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「スイッチ2(仮)」の性能はSteam Deck並み、サードパーティのAAAタイトルも続々登場か

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:Splash/アフロ)

Nintendo Switch後継機、通称「スイッチ2」に関する話題は、今では「どれだけの性能が出るか」に集中しています。その基準となるのが、人気携帯ゲーミングPCの「Steam Deck」です。

決して高性能ではないが、大手ゲーム配信プラットフォームSteamを運営するValveが手がけており、あらゆるAAAゲームが動く最低限の目安となっているためです。たとえば『ELDEN RING』も遊べますし、『Grand Theft Auto V』もグラフィック設定を低めにすれば十分に動いたりします。なにより、価格が約6万円~でスイッチに最も近くて手頃です。

まずスイッチ2の単純な処理能力は、PS4並みとの見方がもっぱらです。数年前の車載用チップ(Tegra Orin)をベースにしていたり、基本的に本体は携帯ゲーム機の小さなボディのために熱容量も限られ、バッテリーをドカ食いするわけにもいかないので、基本のチップ性能は抑えざるを得ない。

が、そこに「粗く描いておいて、AIにより高解像度に見せかける」DLSS(超解像技術)や光を描写するレイトレーシングなど最新の技術で加えることで、グラフィックを現代的な水準とする。

さらには据え置き時にはGPUのクロック数を引き上げつつ、冷却ファンを内蔵したドックで発熱を解決し、高倍率ブーストをかける。そうして何重にもゲタを履かせれば、Steam Deckにも匹敵するとの予想が有力となっています。

その一方で、インディーゲームスタジオAlderon Gamesの創設者Matthew Cassells氏は、スイッチ2やゲーム専用機ならではの事情から、性能に縛りがあるとも語っています。同社は、インテルの第13~14世代CPUがクラッシュするとプレイヤーに警告を発したことが話題を呼んでいました

制約の1つは、ゲーム機にはコピー防止のため、セキュリティや暗号化をシステムに組み込む必要があること。非公式エミュレータを相手に莫大な和解金を支払わせた訴訟でも、暗号化は裁判の主な争点となっていました。素のデータをそのまま読み込めるわけではなく、負荷が掛かるわけです。

また、現行のスイッチにも内蔵ストレージを消耗させないため、書き込めるデータ量が限られていたり、パッチ(アップデート)サイズの制限も厳しい。噂のPS5 Pro(仮)では高速で読み書きできるストレージが大きな強みになるとみられますが、スイッチ2は任天堂ハードゆえのハンデを背負い込むのも避けがたいでしょう。

初代スイッチを無視した大手サードパーティが大作を投入か

写真:REX/アフロ

超強力ハードとはいかないスイッチ2ですが、少なくとも発売直後は、遊べる大作ゲームには不自由しなさそうです。任天堂のファーストパーティタイトルばかりか、サードパーティのAAAゲームが続々とやって来るとの噂も出ていたりします。

1つは、マイクロソフトが世界的な超人気シリーズ『Call of Duty』の最新作を10年間、任天堂ハードに提供すると約束していることです。

これは同社がアクティビジョン・ブリザードを買収してCoD(略称)をゲットしたが、Xboxに独占するつもりはありません……と規制当局に対する言い訳じみた面もあります。

もっとも、アクティビジョンのボビー・コテック元CEOは初代スイッチにCoDシリーズを投入しなかったことを「判断を誤った」「おそらく、史上2番目に成功したビデオゲーム機だ」と後悔を語っていました。その後継機にSteam Deck並みの性能があるなら、口先だけでなく本当にCoD新作を出す気が満々でしょう。

もう1つは、著名ライターのPaul Gale氏が「2017年のスイッチ発売当時はAAAタイトルを出していなかった大手サードパーティ開発数社が、任天堂の次期システム向けに発売同時期の大作リリースに取り組んでいる」と述べていることです。

これ以前にアトラス関連で実績あるリーカー(『ペルソナ5 タクティカ』のタイトルやDLCを的中)が『ペルソナ3 リロード』がスイッチ2向けに移植中と主張していたこともあります

その一方で、発売直後は山ほど移植タイトルが出るものの、競合他社ハードの進化に取り残されて、性能に差が付きすぎて移植が再び出なくなる……という悲観的な見方もあります

そうは言っても、PS6(仮)や次世代Xboxは2028年以降になるとは、マイクロソフト自らが(裁判資料のなかで)述べていたことです。それはスイッチ2発売からおそらく3年後であり、それ以降は任天堂のファーストパーティタイトルを遊べばいいということで、迷わず買ってもよさそうです。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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