熱中症対策などにも備えておく必要があります。

南海トラフ地震とは? 宮崎のマグニチュード7.1地震を受けて

今回の宮崎の地震で南海トラフの想定震源域で大規模地震の可能性が相対的に高まったと発表されています。では改めて南海トラフ地震について少しおさらいをしたいと思います。
まず南海トラフ地震は、東海地方から四国、九州にかけての広い範囲で発生する可能性のある大規模な地震のことです。そして巨大地震(マグニチュード8~9)が心配されています。このような地震が起きると家屋の倒壊や津波、火災が発生し、多くの人命が危険にさらされます。ここまではほとんどの方がご存じだと思います。
では想定されている被害について見てみましょう。

火災と津波のリスク、南海トラフ地震での想定被害

南海トラフ地震が発生すると避けられないと予測されているのが火災や津波です。1946年の昭和南海地震でも火災や津波により大規模な被害が発生しました。さらに、内閣府の資料によると、南海トラフ巨大地震では最大で約32万3千人がそのような様々な原因で死亡すると深刻な予測がされています。

巨大地震(南海トラフ)の被害予測
震度分布、津波高
•震度7:127市町村
•最大津波高10m以上:79市町村
死者・行方不明者数、全壊焼失棟数
•最大約32.3万人(冬・深夜に発生した場合の想定)
•最大約238.6万棟(冬・夕方に発生した場合の想定)
ライフライン、インフラ被害
•電力:停電件数最大約2,710万軒
•通信:不通回線数最大約930万回線
生活への影響
•避難者数:最大約950万人
•食糧不足:最大約3,200万食(3日間)

参考資料:内閣府HP 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループにおける検討状況について

猛暑と停電の脅威、地震後の生活を想定する

猛暑の影響

地球温暖化の影響で、現代の夏は最初にお伝えした関東大震災の101年前の気温よりさらに暑くなっています。特に高齢者や子供は熱中症になりやすく、このような環境で避難所生活が始まると「災害関連死」のリスクが高まります。

停電の影響

地震の影響で停電が発生すると、エアコンが使えず、室内温度が急上昇します。地震直後は約5割の地域で停電が起き、その影響が1週間以上続く可能性もあります。これにより、熱中症や脱水症状のリスクがさらに高まりますよね。

もちろん津波、倒壊などの危険もありますが、今年、現在の状況で懸念される問題で見逃しがちな問題の一つが「猛暑と火災による高温」だと思っています。

買い占めに対する注意点と備え

私たちができる備えはやはり効果的です。ただし本当に注意していただきたいのが買い占めです。
本来は平常時に購入するべきものですが、「巨大地震注意」が発令されている今、買い物をするのであれば、まずは多くの人に行き渡るように買い占めないで必要なものを手に入れて準備していただきたいと思います。
ではどんな準備をすればいいか猛暑も考慮した備えをお伝えします。

•防災グッズの準備: 水や非常食、救急セット、懐中電灯、防災ラジオなどを用意します。やはり基本の防災セットは命綱となります。非常食は暑い時期は食欲も減りますのでゼリーなどもおすすめです。

•家族の避難計画の打合せ 家族全員で避難経路や集合場所を確認し、実際に避難訓練や徒歩移動での確認などシュミレーションを行うと安心です。

•猛暑対策 室内でも涼しく過ごせるよう、扇風機やクールペーパーなど冷却グッズを準備しましょう。エアコンだけに頼ると停電の時の対処に本当に困ります。

停電に備えてカセットコンロの準備 停電時でも食品に火を通したり湯を沸かすことができ、食中毒の予防や衛生面で役に立ちます。

蓄電池と太陽光パネルの準備  太陽を利用して電力を確保し、停電時でも電力を使用できます。暑いからこそ電力が取れやすいこちらは太陽パネルは必須です。

•冷凍庫の空きスペースを活用 実は冷凍庫の空きスペースは詰めておいた方が節約にもなります。冷凍庫用のペットボトルの水などを入れて、冷凍庫は隙間なく埋める。電力の節約といざという時の保冷の確保をしておきましょう。

経口補水液やスポーツドリンクは砂糖と塩があれば自分で作れる!

また、塩や砂糖、水で簡単に経口補水液が作れます。スポーツドリンクが欲しい方は避難用に粉のタイプが便利です。被災地での配給の水に混ぜることもできますし、本当にいざという時は舐めて粉のまま食べても塩分と糖分の補給になります。
こちらの記事に作り方を紹介していますので参考にしてください。
猛暑対策!3つの材料で作るスポーツドリンクと経口補水液で簡単節約の熱中症予防。

基本の防災の他に準備して欲しいもの

私がよくお伝えする一部ですが眼鏡、抗菌目薬(被災地は粉塵で結膜炎が増えます)、生理用品、口腔ケア、常備薬や持病などの薬、お菓子や飴です。こちらも忘れないようにご準備ください。
買い占めないで心構えはしっかり準備する

今回は南海トラフの「巨大地震注意」を受け、現代の関東大震災の都心の気温上昇を考慮して、心構えに入れて欲しい地震の対策と猛暑のダブルパンチに備える考え方や準備をお伝えしました。

また、台風シーズンでもあるのでその対策も暴風や防水を意識するなど風水害も念頭に入れていただければと思います。
災害は怖がりすぎる必要はありませんが、想定して心構えしておくことは大切ですよね。

ぜひこの機会に、家庭での備えを確認し、安心して生活できる環境を整えておいてほしいと思います。ただし!いざという時に焦って買い占めはせず平常時に備える日頃からの準備と心構えが自分や家族を守ることだという事を、今だからこそ多くの方に考えていただけたらと思います。


大勢が日頃の備えをしていることで、スーパーなどから物が消えず、その時必要な人に必要な分がしっかり行き渡る事につながります。
地震の可能性が高い今、必要以上に怖がったり焦ったりせず、みんなで協力し合って今できる備えができたら、少しでも被害を減らせるのではと思っています。

総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

防犯・防災グッズ記事ランキング監修も手がける専門家。常識にとらわれない怖くない危機管理の考え方で講演会やメディア、セミナー、イベントなど幅広く活動。生活の中ですぐに取り入れられる対策や動き方、便利なグッズを提案。大学や企業向けに行う座学と実技のダイバーシティ系セミナーは防災、防犯だけでなくハラスメント対策など、身を守るために役立つと高いリピート率。 防犯整備士、危機管理士(自然災害・社会リスク)非常食研究家。 逃げるための護身術指導者、元硬式空手世界チャンピオン。 日本災害危機管理士機構、日本防犯設備士機構所属。

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