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元WBCスーパーミドル級王者がワンパンチKO

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey / PBC

 WBA/WBC/WBO/IBFスーパーミドル級タイトルマッチのセミファイナルには、元WBC同級王者のアンソニー・ディレル(37)が登場した。

 WBCスーパーミドル級タイトルを2度獲得しながらも、それぞれ初防衛戦で敗れたディレル。サウル・”カネロ”・アルバレスvs.ケイラブ・プラント戦開始前に、自らをアピールしたかったに違いない。

(C)Ryan Hafey / PBC
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 ディレルの相手に選ばれたのは、15勝(3KO)4敗2分けの28歳、マルコス・ヘルナンデス。

 両者はファーストラウンドから、頭を付けて打ち合いを展開する。PPVを放送したSHOWTIMEが2ラウンド終了時点で19-19と採点したように、五分五分のファイトであった。3回も、甲乙つけ難かった。

(C)Ryan Hafey / PBC
(C)Ryan Hafey / PBC

 が、第4ラウンド8秒、元チャンプの狙い澄ました右アッパーがヘルナンデスの顎を捉える。

 次の瞬間、ヘルナンデスはキャンバスに沈んだ。立ち上がりはしたものの、足元がふらついており、レフェリーが試合終了と判断した。

(C)Ryan Hafey / PBC
(C)Ryan Hafey / PBC

 戦績を34勝(25KO)2敗2分けとしたディレルは、ノックアウト勝利を飾った直後にリング上でバック宙を披露。

 KO勝ちは、自身2度目となる世界タイトル奪取(2019年2月23日)以来とあって、喜びも一入といったところか。

(C)Ryan Hafey / PBC
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 試合後、勝者は言った。

 「完璧なノックアウトだっただろう。ずっと練習してきたんだ。大振りにならないように意識したよ。ヘルナンデスは、俺のパンチが見えなかっただろうな。兄貴(IBFスーパーミドル級暫定王者のアンドレ)の『当たるぞ!』って叫び声が聞こえた。その通りになった。KO出来ると思っていたよ。それも、右で倒せるだろうって」

 ディレルは今回、シュガーヒル・スチュワードの指導を受けてリングに上がった。現WBCヘビー級王者、タイソン・フューリーと同じトレーナーである。

 ディレルの次戦は誰になるか。ケイラブ・プラント再起戦の相手に抜擢されるか。あるいは、今週末リングに上がるデビッド・ベナビデスとのリターンマッチが決まるか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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