ブラジルの名スタディアム「ベイラ・リオ」を訪れた
2006年、2010年にリベルタドーレス杯を制し、2006年はFCバルセロナを下してクラブワールドカップでもVを飾ったSCインテルナシオナル。日本でもお馴染みのファルカンやドゥンガ、そしてウルグアイのディエゴ・フォルランも在籍した。
そのホーム・スタディアムである「ベイラ・リオ」。1969年に建てられ、収容人数は4万8849人。2014年のブラジルワールドカップでは、フランスvs.ホンジュラス、オーストラリアvs.オランダ、韓国vs.アルジェリア、アルゼンチンvs.ナイジェリアなどの試合が行われた。
SCインテルナシオナルの創立は1909年。同じリオグランデ・ド・スル州ポルト・アレグレのライバル、グレミオFBPAの誕生から6歳後に産声を上げた。
「ポルト・アレグレ」とは「楽しい港」の意味。イタリア、ドイツ、ユダヤからの移民によって築かれた。その歴史は252年とまだ若い。
発足直後のグレミオFBPAが黒人客に門戸を開いていなかったことに対し、SCインテルナシオナルは、肌の色、経済力、信仰を問わずにサッカーファンを受け入れている。そんな歴史を辿ると、こちらを応援したくなるのが人情だ。
現地を案内してくれたブラジル人の方に「小高い丘の上からのベイラ・リオも壮観ですよ」と促され、地元TV局前からその姿を眺めた。確かに港町にある4万8000人強のスタディアムは美しかった。
だが、ブラジル人の彼は言った。
「この丘の上は非常に治安が悪いです。日中でも、あまり長時間いられるところではありません」
確かに一目で貧しさを伝える家々が目の前に広がっていた。
「ここ数年、ポルト・アレグレ出身のブラジル人スター選手と言えば、まず挙がるのがロナウジーニョでしょう。彼も相当危険なエリアから這い上がったんです。神様に選ばれたんでしょうね。ロナウジーニョはSCインテルナシオナルではなく、グレミオFBPAでスタートしましたが」
ロナウジーニョが生まれ育った周辺に連れて行ってほしいと告げると、彼は激しく首を横に振った。