アップル、折りたたみ式iPhone、iPadにつながるかもしれない特許を登録
折りたたみできるスマホやタブレットが次世代テクノロジとして注目を集めています。しかし、机上のアイデアとしては良さげでも、実際に製品として市場に出してみると耐久性を欠き、実用にならないケースも多いようです。
そんな中、「iPhone・iPadは折りたたみ式へーーAppleが特許出願」という記事がありました。
上記引用記事のタイトルには「特許出願」とされていますが、既に権利化されています。特許番号は10,585,708、登録日は2020年3月10日、発明の名称は、”System With Multiple Electronic Devices”、出願日は2017年6月21日(優先日は2017年3月21日)です。
比較的珍しいパターンですが、非公開が請求されています。米国の特許制度では、海外に出願されないという条件であれば、通常は出願から1.5年後に行なわれる強制的な公開を免れることができます。ゆえに、この特許はサブマリン的にいきなり登録が明らかになりました。アップルとしては、このアイデアの秘密性を保ちたかったということかもしれませんし、単に海外での権利化までは不要と思ったのでついでに非公開にしたということかもしれません。
なお、海外で、権利化されないことが確実であることから、この特許権に抵触する製品を米国外で製造・販売するのは自由です。しかし、米国への輸入はできませんので、ビジネスとしての意味は半減してしまいます。
本特許の基本的なアイデアは、複数の情報機器を組み合わせて一つのシステムとして使えるようにするというものです。厳密に言うと、折りたたみではないですが、1台の機器の画面サイズの制約を超えた画面サイズを提供する、および、持ち運び時の可搬性を増すということで、折りたたみ型の機器と同様の目的達成を目指しています。
画面折りたたみデバイスにつきものの、折りたたみを繰り返した際の画面の強度という問題は解決できますが、画面を連結して使っても真ん中に筋が入ってしまいます(ベゼルレスの設計でも筋は残るでしょう)ので、大画面で映画を見るといった目的には向かないかもしれません。ただ、文書等の場合であれば、このような画面折りたたみ方式にも十分と思われます。このような構成を取っているタブレット製品としてマイクロソフトの次世代製品Surface Neoなどがあります。
ちなみに、アップルも1枚のディスプレイを折りたたんで使用できるようにする、言わば真の意味の折りたたみディスプレイの特許を出願し、権利化していますが、そちらについては後日解説します。
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