北朝鮮「ジャガイモ配給停止」で大量餓死の危機
気候的に稲作ができるところが限られている北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)。主要な農産品と言えばジャガイモだ。
ところが、今年は凶作となり、収穫量は昨年の半分に満たない結果となった。その影響は、より貧しい人々を苦しめている。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
恵山(ヘサン)市では10月25日から、毎年恒例のジャガイモの配給が始まった。年老保障世帯、つまり定年退職して年金生活をしている人には、1世帯あたり200キロから300キロのジャガイモが配給されていた。職場で配給されるものや、市場で販売されているものに比べると小さめのものだったが、それでも量は保証されていた。
この地方では昔からジャガイモで作った餅、麺、チヂミなどが食べられてきたことから、コメがなくともジャガイモさえあれば、長い冬も乗り越えられた。また、売って現金化して別のおかずを買うこともできた。
ところが、去年から配給量が70キロに減らされ、今年は全く配給されなかったのだという。
(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
一昨年までは、配給されたジャガイモを見て、やれ小さいだの、やれ量が少ないだの、文句を言っていた年金生活者だが、今年は全くもらえなかったため、大騒ぎとなっている。
市場でのジャガイモ価格も上昇傾向にある。昨年は最高で1キロ1700北朝鮮ウォン(約31円)だったのが、今では2000北朝鮮ウォン(約36円)まで上がった。大凶作となったため、売る人はほとんどおらず、買おうとする人のほうが多いため、価格はさらに上がると見られている。
年金生活者とは言っても、支給されるのは月わずか700北朝鮮ウォン(約13円)。それすらも支給が一時止まっていた。現在、再開されたのかは不明だが、そうなったとしても生活の足しになる金額ではない。
来年は、今年以上の凶作になるのではないかとの噂が流れるなど、現地には非常に重苦しい空気が流れているという。
「ジャガイモ配給を全く受け取れなかった年老保障者世帯は、今年の秋から食糧難がさらにひどくなるだろう。餓死する人も続出するだろう」(情報筋)