シャープの『目のつけどころが』上から目線でしょ
KNNポール神田です!
再建問題で揺れる火中のシャープの高橋興三社長の発言があまりにも上からすぎて正直、驚いている。政府系ファンドの産業革新機構が、この社内リソースをかけられていないことを聞くとなんと思うことだろうか?3000億円と7000億円では大きく違うからすでにハラは決まっているのかもしれない…。ホンハイの提案には経営陣の進退がないという調子の良すぎる好条件もあるからだ。しかし、シャープの判断は、2月29日まで間精査してからの返答するという。なんだか、支援される、買われる側のシャープのほうがゆとりをもっているように見えて仕方がない。
優先交渉権のサインのすれちがい
通常、このような会社の身売りハナシは、水面下で慎重にタフに交渉されるものだ。それが、「社内リソースはホンハイ」のような高橋社長発言があったり、ホンハイ側は「優先交渉権を得た」と高橋社長との契約書のサインまでマスメディアに向けて公開する。それを今度はシャープが否定するという。まるでチグハグな対応が続く…。まるで、買い急ぐ、ホンハイと、売り渋るシャープの関係に見えて仕方がない。
脱Apple依存を急ぐホンハイ
ホンハイの成長を支えてきたのは、間違いなくホンハイのEMS機能を利用しファブレス化して効率化したAppleだろう。成長期にとっては両者の関係はうまくいく。しかし、Appleの主力製品のiPhoneシリーズは、売上利益は最高値を更新しつづけるが、成長率は確実に鈍化し続けている。ホンハイは、ソフトバンクのpepperなどのロボットや他の分野も受注しているが、iPhoneを超えるような分野はまだまだ模索中だ。そこで、注目したいのが、シャープの液晶事業だ。すでに液晶では、中国メーカーの廉価な液晶が2018年までに35%のシェアを占めると予測されている。IHS予測。また、シャープとホンハイのテリー・ゴウ(郭会長)氏の投資会社SIO International Holdings Limitedの合弁(2012年より参画)での堺ディスプレイプロダクト株式会社は黒字回復している。低廉化する液晶の潮流の中で、付加価値を持てる今後の8K市場などを考えた場合、シャープという存在は、非常に魅力的になってきたのだろう。
窮地に陥っているシャープの株価は、この1週間で140円から180円を超え176円で終えた。束の間の期待が見えたからだ。2016年2月29日までに決定するとノンビリしているシャープであるが、合議制でリスクをじっくりと月末まで検討するのであろう。しかし、ホンハイのテリー会長のような、旧正月前の仕事納めで2月5日の15時まで回答を得たいというようなスピード感覚で、突然来日し本社の会議に参加する行動力とでは、まさに水と油な経営陣になることは明確だろう。経営陣を退陣させないといって保身が担保されてもテリー・ゴウ会長とではうまくいきそうにない。しかし、いざ買収が決定し上下関係がはっきりとすれば、徹底して忠誠を示す日本のサラリーマン的な経営陣ならばうまくいくのかもしれない。日本のサラリーマンは仲良くすることについては世界一の技術を持っているからだ。