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ソーシャルメディア上での知り合いと実際に会うか、その実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ イベントで対面してそのまま飲み会というパターンも多々あるもの。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・該当ソーシャルメディアで積極的に情報発信をしている人で、そこで知り合った人とオフラインで一度でも会ったことがある人は、掲示板が63.7%、mixiなどのその他のSNSで56.0%、Facebookで52.4%(2018年)。

・会う頻度では「メーリングリスト」の「頻繁にある」の値が非常に高い。

・「掲示板」「その他のSNS(mixiなど)」「Facebook」は「頻繁にある」の値が高め、「Twitter」は低め。

インターネットは素性を隠したままで情報発信を容易に行えるツールのため、その場で知り合った人と現実に対面することにはリスクがあるとの指摘も多い。子供向けのインターネット関連の教材には「インターネット上で知り合った人の誘いに乗って実際に会おうとしないように」との注意書きもあるほど。それでは実際に、ソーシャルメディアで情報発信をしている人において、どれほどの人が実際に(オフラインで)知り合いと対面しているのだろうか。その実情を総務省が2018年7月に発表した「情報通信白書」内で公開している独自調査「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(※)の結果から確認する。

次に示すのはそれぞれのソーシャルメディアにおいて情報発信を積極的にしている人に限定し、そのソーシャルメディアで知り合った人と実際に対面した経験が一度でもある人の割合。ただし書きは無いが、家族や学校での知り合いや会社の同僚など、すでに実際に対面している人とソーシャルメディア上で知り合った場合は除かれ、ソーシャルメディア上のみで既知となった人を対象としていると見てよいだろう。

↑ オフラインで会うかどうか(各ソーシャルメディアで積極的に情報発信をしている人限定、一度でもある人)(2018年)
↑ オフラインで会うかどうか(各ソーシャルメディアで積極的に情報発信をしている人限定、一度でもある人)(2018年)

もっとも多い値を示したのは「掲示板」で63.7%、次いで「その他のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)(mixiなど)」の56.0%が続く。これらで多数の人が該当するのは、そのサービスの歴史が古く、長年の利用の中で信頼に足る存在だと認識できるケースが多々あること、利用者の年齢の上でリスクを回避できると判断したからだと考えられる。

一方で「Facebook」が52.4%と高い値を示しているのは、利用者の素性を明らかにしている場合が多く、ビジネスで使われるケースも多々あるからだと考えられる。他方、「Twitter」でも50.1%と高い値を示しているのは不思議な感がある。同好の士が集まりやすく、その筋でのオフ会などを開きやすいということだろうか。

これを会う度合いの詳細で区分したのが次のグラフ。

↑ オフラインで会うかどうか(各ソーシャルメディアで積極的に情報発信をしている人限定、詳細)(2018年)
↑ オフラインで会うかどうか(各ソーシャルメディアで積極的に情報発信をしている人限定、詳細)(2018年)

「メーリングリスト」の「頻繁にある」の値が非常に高いが、これは元々の利用方法(ある程度信頼がおける間での情報網としての利用)という性質が反映されたものと考えられる。

それ以外では「掲示板」「その他のSNS(mixiなど)」「Facebook」は「頻繁にある」の値が高め、「Twitter」は低めとなっているのが目に留まる。相手への信頼度合いが影響しているのだろう。信頼度合いの観点では「オンラインゲーム/ソーシャルゲーム」「ブログ」「LINE」の値が低いのも納得がいく(前述の通り今件での「会う」は、あくまでもソーシャルメディア上で初めて知り合った人を対象としていることに注意)。

白書ではこれらの傾向について各サービスでの傾向には触れずに、次のようにまとめている。

本件調査では対象としていない出会い系サイトなどによるトラブルや、SNSに起因する被害児童の数が年々上昇している現状などを考慮すると、ソーシャルメディアで知り合った相手を安易に信用しオフラインで会うことを一概に推奨できるものではない。しかし、全体的な傾向としては、日本では、国際比較では他者に対する信頼度が低いことから、ソーシャルメディアで知り合った相手と会うことへの警戒感が強く、会う場合でも事前に相手をある程度理解した上で、実際に会っていると考えられる。

他国の実情を見てみたいところだが、今項目は日本のみが対象となっている。残念な話ではある。

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※ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究

日本・アメリカ合衆国・イギリス・ドイツにおいて2018年2月から3月にかけてインターネット経由で20~69歳(日本のみ20~79歳)の男女に対し行われたもので、有効回答数は日本で1200人、それ以外の国でそれぞれ1000人。10歳区切りの年齢階層と男女別で均等割り当て。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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