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転売ヤーの問題は何か? 日本人だけがアレルギーのように拒否反応を起こしてるのは本当か? #専門家のまとめ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
(写真:イメージマート)

 Yahoo!ニュースが独自にコンテンツを制作する『THE PAGE』が「転売ヤーの何が悪いんですか?」という記事を公開し、2025年の年始から大炎上しました。

 「転売が問題になってるのは日本だけですよ。何が悪いんですか?」と開き直りとも取れる内容にSNSでは批判が殺到していたので、転売ヤーの何が問題なのかをまとめました。

ココがポイント

転売者が買い占めることで、商品が本来行き渡るはずの人々の元へ届けることができないという問題
出典:転売問題の現状は?様々な転売対策を事例と共に解説 - 不正検知Lab -フセラボ- by cacco 2020/8/11(火)

消費者が買えないという状態が続くと、企業に対して不信感が募ります。なぜ転売対策をしないのかと消費者からの不満が高まる
出典:企業にとって転売対策は必須?転売による影響・効果的な対策を解説/株式会社ネクスウェイ 2024/10/3(木)

他の商品購入やサービスに使うはずの料金を高額転売によって使えなくなる(中略)「機会損失」が発生します。
出典:転売問題について | コラム記事一覧 | 日本物流開発株式会社 2022/10/12(水)

一番明確な違いは「転売屋は商品の価格を高騰させるが、仲卸や小売はそれを引き下げる」ということ。
出典:仲卸業者と転売、何が違う? | 神奈川トスバック 2019/3/23(土)

エキスパートの補足・見解

 転売ヤーの問題を簡単にまとめると以下のようになります。

・欲しい人が商品を入手できなくなり、ユーザーに不満が生まれる

・転売行為によってメーカーのイメージやユーザーとの信頼関係が損なわれる

・転売ヤーから高額商品を購入した結果お金がなくなり、メーカーや小売店に機会損失が生まれる

・購入できないことで新規ユーザーの獲得や市場の拡大が妨げられる

・需要の予測ができないため適切な生産計画を立てることができず、流通が崩れる

・メーカーや小売店に本来であれば不要な転売対策コストがかかるようになる

 また、問題の記事ではまるで日本人だけが転売に拒否反応を起こしているというような書き方でしたが、海外でも転売は嫌われています。実際、アメリカではボットによるオンラインストアの買い占めを禁止する法案が2018年から審議され続けています。

 『Yahoo!オークション』を抱えるLINEヤフー社の観測記事なのかもしれませんが、ただ商品を高額転売するだけで必要のない転売ヤーと、流通を担い、メーカーからユーザーへと安く商品を届けてくれる小売店の違いは明白です。

 新年からわざわざ大炎上する記事を出すのはやめましょう。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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