ストーカーによる女子大生刺傷事件容疑者の精神鑑定、鑑定留置の意味
■ストーカーによる女子大生刺傷事件容疑者、鑑定留置認
まだ裁判が始まる前に、地検からの請求で、約3ヶ月にわたる精神鑑定がはじまることになります。
■減刑はゆるさないぞ!?
ネット上に流れている意見をみると、「精神鑑定を悪用するな!」とか、「減刑はゆるされないぞ!」「どうせおかしいのだから、さっさと刑務所に入れろ!」といった意見が見られます。
精神鑑定の結果による減刑には、納得できないと感じる多くの人がいます。
■精神鑑定とは・鑑定留置とは
精神鑑定は、筆跡鑑定とか、DNA鑑定のように、専門家が鑑定して、意見を提出するものです。精神鑑定には、起訴される前におこなわれる鑑定と、起訴された後に、裁判を受けながらおこなわれる鑑定があります。
鑑定留置は、起訴前鑑定の1つです。多くの起訴前鑑定は、一日で終わるような簡単なものですが、今回のように留置して長期にわたることもあります。
検察官、検察事務官あるいは司法警察員は、被疑者の捜査に必要がある場合には鑑定を嘱託することができます(刑事訴訟法第 222 条)。
「精神鑑定をやって、刑罰を逃れようとしているのだろ!」といった意見がネット上では見られますが、今回の精神鑑定は検察側からの請求ですから、刑罰を逃れることが目的ではありません。
もちろん、精神鑑定の結果、裁判に耐えられないということになれば裁判は開かれないでしょうが、今回は違うと思います。一般論ですが、多くの場合はむしろ裁判に耐えられるという結論が出て、公判開始になるでしょう。
■精神鑑定とストーカー犯罪
多くの人が批判しているように、精神鑑定の乱用や悪用は、誰にとっても良いことではありません。しかし、やはり精神鑑定が必要な場合もあります。
ストーカーによる凶悪犯罪は、一般の金目当ての犯罪や、一般の人にもわかりやすい恨みによる犯行などとはことなります。時に妄想的なものをもっていることもあります。
そうではないとしても、愛が憎悪に逆転する、心理的側面の強い犯罪と言えるでしょう。
取調べがあり、起訴されれば裁判があるわけですが、そのような場面だけでは解明されない彼の心の底の問題もあるでしょう。
今後のストーカー凶悪犯罪防止のためには、加害者側への心理的アプローチが重要とされています。今回の事件に関しても、正しい裁判のため、また今後の類似事件防止のために役立つような、有益な精神鑑定が行われることを期待しています。
<ストーカー犯罪の防止法:SNSがアイドルも一般の人をも危険にさらす>
個人と社会の心の問題を考えていくことが、ストーカー犯罪防止につながります。