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ウクライナ軍、侵攻直後から2023年5月3日までに2500機のロシア軍のドローン破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
(ウクライナ軍提供))

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。

ウクライナ軍によると2022年2月24日から2023年5月3日までのロシア軍兵士の戦死者は191,940人以上で、破壊したドローンは2500機を超えた。2023年4月23日に2400機だったので、10日でおよそ100機のドローンを破壊した。10日で100機なので平均すると1日10機ドローンを撃破していることになり、100機達成までの期間は速い方である。あくまでも平均で、昨日は1日で28機も撃破していた。

ロシア軍はイラン製の軍事ドローン「シャハド」や「Lancet」、ロシア製の監視・偵察ドローン「Orlan-10」などを多く飛行させている。そのため実際にはもっと多くのドローンを破壊しているだろうが、カウントされて公式に公開されているドローンの数は2500機である。ドローンは戦車や大砲のように大型ではない。上空で破壊してもバラバラになってしまって残骸や破片が見つからずにカウントされないこともある。

ロシア軍が侵攻してから2022年9月30日までの約7か月間に破壊したロシア軍のドローンが累計1000機だった。2022年10月からロシア軍がイラン製軍事ドローンを多く使用して首都キーウだけでなくウクライナ各地へ攻撃をしかけていた。そのため迎撃して破壊するドローンの数も多くなっていった。だが、2022年11月は以前のペースと比べると100機を破壊するまでにだいぶ日数がかかっていた。年末年始にはロシア軍はイラン製軍事ドローンを再び多く使用して攻撃をしてきた。民間施設や電力施設への攻撃が相次ぎ、オデーサ近郊では150万人以上の市民生活に打撃を与えていた。

2023年5月になってからもロシア軍のイラン製軍事ドローンによる攻撃がほぼ毎日のように行われており、ウクライナ軍は迎撃している。ロシア軍が大量の軍事ドローンで奇襲を仕掛けてくるので、迎撃されて破壊されるドローンも多く、1日に数十機のドローンが破壊される日もある。また攻撃ドローンだけでなく監視ドローンも多く撃破されている。だが上空でバラバラになってしまい破片や残骸が行方不明なことから破壊されたドローンの全てがカウントされているとは限らない。

2022年10月1日から10月11日までの11日間で100機(累計1100機)

2022年10月12日から10月15日までの4日間で100機(累計1200機)

2022年10月16日から10月20日までの5日間で100機(累計1300機)

2022年10月21日から10月28日までの8日間で100機(累計1400機)

2022年10月29日から11月11日までの14日間で100機(累計1500機)

2022年11月12日から12月7日までの26日間で100機(累計1600機)

2022年12月8日から12月24日までの17日間で100機(累計1700機)

2022年12月25日から2023年1月2日までの9日間で100機(累計1800機)

2023年1月3日から1月25日までの23日間で100機(累計1900機)

2023年1月26日から2月12日までの18日間で100機(累計2000機)

2023年2月13日から3月10日までの26日間で100機(累計2100機)

2023年3月11日から3月23日までの13日間で100機(累計2200機)

2023年3月24日から4月9日までの17日間で100機(累計2300機)

2023年4月10日から4月23日までの14日間で100機(累計2400機)

2023年4月24日から5月3日までの10日間で100機(累計2500機)

変わらずに多いイラン製軍事ドローン撃破

2022年10月には400機以上のロシア軍の軍事ドローンを迎撃して破壊していた。以前は1日に数機程度で10機以下の日が多かったが、10月に入ってからは1日に20~30機のロシア軍のドローンを破壊していた。ロシア軍がウクライナに軍事侵攻してから8か月間で1400機のロシア軍のドローンが撃墜されたが、そのうち約3割の400機が2022年10月の1か月間で撃墜された。2023年4月に入ってからもロシア軍によるイラン製の軍事ドローンを使った攻撃は収束していない。イラン製軍事ドローンで夜間にも奇襲をしかけてくるので、ウクライナ軍はそれらも迎撃して破壊している。最近でもイラン製軍事ドローンの破壊が相駆らわず多く報告されている。

イラン製軍事ドローンを迎撃して破壊した数はウクライナ軍はロシア軍に対する抑止と反撃能力のアピールとして公表している。だが監視・偵察ドローンについては破壊したり機能停止したりしても数え切れていないこともある。

破壊された装甲戦闘車両が7199台、戦車が3702台、輸送車・燃料車が5865台、大砲が2946門なのでそれらに比べると破壊されたドローンは2500機なので多くはないようにみえる。だが、両軍とも監視・偵察ドローンや攻撃ドローンをかなりの規模で飛ばしているので、破壊に成功したがカウントされていないドローンを含めるともっと多い。

攻撃ドローンは上空で破壊されるので大量に飛ばしてきても残骸や破片などが発見されずにカウントされないことが多い。カウントするために敵から襲撃される危険を冒してまでわざわざ破壊したドローンの破片や残骸を探しに行ったりはしない。爆弾を搭載したドローンは、ジャミング(電波妨害)で機能停止させて地上に落下しているものもあり地上で爆弾が爆発する危険もある。そのためコストパフォーマンスは高くないが、地対空ミサイルなどで迎撃して破壊していることが多い。

神風ドローンと呼ばれる標的に突っ込んでいき爆発するタイプの攻撃ドローンは深夜や早朝に破壊されることが多い。夜間にも監視・偵察ドローンを迎撃している。だが敵のドローンを何機破壊しないといけないというノルマがあるわけではないから、暗闇の中で残骸の確認をしに行ったりはしない。そのようなカウントされなかったけど破壊されているドローンを入れるともっと多いだろう。

また戦車や大砲の多くも上空からウクライナ軍がドローンで爆弾を投下したり、ドローンごと突っ込んでいき破壊したりしている。また塹壕などに隠れているロシア兵にも小型民生品ドローンで爆弾を投下して兵士を殺傷している。

▼ウクライナ軍による深夜のミサイルやドローンの迎撃

(ウクライナ軍提供)
(ウクライナ軍提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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