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MLBでも相当に希有だった佐々木朗希の完全試合!2度達成なら日米で唯一無二の存在に

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLBでも2012年のヘルナンデス投手以来完全試合が達成されていない(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【米国にも衝撃を与えた佐々木投手の完全試合】

 4月10日にロッテの佐々木朗希投手が成し遂げた快挙はあまりにも凄すぎて、一夜明けても彼のニュースが後を絶たない。

 プロ入り初の完投試合が完封勝利だけでも賞賛に値するのに、それだけに止まらずNPBでは28年ぶりの完全試合を史上最年少で達成し、しかも日本新記録となる13者連続奪三振を含む日本記録タイの19奪三振まで成し遂げてしまったのだから、佐々木投手の快挙に日本中が興奮させられてしまったのは仕方がないことだ。

 まさに漫画の世界というか、異次元の投球は、米国でも注目を集めることになった。MLB公式サイトでも「日本の天才が完全試合で19奪三振を記録」というタイトルで、大々的に報じているほどだ。

 数々の記録で埋め尽くされたMLBでも、佐々木投手の完全試合はそれだけ格別なものだということを意味している。

【MLBでも最年少&最多奪三振】

英語版ウィキペディアによれば、これまでMLBでは、継投を含め計314回のノーヒットノーランが達成されているのだが、そのうち完全試合となるとたった23回に絞られてくる。それだけ完全試合は、MLBの世界でも達成困難な快挙といっていいだろう。

 ただしこの23回には近代野球(1900年以降の野球をそう呼ぶ)以前に達成された2回分も含まれており、近代野球以降に限るとさらに21回まで減ってしまう。

 ちなみにMLBで最後に完全試合が達成されたのは、2012年8月15日のフェリックス・ヘルナンデス投手(当時マリナーズ)によるものだ。この年はMLB史上初めて3人の投手が完全試合を達成している。

 その21回の完全試合を改めてチェックしてみると、今回の佐々木投手の快挙がさらに際立ってくる。

 まず達成年齢だが、最年少は1968年5月8日に完全試合を成し遂げた、ジム・ハンター投手の22歳だ(ただし近代野球以前の記録を含めると、1880年6月17日に達成したジョン・モンゴメリー投手の20歳105日で、多少佐々木投手よりも若くなる)。

 他の20人の達成者の年齢を見ると、20代が12人、30代が7人、40代が1人──となっており、最年長は2004年5月18日に達成したランディ・ジョンソン投手の40歳だ。

 また達成者の平均年齢が29.8歳であることからも、MLBで完全試合を達成している投手は、勢いのある若手投手というよりも、実績を積んだ中堅以降の投手の方が多いというのが理解できるだろう。

 次に完全試合における奪三振数を見ると、21回中10回が10奪三振未満で、残り11回が二桁奪三振を記録している。最多は1965年9月9日に達成したサンディ・コーファックス投手と2012年6月13日に達成したマット・ケイン投手が記録した14奪三振だ。

 つまり年齢的な面でも、奪三振数においても、佐々木投手の完全試合はMLBでもかなり突出しているのだ。

【完全試合達成時期でも佐々木投手が日米最速】

 それだけではない。完全試合の達成時期でも、佐々木投手は異彩を放っている、

 すでに日本で報じられているように、佐々木投手の完全試合達成はNPB史上16人目の快挙だが、これまでの達成時期を見ると、過去15人の達成者のうち4月に達成した人は誰もいない。

 この傾向はほぼMLBにも当てはまり、21回記録されている完全試合のうち、4月に達成されたのは2回しかない。1922年4月30日に達成したチャーリー・ロバートソン投手と、2012年4月21日に達成したフィリップ・ハンバー投手の2人だ。

 同じ4月といっても2人は下旬での達成で、上旬で達成した佐々木投手より、開幕から数試合多く登板できている。つまりシーズン開幕後3試合目での完全試合というのも、日米最速記録であるのだ。

 プロ3年目で成長途上というだけでなく、シーズン開幕直後でコンディションも決して万全とはいえない時期での完全試合達成は、それだけ重みがあるものだといっていいだろう

【MLBにも存在しない完全試合の複数達成】

 まだ20歳という若さで、完全に相手打者を圧倒した投球内容に、すでに完全試合の再現を期待する声が高まっている。

 だがNPBを上回る長いMLBの歴史の中でも、未だ完全試合を2度達成した投手は存在していないのだ。

 仮に佐々木投手がそれを実現するようなことになれば、その時点で彼の存在は伝説と化すことになる。

 本当に末恐ろしく、楽しみな投手が現れたものだ。しばらくは佐々木投手の登板に日本中が一喜一憂することになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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