春本番の陽気 なのに宮城県になだれ注意報が発表されないワケ
北日本でも春本番の陽気
きょう19日(月)は九州で春一番が発表され、全国的に季節外れと言える程の暖かさになりました。宮城県においても日中は18度前後と4月下旬から5月上旬並みの暖かさになり、また北海道でも最高気温は10度を上回った所が多く「雨水」の暦通りに降るものは雨となっています。(雨水=二十四節気の一つで、降るものが雪から雨に変わる頃)
こうして気温が上がると北日本や北陸で注意が必要になるのがなだれです。気象庁は北日本の広い範囲になだれ注意報を発表していますが、よく見ると宮城県だけ1自治体も発表されていません。
これだけ気温が上がっているにも関わらずなだれ注意報が発表されないのは、今季があまりに暖冬過ぎたために起こっている現象です。
なだれ注意報の発表基準
注意報や警報の発表基準は地域ごとに異なった数値が設定されています。宮城県の場合、なだれ注意報の発表基準は2つあり ①山沿いで24時間に40cm以上の雪が降った時 と ②積雪が50cm以上で、日平均気温5度以上の日が継続した時 となっています。①は新雪なだれに対する基準、②は融雪に伴うなだれに対する基準です。
雪らしい雪はしばらく降っていないので①の条件が当てはまらないのは理解できます。ただ宮城県の日平均気温はゆうに5度を上回っているにも関わらず②の基準でも注意報は発表されていません。
これは雪がなさすぎるためです。19日19時現在、県内で唯一積雪を観測している駒ノ湯アメダス(標高:525m)の積雪はわずか11cm。②の「積雪が50cm以上で」を大きく下回っているのです。
ちなみに昨年の今頃は1m以上の積雪を観測していましたのでいかに少ないかがお分かりいただけるかと思います。すなわち宮城県においては「なだれが起こる心配もないほど雪が積もっていない」ということを意味します。
懸念される水資源
なだれ災害の心配がないというのは喜ばしいことではありますが、今の時季で注意報が出ないほど雪が少ないということは別の問題をもたらします。水です。
先日の記事にも書きましたが、東北地方においては冬に降り積もる雪は夏に向けての水資源になります。
今はまだ宮城県内のダムの水が即座になくなる程ではありませんが、春先には農業用水などで大量の水が必要になります。もし今の状況が改善されないままならば、水資源の動向に注意が必要となりそうです。