【20歳、蘇らせたイタリア旧車】#1 アウトビアンキA112アバルト 車重700kg毎日が冒険
不動車を自ら整備し復活
人生初の愛車として、長年放置状態にあった1983年式アウトビアンキA112アバルトを選び、自らの手で蘇らせた男性がいる。
都内の大学に通う現役大学2年生、小河昭太(おごうしょうた)さん(20)だ。
昨年初頭にこのクルマを手に入れた小河氏は、父親とともにおよそ1年かけてレストアしたのだ。
入手当初は外装はそれほど汚くなかったものの、27年間動かされていなかったエンジンは固着し、完全なる不動車だったとのことだ。
エンジンや足回りまで全てをリフレッシュしたという彼は、もともと整備に精通していたわけではなく、このクルマのために一から勉強したという。
多数のセンサーを使い電子制御満載の現代のクルマに対し、アナログの塊である旧車はDIY整備もしやすく、長く乗れるのではないかと語る。
驚くことに、エンジンルーム内の整備性を確保するため、もともとついていたエアコンを取り外したというストイックさである。
700kgボディゆえの官能的な走り
いざ助手席に乗って試乗してみると、軽量コンパクトなつくりゆえ体感速度は相当なもので、100km/h程度でも怖いほどのスリルが味わえる。
搭載されるのは1950年代のフィアット600に搭載されている直列4気筒をベースに、アバルトが1050ccまでボアアップ、70psを発生するエンジンだ。
これにわずか700kgのボディが組み合わされ、はじけるような小気味良い走りが魅力だ。
普段使いもしやすく、近所のコンビニに行くだけでも冒険のような楽しさが得られるという。
没個性的と言われる現代のクルマに対し、非常にわかりやすい官能性が感じられるクルマだ。
「オーナーの偏差値がマイナス80になる」という彼の言葉通り、感覚にズバッと入ってくる刺激に満ち溢れた一台であった。