夕やけだんだん近くにある「大島酒店」。店の外の酒瓶ケースを椅子代わりにし、常連客が談笑している姿をよく見ました。その「大島酒店」が最初に閉店したのは2021年10月でした。閉店の理由は高齢の店主の体調不良でした。

しかし、その後「大島酒店」を愛する常連客の要望により店先で飲めるようになりました。外にあった自動販売機や店内の大型冷蔵庫は処分され、常連客が飲む分だけ店内で提供されました。お酒の種類は少なくなりましたが、店先で道行く人々を眺めながら飲む1杯は格別な味だったでしょう。

このまま「大島酒店」で飲める日々が続くと思われましたが、11月15日に閉店したと知りました。

閉店した様子を見ようと11月19日に「大島酒店」に向かいました。
「大島酒店」に到着すると真ん中のシャッターが上げられていました。椅子代わりの酒瓶のケースも整然と並んでいます。店内に店主がいたので話を聞きました。
「おっしゃる通り閉店しました。今日はたまたま開いていますが。」ということでしたので、また、店が開く日があるのか質問しました。
「あと2、3日程度なら。いつ立ち退くのか、今後どうなるかは分からないわ。」という返事でした。運よくお店は開いていただけでした。

今後、「大島酒店」で飲めることはないだろうと思い、店先で飲んでいいか店主に聞きました。
「もちろん、どうぞ。お酒はあそこにある冷蔵庫にしかないけど。生ビールはもうないわ。」店内には小さな赤い冷蔵庫があり、缶チューハイなどが多少ありました。缶チューハイを1つ購入し酒瓶ケースに座り、通りを行く人々を懐かしい気持ちで眺めました。店を背に右へ行くと夕やけだんだん。左へ行くと日暮里駅です。この光景を常連客と語らいながら眺めることはもうないでしょう。とても残念です。

「大島酒店」の近辺は古い建物が順次取り壊され更地になっています。日暮里は静かに変わっていきます。

【店舗情報】
「大島酒店」（閉店）
住所　東京都荒川区西日暮里3-10-6