任天堂、スマホゲーム2作目『ファイアーエムブレムヒーローズ』でガチャへ挑戦
任天堂は1月19日、『スーパーマリオラン』に続くスマホゲームの2作目として『ファイアーエムブレムヒーローズ』を2月2日にiOSとAndroidの両方でリリースすると発表しました。
『ファイアーエムブレム』シリーズのスマホゲームをリリースすることは以前から伝えられていましたが、その販売方式が基本プレイ無料のアイテム課金――ガチャゲーであることには多くのユーザーがSNSなどで驚きの声をあげました。
マリオランではまずは無料で遊べる「フリー・トゥ・スタート」方式を採用していた任天堂が、なぜ今、ガチャなのか?
ユーザーの声のなかには「任天堂もついにガチャに走った」などと残念がる声もありましたが、ファイアーエムブレムヒーローズの販売方式はガチャしかなかったと言えます。
そもそもガチャ課金はやる予定だった
まず先に伝えておきたいのは、任天堂は「ガチャ課金」そのものを否定していないということです。
マリオランは「ソフトの価値を大事にしたい」との思いから、「Free to Play」ではなく「フリー・トゥ・スタート」としてゲームの序盤を無料で体験できる買い切り型で販売されましたが、任天堂はアイテム課金型の販売方式を行わないとは言っていません。
ファイアーエムブレムヒーローズでのガチャ課金採用は、任天堂のスマホゲームのガチャへの切替ではなく、数ある販売方式のうち今回はガチャ課金を採ったと見るのが無難です。
市場が小さく、買い切り型では売上が見込めない
では、なぜガチャ課金なのでしょうか? その大きな理由となるのが、マリオシリーズと比較したときのファイアーエムブレムシリーズの市場の小ささです。
ファイアーエムブレムシリーズは任天堂を代表するIP(知的財産)のひとつではありますが、これまでに1度も国内でミリオンセールスを達成したことがありません。
世界累計でもダブルミリオンほどであり、『New スーパーマリオブラザーズ』や『マリオカートWii』などが持つ世界累計3,000万本と比較するとその小ささが分かります。
仮に買い切り型でリリースしたとしても、最大200万人ではマリオランと同じ課金率(4~5%)であったとしても120万ドルにしかなりません(価格をマリオランと同じく1,200円、課金率を5%とした場合)。
それであれば売上の面でも資産としてのゲームを守るという面でも、ニンテンドー3DSで新作を出した方が良いでしょう。スマホゲームとしての売上を考えると、どうしても少数から大きなお金を払って貰うアイテム課金型になってしまうのです。
キャラが多いためガチャとの相性が良い
それでは、ファイアーエムブレムシリーズはガチャゲーに向いているのでしょうか? じつはこれがピッタリなのです。
ファイアーエムブレムヒーローズには、これまでのシリーズ作により多くの登場キャラクターという資産があります。
各タイトルごとに最低でも50人のキャラクターが仲間として登場し、なかには100人近いキャラクターが仲間になるタイトルもあります。
通常のゲームではそういったキャラクターの全てを利用することはできませんが、ガチャであればうまく活用できます。キャラクターごとに強さも特徴も異なるため、キャラクターによってレアリティを変動させるガチャのシステムにも向いています。
市場の小ささ、そして登場キャラクター資産を考えると、ガチャを採用することがベストと言えます。
ファイアーエムブレムヒーローズは成功する?
ここまで書くと読者の皆さんが気になるのは「それで成功するの? しないの?」だと思いますが、いくらガチャに向いているとは言えこればかりはリリースされてみないことには分かりません。
と言うのもこれまでのシリーズでは何十マス×何十マスという広いマップを使ってゲームを楽しませていたものが、ファイアーエムブレムヒーローズではスマホ向けに最適化した結果、8×6マスに詰め込まれてしまっているのです。
広いマップでの戦略性を楽しんできたこれまでのユーザーたちに、どうやって狭いマップで満足させるのか。この部分の仕上がりがファイアーエムブレムヒーローズの成功の鍵を握っていると言えます。
なお、任天堂はこのあと『どうぶつの森』シリーズのスマホゲームのリリースが控えています。こちらもゲーム性を考えると買い切り型ではなくアイテム課金型が向いているのですが、同シリーズのメインユーザー層は7歳から12歳までの女の子であり、どうバランスをとるかに注目です。