来季の仮本拠地球場が決まってもレイズを待ち受ける茨の道
【レイズの来季本拠地球場がようやく決定】
シード1位同士かつ、伝統チーム同士の対決となったドジャース対ヤンキースのワールドシリーズが例年以上の盛り上がりを見せた中、その傍らでずっと注目を集めていた話題があったのをご存じだろうか。
それはレイズの本拠地球場問題だ。米主要メディアが報じたところによると、来シーズンのレイズは、ヤンキースのスプリングトレーニングと傘下マイナーリーグ(ローA)の本拠地球場であるスタインブレナー・フィールドを間借りすることになった。
来シーズンいっぱいは、本拠地球場であるトロピカーナ・フィールドの改修工事が間に合わないため、すべてのホーム試合を同球場で実施することになる。
【本拠地球場に悩まされ続けてきたレイズの歴史】
今回の件を含め、レイズは長年にわたし本拠地球場問題に悩まされ続けている。
トロピカーナ・フィールドは、チームが創設された1998年以来ずっと使用してきた球場だが、元々は1990年に開業した多目的型ドームスタジアムで、野球場に特化したものではなかった。
その一方でMLBでは1990年中盤以降、ボールパーク型の新球場ラッシュが巻き起こり、レイズが使用始めた当初から、数少ない人工芝ドーム球場として旧式球場的な扱いを受けていた。
また創設1年目こそ250万人を超える観客動員数を記録していたが、2年目以降は大幅に減少し、ワールドシリーズ初出場を決めた2008年以降何度もポストシーズン進出を果たす強豪チームになっているにもかかわらず、一度も200万人を突破することはなかった。
そのためレイズは地元セントピーターズバーグ市に対し、新球場建設を働きかけていたのだが、市および郡はなかなか首を縦に振らず、一時は本拠地移転や本拠地分割案(セントピーターズバーグとモントリオールを使い分ける)まで議論されていた。
ところが今年10月8日にセントピーターズバーグが属するペネラス郡議会が、トロピカーナ・フィールドの隣接地に総工費13億ドルを投じる新球場建設が正式認可され、ようやく本拠地球場問題が決着したかに見えた。
【レイズが見舞われた新たな悲運】
ところが、だ。朗報からわずか数日後にフロリダ州を襲った大型ハリケーンにより、トロピカーナ・フィールドはファイバーグラス製の屋根が全損するなど、甚大な被害を受けてしまったのだ。
ハリケーンに襲われた当初から、トロピカーナ・フィールドのみならず街全体が多大な被害を受けていたため、来シーズンの開幕までに改修工事が間に合うのか疑問の声が挙がっていたのだがが、最終的に改修工事は2026年シーズンまで間に合わないことが明らかになっている。
そのためレイズは来シーズン使用する本拠地球場を探す作業を続けていたのだが、数々の案が浮かび上がる中、MLBからセントピーターズバーグ周辺に留まることを要求されたため、最終候補としてフロリダ州西海岸周辺で数チームがスプリングトレーニングで使用する球場に絞る込まれていた。
そしてその中から、前述のスタインブレナー・フィールドが選ばれることになったというわけだ。
【仮の本拠地球場が決まっても残り続ける不安要素】
スタインブレナー・フィールドは、フロリダ州にあるスプリングトレーニング使用球場の中で収容者数が最も高く1万1026人を誇るほか、マイナーリーグ使用球場としては珍しく、メジャーリーグの公式戦が開催できる程度の平均的な設備が整っており、レイズとしては使い勝手のいい球場といえる。
とはいえMLBの中でも観客動員数がリーグ下位のレイズでも、昨シーズン(2024年)の平均観客動員数は1万6515人で、最多は2万9891人を記録しているので、来シーズンの観客動員数が大幅に下がるのは必至の状況だ。
また球場規模が小さくなるため、採用できる球場スタッフもトロピカーナ・フィールドよりも少なくなってしまうため、多くのスタッフが職を失うことが予想されている。
その上夏季のフロリダは高温多湿で、雷雨も多く、屋外球場のスタインブレナー・フィールドでは選手の負担が大きいだけでなく、雨天中断など試合運営そのものにも多大な影響を及ぼしそうだ。
何とか本拠地球場が決まったとはいえ、来シーズンのレイズを待ち受けるのは茨の道というしかない。