なでしこリーグ2連覇に王手。ベレーザは”苦手”を克服し、優勝を引き寄せることができるか?
なでしこリーグ1部は、4試合を残して早くも首位の日テレ・ベレーザ(以下:ベレーザ)が2連覇へのカウントダウンに入っている。
10月2日(日)に行われた第15節では、5位アルビレックス新潟レディース(以下:新潟L)と対戦。ベレーザが勝ち、2位のAC長野パルセイロ・レディース(以下:長野L)が敗れた場合は優勝が決まる状況を迎えていた。
【見どころ】
今季首位を独走するベレーザは、7月10日のリーグカップ・コノミヤ・スペランツァ大阪高槻戦以来、9試合連続の無失点を続けており、一方ゴール数は9試合で「30」と、無類の強さを見せている。
そして、この試合は、ベレーザにとって負けられないもう一つの理由があった。新潟Lは、今季ベレーザが公式戦24試合で唯一敗れている相手なのである。
ゴールデンウィーク(5月3日)に行われたアウェイでの一戦。ベレーザは新潟Lの堅い守備をこじ開けられず、逆にカウンターの一発に沈み、0−1と敗戦。
”波乱”は、それが初めてではなかった。
昨シーズン、ベレーザは5年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたが、リーグ戦(レギュラーシリーズ)で唯一土をつけられた相手が新潟Lだった。さらに、年末の皇后杯準決勝でも新潟LにPK戦の末に敗れ、連覇を阻まれている。試合前には「苦手とする新潟に勝ちたい」という声も聞こえてきた。その”苦手”を払拭し、ベレーザは優勝に王手をかけることができるのか。それとも、新潟Lが意地を見せるか。
両チームのスターティングメンバーは以下のようになった。
【ベレーザ】
FW 9田中美南
FW 10籾木結花
MF 14長谷川唯 5隅田凜
MF 20阪口夢穂 7中里優
DF 6有吉佐織 3村松智子 22岩清水梓 2清水梨紗
GK 21山下杏也加
【新潟L】
FW 13川崎咲耶※ 10上尾野辺めぐみ
MF 28八坂芽依 24佐伯彩
MF 15阪口萌乃 20山田頌子
DF 14小原由梨愛 3中村楓 17久保田麻友 4渡辺彩香
GK 福村香奈絵
※崎の右側は「大」ではなく「立」
【試合レポート】
会場は、東京都調布市の味の素スタジアム西競技場。10月に入っても残暑は厳しく、30度を超える真夏日となった。
試合は序盤から、ベレーザがボールを保持しながら攻め込んでいく。だが、新潟Lは最終局面で人数をかけて決定的な形を作らせず、カウンターやセットプレーからチャンスを作っていく。この形こそ、今季ベレーザを苦しめた新潟Lの持ち味である。カウンターも大味なロングボールではなく、ボランチの阪口(萌)や司令塔の上尾野辺めぐみを経由したスピーディで正確なダイレクトパスで、ベレーザの素早い寄せをかいくぐり、一気に前方にボールを運んでいく。
だが、ベレーザもCBの岩清水と村松、GK山下を中心としたスムーズな連携で、ゴール前に鉄壁を築く。ちょっとやそっとの揺さぶりにはびくともしない安定感がある。
均衡が破れたのは、拮抗した展開が続き、前半も終わろうかという時間帯だった。
前半アディショナルタイム、GK山下のロングフィードを阪口がスルーし、跳ねたボールがゴールに向かう。ここで相手のクリアミスを見逃さず、籾木がGKとの1対1を冷静に制して決めた。リーグカップ決勝戦でも2ゴールを挙げるなど、20歳の若きFWは今季、圧倒的な存在感を見せている。待望の先制ゴールを決め、両拳で力強いガッツポーズを作った。
後半、新潟LはFW大石沙弥香を投入。大石は昨年4試合で3得点を決めている、”ベレーザキラー”である。サイドが活性化し、新潟Lに流れは傾きかけた。だが、シュートはことごとくベレーザの守護神、山下の手中に収まってしまう。
ベレーザは51分、右サイドの隅田のクロスに抜け出した籾木が、2人に挟まれながらGKの位置を見極めた技ありのループシュートで2点目。
このゴールを皮切りに、後半はベレーザのゴールラッシュとなった。
62分には左サイドの長谷川のクロスに田中が抜け出し、GKの頭上を越えるループシュートで3点目。68分には、右CKをニアで田中が高い打点で合わせて4点目。その4分後には、GK山下からのロングフィードを中里が落とし、走り込んだ田中がGKとの1対1を制して、わずか10分間でハットトリックを達成。
スタンドに座っていても灼けるような暑さの中、前半から守備に奔走した新潟Lの消耗は激しく、終盤は一方的なベレーザのペースに。後半アディショナルタイムには、ペナルティエリア外の混戦から田中が左足を振り抜き4点目。終わってみれば6−0と、ベレーザの圧勝に終わった。
新潟Lはこの日、「希望郷いわて国体」の1回戦と日程が重なり、新潟県選抜として出場しているCBの左山桃子が欠場。今季リーグ戦でフル出場を続けてきた彼女の穴を埋めたのは、最近FWからCBにコンバートされた久保田麻友だった。身体と空中戦の強さを買われてコンバートされた異色のCBは、新たなポジションで日々成長を見せているが、この日マッチアップしたのはキープ力と飛び出しでベレーザの攻撃を支えるFW田中美南。結果的に6失点を喫し、力の差を見せつけられた試合となったが、感じるものは大きかったはずだ。CBを組んだキャプテンの中村楓も、残り2試合に向けて気を引き締める。
一方、ベレーザのゴールラッシュを支えたのが、ボランチの阪口をはじめとした、中盤から後ろの7人である。全員が献身的に走り、黒子に徹することもできる。他のチームにとっては潰しどころがなく、分かっていても「防ぎようがない」。
2試合連続4ゴールを決めた田中は、前節まで得点ランクトップを走っていた首位の横山久美(長野L)を抜いて「17」ゴールとし、ランキング首位に躍り出た。
10試合連続無失点試合の記録を支えるGK山下の存在も大きい。代表正GKの座を狙う若き守護神がどこまで記録を伸ばすのか、残り2試合も目が離せない。
試合は、その後に行われた試合で2位の長野Lが勝利したため、ベレーザの優勝は次節以降に持ち越された。次節はアウェイで4位のベガルタ仙台レディースと対戦し、勝利すれば2年連続のリーグ優勝が決まる。
公式記録はこちら
(日本女子サッカーリーグ公式サイトより)
他会場の結果は以下。
※順位は試合後
・ジェフユナイテッド市原・千葉レデイース(7位) 1-3 INAC神戸レオネッサ(3位)
・コノミヤスペランツァ大阪高槻(9位) 2-0 岡山湯郷Belle(10位)
・浦和レッドダイヤモンズレディース(8位) 1-2 ベガルタ仙台レディース(4位)
・AC長野パルセイロレディース(2位) 1-0 伊賀FCくノ一(6位)
【試合後監督・選手コメント】
★森栄次監督(ベレーザ)
ーー試合を振り返って
重要な試合だったので、入り方は少し硬かったですね。「大事な試合だ」ということは、みんなも分かっていると思うんですが、僕の方でも緊張してしまって、自分の気持ちが出て強くそのことを言いすぎてしまったかな、と反省しています。とにかく、まず1点入れることができればうちのペースに持っていけると感じていましたし、1点目は後半の途中ぐらいになるかな、と予想していたので、試合運びは悪くなかったと思います。この暑さで、体力勝負という面もありましたし、新潟さんも後半は(運動量が)落ちてきた中で、選手はよく頑張ったと思います。
ーー大事な試合が終わって、今の率直な気持ちは?
ホッとしています。今日は引き分けではなくどうしても勝ちたい試合でしたので。次につながる勝利ですし、苦手としている新潟さんにどうしても勝ちたい、という気持ちもありました。
ーー前回リーグの対戦では良い攻撃の形を作らせてもらえませんでしたが、今日はどこにポイントを置いたのでしょうか?
試合の入りは、田中美南のところにボールが収まるかどうかを確認してほしいと伝えました。それで、真ん中でもサイドでも、とにかく彼女のところでボールを集めて、みんなが前向きに攻撃できるようにしようと。それと、中盤は高い位置でボールを取りに行くことを意識しました。そのあたりは前回対戦と違うところです。ディフェンスのところで激しく行けていたと思います。
ーー昨年の同時期と比べて得点数が圧倒的に多いですが、今季の攻撃力への手応えは?
一番良いのは、高い位置でボールが取れてショートカウンターがハマっていることですね。とにかく1点、2点取ってしまえばうちのペースで、ポゼッションして緩急をうまく使いながら相手を来させて隙間を作るという戦い方ができている。あとは運動量ですね。若い選手はこの暑さでも走り込んでいるし、ボールを一生懸命追いかけて、(阪口)夢穂も食らいつく姿勢を見せてくれている。 若い子たちも難しい試合を勝つことで自信をつけているなというのがプレーでも見えてきているし、後ろで、アリ(有吉)とか岩清水(梓)とか夢穂とか、ベテランがよくサポートしてくれているのが非常に大きいですね。後ろで構えていてくれて、「あとは自由にやっておいで」という感じがいいですね。
ーーゴールを決めた籾木選手と田中選手への評価は?
2人とも自信をつけていますし、2人のコンビネーションが良くなってきている感じはしますね。田中はコンスタントに試合に出ているのは伸びている部分だと思います。彼女の存在の良いところは、相手コートでボールを収めてくれるということです。高い位置でボールが収まる。それができているので、シュートが入らないところは目を瞑っています(笑)得点王に近づいているのも成長の証だと思いますね。
★DF岩清水梓(ベレーザ/キャプテン)
ーー前線は頼もしい?
そうですね。みんな技術が高くボールをつないで、よく動けていて、後ろから見る風景はどのチームよりも自信がありますね。
ーー他会場の結果によっては優勝が決まる状況でした。ロッカールームで試合前はどんな話を?
長野の結果次第ということでしたけれども、この一戦が大事ということは監督からも言われていましたので。大事な試合を勝ち切れて良かったです。
ーー2冠に王手です。
リーグ連覇は目指していたところですし、もうすぐ手の届くところにあるので、最後まで頑張ります。ベレーザのサッカーが一番だと自分は思っていますし、これが日本で一番のサッカーと言えるように表現し続けたいです。
★MF阪口夢穂(ベレーザ)
ーー後ろで前線の選手が伸び伸びプレーできるようにサポートし続けていました。
そんなことはないですよ。今日は一番いい時間帯に得点が取れて、後半もいい感じで進められていたので、「あまり前に上がらずに後ろにおろう」という風に考えていたんです。
ーー得点を自分が決めることに対してはこだわっていないですか?
0−0が続く時は「前に上がって点を取りに行こう」と思うんですが、こういう試合では得点に対して貪欲にはならないですね。前の(攻撃の)選手が点を取ってくれるし、得点を取らせてあげたいです。田中(美南)選手は得点王争いをしていますし。でも、最後のチャンス(ゴール前でヘディングがバーに当たった)は決めなあかんところでした。どちらかというと、1−0の(試合を決める)1点を取りたいですね。そういう時に頼りになる選手になりたいと思っています。だから、今日のように点が入る試合は「みんな、攻撃しておいでー!」と(笑)
ーー試合前はプレッシャーを感じましたか?
いえ、いつもと変わらない感じでしたよ。「優勝!」と意識しすぎると固くなると思うんですが、最近は目の前の1試合を勝つことにこだわってやっているので、それがいいのかもしれませんね。
ーープレーに波を作らない秘訣を教えてください。
これは自分の中の感覚ですが、たとえば「今日ボールにちょっと足が付いてないかも」と思う時は、「今日は守備を一生懸命やろう」とか、「今日はシュートが入らないから味方に出そう」という風に、試合によってプレーを変えています。大体はその試合のファーストタッチで分かります。もちろん、試合の流れの中で考えを変えることもありますが、たとえば点が取れる試合であれば、後ろで構えて(ボールを)散らす役割を考えているし、点が取られへんかったら、センタリングには絶対に中で入るようにする、とか。波がないように見えるのは、そういう風にしているからかもしれないですね。
ーーリーグ連覇は目前です。
自力で決めるのが一番良い形だと思います。個人的にもリーグ優勝は去年が初めてで、連覇なんて夢のまた夢でしたから。もしできたら本当に嬉しいですね。ぜひ、優勝が決まる瞬間を見ていただけたらなと思います。
★FW籾木結花(ベレーザ)
ーー試合を振り返って
優勝がかかっていましたし、前節(リーグ7節)で負けた相手でこの試合にかける思いも強かったので、勝てたことにホッとしています。序盤はボールを持てている時間帯が思ったよりも長かったんですが、最後のところでディフェンスの枚数が多いので、結局相手ゴール前でボールを回す形になってしまって、シュートまで行ける回数は少なかったです。後半はうまく裏に抜け出す形で得点が入るようになったので、前半は裏への動きが足りなかったですね。
ーー先制ゴールと2点目で試合が楽になりましたね。
自分がシュートを打てると思わずにプレッシャーをかけに行ったんですが、うまく前に転がってきたので、冷静に決めることを意識しました。前半の最後、どちらも無失点で終えたいというところで点を取れたことは良かったです。2点目はパスを受ける前に(隅田)凜さんと目が合ったので、ボールが来るなと思っていました。裏に良いボールを出してくれると信じて走って、その通りになりました。
ーー田中(美南)選手とのコンビネーションはどうでしたか?
前半は田中選手との距離が遠いと感じていて、ハーフタイムに監督にも言われたんですが、離れているとお互いに孤立してしまって、どちらかがボールを受けた時にサポートできなくてリズムが作れなかったんですが、後半はお互いの距離が近くなるように意識しました。
ーーCKなど、セットプレーのキックは蹴り分けていますか?
今週一週間、相手の映像を見たり、セットプレーの練習でも狙っていた場所でした。田中選手がうまく合わせてくれたので、アシストできてうれしかったです。
ーー若い選手同士の競争意識は活性化していますか?
普段の練習から、お互いに潰し合うようなプレーをしていますし、どのチームよりも練習の意識は高いのかなと感じています。若手だけでもなく、チーム全体として競争ができていると思います。
★FW田中美南(ベレーザ)
ーー暑さの中で4得点を決めました。
前半の終わりに籾(木)ちゃんが決めてくれて、そこから流れがきました。前半の序盤からはベレーザのサッカーができていたし、自分的にも今日は行けるなという雰囲気があったので。その中でも4点取れたのは良かったです。 珍しく、チャンスを全部形にできた手応えはあります。今日は苦手意識のあるアルビだったので、誰が決めてもいいのでとにかく勝ちたいという気持ちだったんですが、自分がゴールを取れたことは仲間に感謝しています。
ーー2試合連続4ゴールをとって、感覚が覚醒したような感じはありますか?
前節は得点をなるべく多く取りたいという気持ちで入りましたが、今日はチームのために点を取りたいと思っていました。決めるところで決め切れたというのは、今日だけを考えたらすごく大きな自信になりました。
ーー去年と比べて一番変化したところは?
今シーズンは最初から得点王という目標を掲げてプレッシャーをかけてきました。去年は自然と得点を積み重ねて2位になって、得点王を狙い始めたんですが、1点差で得点王になれなかったので。今年は去年の反省を踏まえて、シーズンの最初から意識しました。個人的には、個人タイトルよりもチームが勝てれば良いという思いでプレーしているんですが、今は、ベレーザが良いチームであることを証明するために、得点王を取りたいと思っています。(自分にプレッシャーをかけていることが良い方向に出ている?)そうですね。日々の練習から得点にこだわるようにしていますし、体幹など、当たり負けしないような体づくりは取り組んでいます。
ーー具体的には?
体幹トレーニングや筋トレを意識的にやっています。体幹はトレーナーの方にメニューを作ってもらったり、体脂肪が増えないようにして、見た目にもしまった体になるように気をつけています。
ーー(得点ランクを争う)横山(久美)選手へのライバル意識はありますか?
長野が今年から上がってきて、2位と健闘を見せていますけれど、ベレーザが優勝することと得点王は譲れないところです。横山選手のことを尊敬している部分もありますし、シュートのキックの精度などはすごいなぁと思いますが、負けたくないですね。
ーー10試合無失点。前線からの守備の手応えはどうですか?
攻守の切り替えは特にチームとして意識しているのはありますが、最後は後ろの選手が体を張ってくれたり、ゼロで抑えてくれていることが、前線が得点を取れている理由です。勝てているのは後ろの選手のおかげですし、そこをしっかり評価してもらいたいですね。
ーーコンスタントに試合に出ていることについては?
監督からは良い時も悪い時も使い続けてもらって、かけてもらう言葉でも信頼されているなという思いが伝わってくるので、それに応えたいという思いがあります。
★GK山下杏也加(ベレーザ)
ーー無失点試合が今日で10試合目になりました。
結果が自然とついてきている感じで、この10試合を通してピンチ自体が少なかったのと、シュートをされても、ディフェンスの選手や全員が体を張って守ってくれている結果だと思っているので、あまり実感がないんです。
ーー今日はゴールに直結するフィードも2つありましたが、その点は元フィールドプレイヤーの強みも生かせたのでは?
最近、キックが安定していなかったんですが、今日はたまたま、相手が逆を取られたような形で、得点に絡めたことは嬉しいですね。ただ、やはりそれ以上に無失点で終えられたことの方が嬉しいです。頼もしいフィールドプレイヤーが点を取ってくれるので安心して守れています。
ーー昨シーズンに比べて今シーズンの成長は?
去年の自分から見ると、今は代表で海外でプレーする経験もできたので、コーチングができるようになったり、心に余裕ができてきました。そこは去年と違うところだと思います。
ーー今シーズンはあと2試合です。(無失点の)記録にはこだわっていますか?
去年も無失点の記録があって、その時は記録を意識していたんですが、今年は失点数よりも、「優勝する」ということを強く意識していて、そこに結果がついてくるのかな、と思っています。続いている記録を、今いる選手達と残したいなという気持ちがありますね。去年は他力で優勝したんですが、今年は(2位以下に)差をつけて優勝したいです。来シーズン以降は他のチームにとって、ベレーザが越えるべき目標になればいいなぁと思っています。
★辛島啓珠監督(新潟L)
ーーどのようなゲームプランで臨んだのですか。
プランとしては前半は0−0で行って、後半になんとか点を取って、たとえ1点取られても1−1で終われれば良いかなという考えでした。1失点目は相手のゴールキックから競ったこぼれ球を決められましたが、崩されたわけでもなかったので。そういう意味ではイージーな失点を食らってしまいました。チャンスがないわけではなかったし、後半立ち上がりは特に注意しようと言っていた中で、ビルドアップを引っ掛けられてしまい、あの2点目はきつかったですね。やはり2点取るのは難しいし、前半、暑い中でボールを回されて消耗していましたから。その後も失点を重ねましたが、田中美南選手や、籾木選手の質の高い動き出しとか決定力はやはり素晴らしかったと思います。相手を讃えたいですし、特に田中選手の4得点は素晴らしいパフォーマンスでした。
ーー後半立ち上がりに大石選手を入れて、攻撃は活性化したように見えました。
そうなんですよね。だからこそ、そこでの失点の取られ方が悔やまれます。(大石)沙弥香が入って、雰囲気が変わって、こっちもちょっとボールを持て出したところでの失点だったので。
ーーセンターバックのコンビネーションはいかがでしたか?
コンビネーションは悪くなかったのですが、田中美南選手は間からすっと抜け出す力がありますし、スピードとタイミングが良いので、仕方なかった部分もあるのかなと。質の高い出し手と受け手の動き出しでやられましたね。負けている状況など、ラインを高くした中でも守れないといけないと思うんですが、(久保田)麻友もFWからDFに移ってまだ経験がないですし、そういう意味ではしっかり今日のプレーを次につなげてもらいたいです。
ーー残り3試合は。
下位のチームとホームでの試合が2つ続くので、今日のことはあまり引きずらないで、自分たちが積み重ねてきたサッカーを継続して、結果を出したいです。
★DF中村楓(新潟L/キャプテン)
ーー試合を振り返って
前半からラインはバタバタしていたのですが、粘り強く守ることができたので、後半も続けることと、もっと余裕を持って自分たちのプレーができるようにと話して(後半に)臨みましたが、失点を重ねてしまいました。
ーー勝ったリーグ前半戦を踏まえて、どのように入りましたか?
相手のこれまでの試合を見て、複数得点の試合が多いので、厳しいゲームになるだろうというのは理解していました。その中でも一人一人が強い気持ちで戦おうという話はしました。個人的にも、相手に仕事をさせないことを意識して戦ったので、1失点に抑えられたのは良かったんですが、後半に継続できなかったのは課題です。(暑さの中での集中力について)久々に暑い中での試合だったので、少なからず影響はあったかもしれないですね。
ーーセンターバックの久保田(麻友)選手とのコンビネーションは?
90分間通して一緒にやったのは初めてだったので、練習を積み重ねなければいけないですね。久保田選手も元々は攻撃の選手なので、ラインを下げるタイミングは周りでも合わせていかなければいけないですし、ゲームの中で話はしていました。
ーー残りの3試合で勝点9を取るために大事なことは?
気持ちを緩めずにしっかり勝つこと、複数得点を取ることを意識していきたいです。
'★MF上尾野辺めぐみ(新潟L)
ーー試合を振り返って。
前半終了間際の失点が痛かったなというところと、後半の立ち上がりにもう一回切り替えてやろうというところで失点してしまったのが悔しいところです。前回対戦した時(リーグ第7節)は、守備のところがしっかり連動してできていて、その中で最後にカウンターで決めることができたので。チャンスをものにしたのがベレーザの強さだと思いますし、それが上位にいるチームの強さだと感じます。今日は相手の思い通りにやられてしまったので。勝ち点3でも1でも欲しいところだったんですが、残り全勝する勢いで、最後まで上位を目指したいと思います。
ーー前回対戦は阪口選手をかなり警戒していましたが、今回は?
そうですね。やはり彼女のところからすごく良いボールが供給されますから。ただ、周りの若い選手たちも前回よりスムーズに戦っている感じがしましたし、阪口選手を抑えても他の選手がしっかり動いていたので、本当に掴みづらかったです。
ーー最近は前線で若い選手たちも積極的に起用されていますが、コンビネーションの手応えはいかがですか?。
試合を重ねるにつれて連携はスムーズになってきたかなと思いますが、こういうプレッシャーが強い相手に対してどうかな、というところがあるので。もっとしっかりコミュニケーションを取って、若い選手も自分から動き出すところを出していけたら、チームとしても良くなると思います。
ーー代表へのモチベーションについてはいかがですか。
代表合宿で、上手い選手が何人もいる中でプレーして、また刺激が入ったな、と感じました。今日はこういう結果でしたけれど、今後もリーグで結果をしっかり残して、また選ばれるように頑張りたいと思います。