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NBAの名物オーナーが大統領選に出馬する可能性は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
TV番組で大統領選出馬を匂わせたマーベリックスのマーク・キューバン・オーナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【キューバン氏が大統領出馬を否定せず】

 NBAマーベリックスのマーク・キューバン・オーナーが、FOXニュースの番組に出演し、2020年の大統領選に独立候補として出馬する可能性を匂わせた。

 その動画は、FOXニュースの公式アカウントがツイッターに投稿されている。

 キューバン氏が応えた内容は以下の通りだ。

 「非常にユニークな状況になっている。(大統領選出馬は)絶対にないとはいえない。1ヶ月前ならば決して考えもしなかったが、状況が急速に、しかも劇的に変化を続けている。ただ(出馬に向け)積極的に働きかけているではなく、(可能性としての)ドアは開いている。

 今日の時点では、たぶん(出馬は)ないだろうし、起こらないと思う。だが繰り返すように、あまりに多くのことが変化してきている。本当に何が起こるか分からないし、かつてない事態に陥っている。現状を踏まえれば、(出馬を)ノーとはいわない。昨年11月から現在に至るまで、こんなことになるなんて誰も想像できなかった」

【家族の反対で一度は断念】

 キューバン氏が「昨年11月」と話しているのは、彼はその時期に大統領選出馬に興味を持ち状況を観察していたが、家族の強い反対があり断念していた。

 しかし新型コロナウイルスのパンデミックで米国中が混乱を極める中、トランプ大統領と民主党のバイデン候補は、満足に選挙運動すらできない状況に陥っている。

 それでも2候補の存在は大きく、独立候補が簡単に太刀打ちできるものではないが、キューバン氏が指摘するように、米国民の関心や意識は間違いなく変化している。またトランプ大統領、バイデン候補ともにすでに70歳を超えており、現在61歳のキューバン氏は、彼らにない若さを持っている。

 新型コロナウイルスの混乱から米国を復活させる救世主的な存在になれれば、一気に人気を奪い取れる可能性は否定できない。

【歯に衣着せぬ発言でNBAの“罰金王”】

 キューバン氏は、NBAで最も有名なオーナーとして知られている。

 放送事業で財を築き上げたキューバン氏は、2000年にマーベリックスの買収に成功。試合中はマーベリックスのベンチ横に陣取り、判定に不満があれば誰よりも先にレフリーに不満をぶつける熱血漢ぶりで、すぐに注目を集める存在になった。

 また普段から歯に衣着せぬ過激な発言を繰り返し、世間を賑わせていることでも有名だ。リーグを批判することもしばしばで、何度もリーグから罰金制裁を受けている。中には“NBAの罰金王”とまで呼ぶ人もいるほどだ。

 だがキューバン氏のキャラクターは各所から批難される一方で、多くの人から支持されているのも確かだ。

 果たして大統領出馬は、キューバン氏お得意のリップサービスなのか、それとも本気なのか。今後の彼の発言に注目が集まりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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