全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は『オフロードバイクの歴史はここから。ヤマハ・DT-1』をテーマにお話ししようと思います。

舗装されていない、土や岩場などの路面を走って楽しむオフロードバイク。

このオフロードバイクの祖となったマシンを知っているでしょうか。

ヤマハの『DT-1』です。

1960年代、アメリカ西海岸では、原っぱや荒野を「スクランブラー」と呼ばれる改造バイクで走る遊びが流行していました。

DT-1は、そのアメリカでの流行に着想を得て生み出されたモデルになります。

モトクロッサー(オフロードレース用のバイク)を思わせるスリム＆軽量な車体、「脚の長い」サスペンション、アップマフラー、ブロックパターンのタイヤ、そしてアップハンドルなどなど、DT-1はオフロード走行を前提とした設計で固められていました。

実はDT-1以前にはオフロード前提の市販バイクというのは存在せず、DT-1が史上初の市販オフロードバイク(トレール車)となりました。

既存のオートバイへ未舗装路も走れる改造を施し楽しんでいた当時のバイクファンにとって、最初から“オフロード仕様”になっているDT-1はかなりセンセーショナルで、DT-1は1968年(昭和43年)にリリースされるやいなやヤマハの想定を大きく超える売れ行きを見せます。

このDT-1のデビュー後は、日本でもオフロードラン、トレールライドが世間一般に定着し、オフロードというカテゴリーが確立。

やがてヤマハ以外のメーカーからもオフロードバイクが続々と登場するようになり、こうしてバイクカテゴリーの一大勢力として「オフ車」は身近な存在となったのでした。

DT-1というバイクを作り上げたこともそうなのですが、“自然の中をバイクで楽しむ”という遊び方をこのモデルと共に世の中へもたらしたことは、ヤマハのこの上ない偉業だったと言っていいでしょう。

画像引用元：スズキ