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ロッテ伊東&ヤクルト真中監督 感心できないこの時期での退任表明

豊浦彰太郎Baseball Writer
(ペイレスイメージズ/アフロ)

今月、両リーグで監督の今季限りでの退任が相次いで発表された。ロッテの伊東勤監督とヤクルトの真中満監督だ。両人とも、不振の責任をとっての退任で球団は留意に努めたが意思が固かったというストーリーだ。しかし休養などせず今季終了まで指揮は執るという。多くのファンははこれをごく普通に受け止めたかもしれないが、ぼくは何か違和感を感じた。

低迷の責任を監督に帰すべきかは議論があると思う。ひょっとしたら(いやかなりの確率か?)、フロントのバックアップ不足に愛想が尽きたことが退任表明の原因かもしれない。いや、本当のところは当事者達にしか分からない。しかし、とりあえず結果責任という考え方もある。

しかし、そうならば単にシーズンが終了した段階で、「これ以上の契約更新はありません」と、本人なり球団が表明すれば良いことのように思える。いや、応援してくれたファンに別れを告げるために、主催試合を数ゲーム残した段階で、「今季限り」を公にするテもあるかもしれない。もちろん、契約の延長はシーズン中から議論されるべきことだが、これ以上の更新がないことをこの段階で明らかにする必要があるのだろうか。伊東、真中両監督が取るべき態度は、ただ閉幕まで指揮を執り、終わった後で(またはその寸前で)退任を表明する、 もしくは、心底指揮官として責任を感じているなら退任表明と同時にチームを去ることだろう。少なくとも最後までやり遂げることが責任と考えるなら、契約延長を辞退することを今述べるべきではない。おそらく両監督には数多くの苦労やストレスがあったのだと思うが、閉幕まで監督の座に居座り(言い換えれば禄を喰み)ながら、「これ以上やってられません」ということを公に対し暗に匂わすのはダンディズムに欠ける行為だと思う。いや、そのような情緒的評価だけでなく、契約期間内にある指揮官が数ヶ月後の進退を口外するのは、(仮に契約書に規定されていなかったとしても)ビジネスモラル上問題ではないか。

また、球団サイドも本当に低迷の責任は監督が取るべきだと考えるならこの時期でも解雇すれば良い。それを「もう更新はしません、だけど閉幕まではやってもらいます」というのは、これから先1ケ月半を消化試合期間と認めているようなもので、ペナントレースの尊厳やファンに対するリスペクトの点でどうなのか。

結局、今回のこの時期での両監督の退任表明は、責任の所在の曖昧さが印象に残るのみだ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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