みんな大好きドクターイエローはどんな車両で、なぜ引退するのか #専門家のまとめ
ドクターイエローとは東海道・山陽新幹線の軌道(線路)、電気、信号、通信といった設備を走行しながら検測(検査・測定)する機能をもつ車両です。鉄道愛好家だけでなく、一般の人たちのなかにもファンの多いドクターイエローは2024(令和6)年6月13日になり、がぜん注目を浴びるようになります。車両を保有するJR東海、JR西日本とも近い将来の引退を発表したからです。ドクターイエローとはどのような車両で、なぜ人気があるのかを探ります。
ココがポイント
▼子ども向けに書かれた記事と侮るなかれ。ドクターイエローの歴史、機能などのあらましがこの記事1本でよくわかります
▼ドクターイエローに添乗してまとめた記事です。車内の様子であるとか、具体的に何をどのように検測しているかが理解できます
・幸せになれる!? ドクターイエローに潜入! その車内の秘密に新聞記者が迫る(交通新聞社「トレたび」)
▼筆者が執筆しました。ドクターイエローの検測精度は一体どの程度かや、なぜ人気があり、なぜ引退するのかなど、読者が知りたい点を中心にまとめています
・ドクターイエロー引退へ 人気の検測車両は技術の塊(日本経済新聞「鉄道の達人」)
エキスパートの補足・見解
今回紹介した3記事とも、ドクターイエロー引退後になぜ営業用の車両で検査・測定できるのかは触れられていません。実は電気、信号、通信といった設備は技術の進歩でドクターイエロー搭載と同機能の検測装置が小型、軽量化された結果、営業用の車両に搭載可能となりました。しかし、軌道検測はドクターイエローが実施する3点以上の地点を測定して軌道のゆがみを見つける差分法では装置の小型、軽量化が困難です。営業用の車両は慣性測定法と言って加速度を2回積分してレールの位置、つまり軌道の形状を求めており、装置はコンパクトになるものの、精度は低く、低速時には検測できません。近年慣性測定法の欠点を補った方式が開発されました。筆者は今後、こうした新しい技術について寄稿していきたいと考えています。