元・ドジャース通訳スキャンダル:疑われる450万ドル送金。送金セキュリティをどうハックしたのか?
KNNポール神田です。
ドジャース大谷翔平選手の水原一平氏に対しての会見が行われた…。
水谷選手をかばって、大谷選手がブックメーカーへ送金したと思われていたが、しかし、そうではなかったようだ。
【ノーカット版】ドジャース・大谷翔平 元通訳の水原一平氏の違法賭博に関する記者会見 3.26
冒頭は、『一平さん』ではなく、『彼』という表現になっていたが、通訳さんは『Ippei』と伝え、そして『一平さん』となった。
この会見が真実だとすると、『水原一平』氏はいったい、いつ、どうやって、大谷翔平選手の銀行口座からブックメーカーへ送金したのだろうか?という疑問がどうしても残る。
金額も個人口座から450万ドル(6.8億円)という大金であるが、同時に、日本全体が落胆、いや世界が落胆する事件となってしまった。大谷選手がこんな会見をせざるをえなくなってしまったことに、いまだに『?』が残る。
華々しいドジャースへの通訳としても同時移籍、大谷選手の結婚、順風満帆なそれらのニュースが、一瞬にしてショックな記者会見の修羅場となってしまった。
しかし、この記者会見、事実のみをメモを見ながら伝える形式で、感情をださない見事な会見だったと思う。
■一体、誰がどうやって送金したのか?
どうしても、この記者会見で、気になったのが、大谷選手以外が、どうやって送金したかである。むしろ、大谷選手が一番知りたいのかもしれない。
当然、水原一平氏が送金したと見るのが合理的ではあるが、他人が送金するには、相当なハードルがある。
当初の水原氏の大谷翔平が助けてくれたという美談で終わるわけでもなく、たとえ送金したとしても、その埋め合わせというどうしても問題が起きる。
個人的に7億円近くの借金はむずかしいだろう。かといってこんな窃盗はすぐにバレる。
銀行送金そのものは、通常であれば相手の口座番号と金額、そして銀行残高と、本人確認さえ行われば、100円でも1億円でも送金は簡単にできてしまう。
現金ではないから送金のプロセスは金額の大小では変わらない。
しかしだ。必ず本人確認のプロセスは存在する。2段階認証、多要素認証や、ワンタイムパスワード、認証番号表、SMS、電子メールなど、なんらかの本人認証は必ず存在している。
中でも難易度が低いのが、物理的なカードタイプのワンタイムパスワードや、認証番号表などだ。本人と四六時中、一緒に同行していれば、コピーや盗撮もできたかもしれない。
自宅にも出入りできる関係性であればベッドルームや机の中からということも考えられる。紙の通帳を持っていれば、本人がいない隙に、支店番号や口座番号など知ることもできただろう。
いや、本質的な問題はそこではない。何らかの方法で、本人確認できる部分をハッキングしたとすれば送金は可能だったのだ。
しかし、ハックして送金できたとしても、大谷選手が450万ドルの送金を全く気づかないとは考えられない。
すると、そのあとの代償のほうが大きくなってしまうことは、通常の精神状態ならば理解できるはずだ。
水原氏自身の全収入をTEAM大谷に依存していることも含めて、窃盗や詐欺は、決してやるべき選択肢ではなかった。
個人的な借金をお願いするというラインもあったかもしれないし、そうだったのかもしれない。自己破産をするという手法も、数千年もの長い返済計画を立てるという方法もあった。違法ギャンブルであればあるほどブックメーカーの相手からの保護も、これだけ耳目を集めるニュースとなれば警備も保証されたかもしれない。
すでに、起きてしまったことは仕方がないが、『窃盗と詐欺』の事件化してしまうのは惜しくて仕方がない思いだ。
この『水原送金事件』と後から名付けられるとしたら、少なくとも、本人以外が送金できないセキュリティとして『生体認証』を唯一の本人確認するかだ。
また、銀行が『紙の通帳』を廃止してすべてデジタル化にするという口実にもなりそうでもある。いずれにしても自供による真相を待つしかないようだ。
デジタルの便利さを享受すると共にセキュリティの重要性と堅牢性も同時に求められる。しかし、デジタルにはアナログ時代には想定できないトラブルも必ず潜んでいる。
しかしながら、何よりも、改めて、ギャンブル依存の怖さを知る事件となってしまったのが残念でならない。通訳者としての最高の名誉職だったにもかかわらずだ。