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9位の大谷翔平はまだ人気薄?!MLBが2021年の選手別ジャージー売り上げランキングを発表

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ジャージー売り上げランキングで9位に入った大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【今季のジャージー売り上げランキングを発表】

 公式戦の全日程が終了した現地時間の10月4日、MLBが今シーズンの選手別ジャージー売り上げランキングを発表した。

 それによると、第1位に輝いたのはドジャースのムーキー・ベッツ選手で、2年連続1位となった。

 2位以下は、パドレスのフェルナンド・タティスJr.選手、ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.選手、メッツのハビアー・バエス選手、ドジャースのクレイトン・カーショー投手──が続いている。

 今シーズンのア・リーグMVP受賞が確実視され、二刀流として歴史的な活躍を続けた大谷翔平選手は9位だった。

【球場での売り上げは含まれず】

 シーズン前半から二刀流としてフル回転し、オールスター戦では史上初の二刀流選手として選出され、ルールを変更してまで先発投手&DHで出場するなど、あの時点で大谷選手の名前は間違いなく全国区になっていた。

 それに伴い大谷選手人気も全国に広がり、ジャージーの売り上げも急上昇しているかと思いきや、9位というのは予想外ではないだろうか。

 MLBによれば、このランキングはあくまでMLB公式サイトを通じたネット販売の売り上げだけをまとめたもので、エンジェル・スタジアムのギフトショップ等の売り上げは含まれていない。

 それでも9位というのは、ずっと日本のメディアを通じて現地での熱狂ぶりを目撃してきた日本人ファンからすれば、やや拍子抜けといったところかもしれない。

【新人時代の2018年は8位にランクイン】

 ただ今シーズンの大谷選手の活躍がファンに認知され、彼らの購買意欲を促したのは間違いない。

 というのも、2019年、2020年の売り上げランキングを見てみると、大谷選手はトップ20に入っていないのだ。そういった意味では、“急上昇”という表現は決して間違っていないだろう。

 ただしMLBデビューを飾った2018年は、歴史上の二刀流選手が久々にMLBのグラウンドに登場したという衝撃もあり、この年の売り上げランキングでは8位に入っている。

 あくまでランキングだけを見れば、人々に与えた印象度という点では、二刀流として予想をはるかに上回る成績を残した今シーズンよりも、新人時代の方が強かったということになってしまう。

 改めて今シーズンのランキングを見ても、トップ10に入った選手の中でアクーニャJr.選手はシーズン前半戦で負傷のため戦線離脱し、カーショー投手も負傷のため長期離脱を余儀なくされ、6位にランクインしたコーディ・ベリンジャー選手も度々負傷者リスト入りするなど、自身にとって過去最低の成績でシーズンを終えている。

 つまりシーズン中の活躍が、そのままジャージーの売り上げに反映されていないということなのだ。

【球団人気もランキングに影響?】

 さらに今年のランキングを見ると、トップ10にドジャースの選手が4人もランクインしており、多少なりとも球団人気も影響しているような気がする。やはり人気の高いチームの方が全国中継が多くなるし、注目されやすいのは否めない。

 そうした状況を反映しているのかもしれないが、毎年のようにオールスター戦のファン投票で最多得票を獲得し、MLB屈指の人気選手の1人だといわれているマイク・トラウト選手でも、過去5年間の売り上げランキングは、8位→11位→9位→14位→13位と、一度もトップ5に入っていない。

 裏を返せば、過去2年間ランク外だった大谷選手が、これを機に毎年ランク入りするようになれば、たとえトップ5に入れなかったとしても本当の意味で人気選手の仲間入りを果たしたということになるのだろう。

 来年以降に期待するしかない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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