改ざん犠牲者の妻から「総理への手紙」 国会で全文読み上げへ
財務省の公文書改ざん事件で犠牲になった職員の妻が、岸田総理大臣に出した手書きの手紙。大きな反響を呼ぶその全文が、あす11日、国会の代表質問で読み上げられることになった。立憲民主党の辻元清美副代表が自身の質問の中で読み上げ、岸田総理大臣に見解をただす。
手紙は、公文書改ざん事件で上司に改ざんをさせられ命を絶った、財務省近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54歳)の妻、赤木雅子さん(50)が、岸田総理大臣にあてて直筆で送ったもの。手紙で雅子さんは「財務省の調査は行われましたが、夫が改ざんを苦に亡くなったことは書かれていません。なぜ書いてないのですか?」と尋ねている。そして「夫が正しいことをしたこと、それに対して財務省がどのような対応をしたのか調査してください。そして新たな調査報告書には、夫が亡くなったいきさつをきちんと書いてください」と訴えている。
手紙が総理大臣官邸に届いた7日以降、各マスコミで大きく報じられ、Yahoo!ニュースでも一時ランキング上位に入るなど、話題になっている。一方、岸田総理大臣は記者団の質問に対し、手紙を受け取って読んだことを認めたものの、雅子さんが提訴した裁判の中で「丁寧に対応するよう財務省に指示を出した」とだけ述べ、手紙で訴えている報告書への疑問や再調査については答えなかった。
これを受けて立憲民主党の辻元清美副代表は、11日に衆議院本会議で行われる各党の代表質問で、赤木雅子さんの手紙の全文を読み上げることを決めた。手紙は手書きで便せんに1枚少々と短く、辻元副代表は議場で全文を紹介した上で、岸田総理大臣に誠意ある答えを求める考え。
辻元副代表は「この問題で政府はずっと答えをはぐらかしてきた。遺族の手紙もはぐらかすつもりなのか、赤木雅子さんに代わってきちんと問いただしたい」と述べた。
赤木雅子さんは「私の手紙を岸田総理大臣の目の前で読んでいただけるとは、ありがたいことだと思っています。多くの方、中でも女性の皆さんにぜひ聞いていただけたら」と話している。
衆議院の代表質問は、あす11日の午後。立憲民主党の枝野代表と自民党の甘利幹事長に続き、立憲民主党の辻元副代表の質問は午後3時前後からとなる見通し。NHKのテレビ中継も行われる。
衆院選で最重視するテーマのアンケートで「森友事件の再調査」がトップに
Yahoo!ニュースの「みんなの意見」というアンケート調査で「衆院選、あなたが最も重視するテーマは?」という質問を行ったところ、「森友問題の再調査」が回答の25%を占めトップになっている。
(10月10日午前10時現在。回答…6万9399人。アンケートは月末まで継続中)
①森友問題の再調査…1万7639票(25.4%)
②外交・安全保障…1万3959票(20.1%)
③経済・成長戦略…8054票(11.6%)
④コロナ経済・補償対策…6231票(9.0%)
https://news.yahoo.co.jp/polls/domestic/42663/result
財務省の公文書改ざん事件
財務省が森友学園に売却した国有地の巨額値引きが発覚した後、取引に関する決裁文書から、首相の妻(当時)安倍昭恵さんの名前をすべて削るなど、多数の改ざんが行われた。現場の近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんは改ざんに反対したが、上司に改ざんをさせられ、その後うつ病に苦しんだ末、約1年後に自宅で命を絶った。
【執筆・相澤冬樹】