治せないアルツハイマー型認知症。予防のために食べたいものとは?
先日、エーザイが神経領域の医薬品の研究開発を行うバイオジェン(米国)と共同開発するアルツハイマー病治療薬候補「レカネマブ」が、最終段階の臨床試験(治験)で症状の悪化を抑える効果を確認したと発表し、大きな話題となりました。
現在、日本で承認されている認知症の治療薬は4種類ありますが、いずれも症状の緩和を目的としたもので、認知症を治すものではありません。つまり、認知症は何より予防が大切です。
■アルツハイマー型認知症の原因
認知症には、さまざまな原因がありますが、アルツハイマー型認知症は最も多く、認知症の半数以上を占めています。
アルツハイマー型認知症が発症するしくみは、まだはっきりとわかっていませんが、アミロイドβやタウたんぱく質が脳内に溜まってしまうことが原因とする仮説が有力とされています。
それ以外にも高血圧、肥満、糖尿病といった生活習慣病は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高くなることが分かっています。
ランセット委員会の報告によると認知症のリスク因子は12個あるとされていますが、その中には、身体的な活動不足、社会的な接触の少なさ、喫煙、食事や栄養などの教育の不足などもあげられています。
■認知症は予防が大切!そのために必要なことは?
認知症発症の原因がわかっていない以上、私たちにできることは、まず生活習慣病にならない、あるいは改善するようにすることといえます。生活習慣は、食事や運動、睡眠、喫煙、飲酒などを指します。こうしたことを見直し、改善していくことが大切です。
中でも食事はただ食べればよい、ということではなく、何をたべるのか?がとても重要になります。
■認知症のリスクを上げる生活習慣病にならないために。キーワードは活性酸素
老化や生活習慣病の要因のひとつされているのが、活性酸素が過剰になる酸化ストレス状態です。
活性酸素は、細菌やウイルスなどを殺す働きがあり、ヒトのからだに必要なものですが、増えすぎると正常な細胞をも攻撃するようになり、酸化ストレスの状態となります。
私たちのからだでは、活性酸素が過剰にならないように抗酸化酵素やビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、カテキン類などが働いています。しかし、紫外線、睡眠不足、ストレス、過剰な飲酒、喫煙などによって活性酸素の発生と抗酸化の働きのバランスが崩れると酸化ストレス状態、つまり老化や生活習慣病が発症しやすい状態になってしまうのです。
■食事で予防する
認知症の予防をするなら、まず酸化ストレスの状態を避け、生活習慣病にならないような食事をする必要があります。
どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
何かを予防する、というと、何を食べればよいのか?とか、どの栄養素をとればよいのか?と考えがちですが、どんなに良いとされるものを食べたとしても、その働きを支えるバランスのよい食事がとれていなければ、十分な働きは期待できません。
栄養素は相互に助け合いながら働くものだからです。
まずは、主食となる穀類、主菜となる肉や魚、卵、豆腐といったたんぱく質源、副菜となる野菜や海藻、きのこなどが含まれている食事をこころがけることが大切です。
その上で抗酸化機能が期待できる食材を取り入れていくようにします。
このように書くとなんでもたくさん食べればいいのかな?と思われるかもしれませんが、大切なのは腹八分目を心がけることです。取り過ぎは逆効果になることもあるからです。
■具体的に何を食べればよいのか?
食事のバランスには気をつけるとして、認知症の予防を目的として、いったい何を食べるのがよいでしょうか。
具体的な食材とその成分を見てみましょう。
【抗酸化作用が期待できる食材】
玉ねぎ(ケルセチン)、人参(βカロテン)、大豆(イソフラボン)、トマト(リコペン)、タケノコ(フェルラ酸)、玄米(ガンマオリザノール、フェルラ酸)、レンコン(タンニン)、ごま(セサミン)、ナッツ(ビタミンE)など、
【認知機能の改善が期待できる食材】
豚肉(ビタミンB1)、玄米(ビタミンB1、GABA)、カレー粉(クルクミン)、魚(DHA)、ホウレンソウ(葉酸)、シークワーサー(ノビレチン)、赤ワイン(レスベラトロール)、緑茶(カテキン)、ビール(ホップ)、コーヒー(カフェイン)などがあります。
意外なことにアルコール飲料に含まれる成分も多いですが、飲みすぎは逆効果ですから注意しましょう。
それぞれの食品や成分について詳しく知りたい場合は、アチーブメント出版「脳にやさしいスープ」にまとめてありますので、よろしければご覧ください。
適度な運動や、家族や友人との楽しい時間、興味のあることに取り組むということをしつつ、上記の食材を日々の食事に取り入れることで、イキイキと楽しい時間をすごしたいですね。