Yahoo!ニュース

9日ぶりに活動再開したマーリンズの13選手が故障者リスト入り! リリーフ陣は壊滅的状況に

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
当面は厳しい采配を強いられそうなマーリンズのマッティングリー監督(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【マーリンズが9日ぶりに活動再開】

 フィリーズとの開幕カード対戦中に新型コロナウイルスのチーム内クラスター発生が確認され、チーム全員が遠征地のフィラデルフィアで隔離状態に置かれていたマーリンズが、ようやく9日ぶりに活動を再開し、ボルティモアでオリオールズと対戦する。

 結局チーム内で計20名(選手18名、コーチ2名)の陽性反応者を出してしまったこともあり、マーリンズは出場ロースター枠30人を大幅に入れ替えることになった。

 MLB公式サイトでマーリンズを担当している、ジョー・フリサロ記者が投稿したツイートによれば、オリオールズ戦前に13選手を故障者リスト(IL)に入れる措置を行ったようだ。

【急場の緊急補強も断行】

 今シーズンに関しては、各チームは新型コロナウイルスの感染に備え、30人のロースター枠の他に、さらに30人の予備ロースターを待機させており、いつでも選手を入れ替えられるようになっていた。

 しかし今回のマーリンズは、一気に大量の選手を失ったことで、予備ロースターからの補充だけでは間に合わず、さらに他チームやFA市場から緊急補強を余儀なくされている。

 隔離措置がとられた7月27日以降、他チームでウェーバーにかけられた3人の選手を獲得するとともに、3人のFA選手を契約し、さらに2人の選手をトレードで迎え入れている。

【リリーフ陣は壊滅的状態】

 残念ながら試合を継続していくための急造チームであることは否めず、もちろん戦力も大幅にダウンしてしまった。

 特にリリーフ陣は、壊滅的な状況になっている。IL入りした13人のうち8選手がリリーフ投手だったこともあり、シーズン開幕時のリリーフ投手はわずか4人しか残っていない。

 それだけではない。先発遊撃手のミギュエル・ロハス選手がIL入りした他、今回のクラスター発生を機に、先発二塁手のイサン・ディアス選手が残りシーズンの出場辞退を表明しており、主力内野陣も失っている状況だ。

【マーリンズは早くも消化試合状態】

 とりあえずIL入りした選手たちはMLBが定めたプロトコルに従い、2回連続の陰性反応が確認できれば復帰できることになる。だが4日付けでIL入りした選手は、最低でも8月14日まで戦列復帰できない。

 果たしてマーリンズは、急造チームで満足な戦いができるのだろうか。言うなれば現在のチーム状況は、すでにポストシーズン進出を逃したため、主力選手に休養を与えるとともに、ロースター枠拡大で昇格してきた若手選手たちに出場の機会を与える、弱小チームのシーズン終盤の9月のようなものだ。

 言い方を変えれば、マーリンズはしばらくの間、他チームのために消化試合を戦うことになる。シーズンが開幕したばかりなのに、マーリンズだけ蚊帳の外に置かれてしまった感は否めない。

 MLBの調査により今回のクラスター発生は、開幕直前にチームがアトランタ遠征していた際に、プロトコルに違反し外出した選手たちが感染源になったと目されている。

 ある意味チーム内クラスターは自業自得ともいうべきものだが、残された選手たちは何を目標に戦えばいいのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事