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藤井聡太竜王(22)4連覇か? 佐々木勇気八段(30)初戴冠か? 10月5日、竜王戦七番勝負開幕

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月5日・6日。東京都渋谷区・セルリアンタワー能楽堂において、第37期竜王戦七番勝負第1局・藤井聡太竜王(22歳)-佐々木勇気八段(30歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。


若き絶対王者・藤井竜王


 藤井竜王は2021年、豊島将之竜王(当時)に挑戦し、初の竜王位を獲得。以後、広瀬章人八段、伊藤匠七段(肩書は当時)の挑戦をしりぞけ、3連覇中です。

 藤井竜王は今期、来期と防衛を続け、連続5期獲得となれば、渡辺明九段、羽生善治九段に続いて、史上3人目の永世竜王資格者となります。

 藤井竜王(七冠)は今期竜王戦が27回目のタイトル戦番勝負登場となります。これまでは26回のうち25回制覇という、信じられないような、圧倒的な戦績を収めています。


 今年度は叡王戦五番勝負で伊藤匠七段に叡王位を明け渡し、八冠制覇は崩れたものの、名人、棋聖、王位、王座は防衛して七冠を堅持。2日制のタイトル戦でいまだ敗退したことがありません。

 将棋界の2024年度も前半が終わりました。藤井竜王のここまでの成績は18勝5敗(勝率0.783)です。

 王座戦五番勝負では3連勝ストレートで永瀬拓矢九段の挑戦をしりぞけました。現在は8連勝中。竜王戦七番勝負も万全に近い状態で臨めるものと思われます。

天才・佐々木八段、ついに大舞台登場


 佐々木八段は今期竜王戦2組で三浦弘行九段、阿部健治郎七段、八代弥七段、郷田真隆九段を連破して、決勝トーナメントに進みました。


 決勝トーナメントでは久保利明九段(1組3位)、佐藤康光九段(1組2位)に勝利。挑戦者決定三番勝負では広瀬九段(1組4位)に2連勝して、挑戦権を獲得しました。


 佐々木八段は今回が初のタイトル戦登場となります。幼少時の頃から「天才」と呼ばれ続けてきた佐々木八段。ついに満を持して、大舞台への登場を決めています。才気あふれる指し回しに磨きにかかる一方、最近ではわるくなっても容易に土俵を割らない粘り強さも備わってきたようです。


 佐々木八段の今年度成績は15勝2敗(勝率0.882)です。


 直近では王将戦リーグで近藤誠也七段に敗れ、連勝は10で止まったものの、今年度前半の戦いぶりは、絶好調そのものといえそうです。

熱戦は必至

 藤井竜王と佐々木八段の過去の対戦成績は、藤井4勝、佐々木2勝です。


 初手合は2017年の竜王戦決勝トーナメントでした。


 藤井四段(6組優勝)がデビュー以来負けなしで29連勝という奇跡のような新記録を打ち立てたあと、佐々木五段(4組優勝)がその前に立ちはだかりました。


 結果は佐々木五段の勝ち。藤井四段の連勝記録はついにストップしました。


 NHK杯では2年連続で決勝で対戦。2022年度は藤井竜王、23年度は佐々木八段が勝っています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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