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注目が集まる佐々木朗希の次回登板!MLB全19投手の成績は8勝7敗、平均防御率4.06という事実

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ブレーデン投手は完全試合達成後の登板で敗れながらも完投している3人の1人だ(写真:ロイター/アフロ)

【いよいよ明日登板の佐々木朗希投手】

 4月10日のオリックス戦で日本新記録となる13者連続奪三振を含む日本タイ記録の19奪三振を記録するとともに、史上最年少の弱冠20歳で28年ぶりに完全試合を達成するという圧巻の投球を披露したロッテの佐々木朗希投手。

 まさに記録ずくめの快挙に、日本のみならず米国でもMLB公式サイトをはじめとする主要メディアも取り上げるほどの話題となり、米国中の野球ファンに佐々木投手の名前を印象づけている。

 そんな中、明日4月17日の日本ハム戦で次回登板に臨む佐々木投手の投球にすっかり注目が集まっており、地元の関東エリアでは急きょ地上波放送が決定しているようだ。

 今も連続イニング奪三振記録も継続中で、その投球に多くの人たちが目を向けることになるだろう。

【MLBで完全試合を達成した投手たちの次回登板は?】

 すでに本欄でも報告しているように、NPBより歴史の長いMLBでも「現代野球(Modern Era)」と言われる1900年以降、完全試合を達成した投手はわずか21人しかいない。そんな彼らと比較しても、佐々木投手の完全試合は、20歳という達成年齢、19奪三振、4月10日という達成時期という3点で、突出したものだったことが理解できる。

 そこで折角完全試合を達成した21人の投手を調べ上げたのだから、彼らの次回登板がどんなものだったのか個人的に気になり、さらにチェックしてみることにした。

 完全試合はMLBでも達成困難な偉業だけに、彼らの次回登板も、相当注目を集めていただろうことが容易に想像できる。

 ただし21人の投手のうち、1956年のドン・ラーセン投手はワールドシリーズの第5戦で、また1984年のマイク・ウィット投手はシーズン最終戦で完全試合を達成しており、次回登板は翌シーズンに持ち越されているので、今回は対象外にしている。

【全19投手の成績は8勝7敗で平均防御率は4.06】

 早速下記の表に注目して欲しい。19投手の完全試合達成後に迎えた次回登板の成績について、登板間隔、勝敗(白丸は勝利、黒丸は敗戦、△は勝敗つかず)、投球イニング数、被安打、失点(括弧内は自責点)、奪三振数、与四球数をまとめたものだ。

(筆者作成)
(筆者作成)

 まず単純なことだが、すべての投手が次回登板で安打を許しており、連続イニング無安打記録が途絶えている。もちろんそれを継続できていれば、2試合連続で完全試合、もしくはノーヒットノーランを達成することを意味するので、それこそ夢物語になってしまう。

 全19投手の成績をまとめてみると、8勝7敗、平均防御率4.06になった。完投している投手も1904年のサイ・ヤング投手、1981年のレン・ベイカー投手、2010年のダラス・ブレーデン投手と、わずか3人に止まっている。

 どんな偉大な投手といえども、所詮は人間だ。2試合連続で圧巻の投球を続けるのは至難の業だということなのだろう。

【延長15回完封勝利を飾っているサイ・ヤング投手】

 だが1人だけ、圧巻の投球を披露している投手がいる。その名前が年間最優秀投手賞に冠されているヤング投手だ。

 彼は1900年以降最初(1904年5月5日)に完全試合を達成し、中4日で迎えた次回登板でも延長15回を投げきり、完封勝利を飾っているのだ。しかも当時の年齢は37歳と、怪物ぶりを披露している。

 今も伝説の投手として、その名が語り継がれているのも頷けてしまうエピソードだ。

 ちなみに19投手のうち、完全試合後の登板で無失点だったのは、サイ・ヤング投手の他にアディ・ジョス投手しかいない。

 このジョス投手もなかなかの怪物で、1908年10月2日にヤング投手に続き1900年以降2度目の完全試合を達成した後、わずか中1日で次回登板に臨み、6.2イニングを投げ2安打無失点の好投を演じている。

 果たして佐々木投手は、次回登板でどんな投球を披露してくれるのだろうか。先人たちの過去を加味しながら、あまり期待しすぎず(入れ込みしすぎずに)に見守っていくことにしよう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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