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子どもが春休みのうちにやっておきたいこと -復習編・予習編・番外編―

五十嵐悠紀お茶の水女子大学 理学部 准教授
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世間では子どもは春休み。小学生のいるお宅では毎日どのようにお過ごしでしょうか?

実は夏休みや冬休みと違って春休みは公立小学校では宿題が出ないのが定番。新学期をスムーズに迎えるために、春休みは復習や予習、普段の学習とは違うことに手を付けたりと有意義に使える時間でもあるのです。

1年生の次男を例にとって、どのような過ごし方をしたら2年生につながるか少し紹介してみたいと思います。

復習編

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我が家でも1年生から2年生に向けての春休み。ひらがな・カタカナは全部かけているかな?習った漢字は書き順も含めてきちんと書けているかな?と確認するには最適な春休み。まずは子どもが何ができていて、何ができていないかを親が把握することが必要です。

とは言っても、「勉強するよ」というと「えー」となるので、「何について確認したいか」を明確にして、それを遊びやゲームの中に取り入れながら、できないことを把握することを行います。

例えば、「文字について確認したい」というときには、交換日記をしてみたり、ダイニングのテーブルの上に書き置きをしてみたり。私がお手紙を書くと、息子からも書き置きを返してくれたりして、漢字のトメ・ハネが違ったり、カタカナで表記するべきところがひらがなになっていたりと気づけます。遠く離れたおじいちゃんおばあちゃんに手紙を書かせてみたりもしてみました。

また、電車に乗っているときなど、静かにしていなければいけない場面で我が家でよく登場するのは「お絵かきしりとり」なのですが、ちょっと発想を変えて、口では言葉を出さずにノートにカタカナ表記で交互に書いていく『しりとり』をしてみたところ、テンポよく書けるカタカナと「えーと・・・」と悩んでいるカタカナを見つけることができました。ちなみに我が子は「ヌ」とか、「ヲ」などいくつかの文字を迷っていました。

できないことを見つけたら、今度はそれをゲームの中に取り入れながら覚えさせることもできます。子どもから見たらただ遊んでいるだけ。でもちゃんと復習になっている、というわけです。

予習編

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ちょっぴり予習をしたい1年生にお勧めなのが掛け算九九。2年生になると必死で覚えなくてはいけないのと時間もかかるのですこーし先取りすることで余裕が生まれます。そしてこれから先、計算が早く・確実にできるようにするためにも九九は必須でもありますし、逆に九九ができないために「算数が苦手」と思ってしまうのももったいないです。

我が家でも兄が2年生のときに必死で覚えている横で「ににんがし!」と横から口出しをして怒られていた弟も本格的に覚えなければいけない日が近づいています。

小学校の教科書をもらって習い始めてみるとわかるのですが、実は掛け算九九は1の段、2の段、3の段、…という順に覚えるのではなく、まずは5の段、そのあと2の段、とわかりやすい順番で覚えるようになっています。

ところが、自宅学習で先取りをしようとすると、どうしても1の段、2の段、3の段、4の段、と順番に覚えさせようとしがち。2年生の教科書を手にするのがまだ先のご家庭では本屋さんで学研や公文などのドリルを書店で購入してみると覚えやすい順になっていてきちんと考えられているのがわかります。または近所の図書館で実は教科書を借りられることもあります。

ただ、これもドリルでやろうとすると、『勉強』という感じになるので、ゲーム感覚で取り入れられないか考えてみました。

いろいろ子どもたちの遊びを観察していると、うちの子どもは3人兄弟なので、「3でわりきれる数」だけは妙に計算が早いことに気づきました。9個のおやつがあったら、「3つずつね」というように。そして、3の段は3人の子どもたちのお皿の上のおやつの数をイメージしながら覚えていきました。飴玉も便利ですが、数が多くなったら、かっぱえびせんやラムネなど、おやつのタイミングで3の段の学習です。

同じように「2の段は子どもたちの靴の数」「4の段は猫の脚の本数」というようにビジュアルでイメージを描きながら考えると掛け算の意味も数字もすんなり入っていったみたいです。

覚える順番が大事なのは実はひらがなも一緒。小学校入学前に「あいうえお」を覚えさせようと自宅学習をすると、どうしても「あいうえお・・・」の順にやらせてしまいがちです。けれども「あ」なんて実はかなり複雑な形ですよね。「あいうえお」が終わる前に断念してしまった子も多いのではないでしょうか。

けれども、小学校での1年生の授業では実は「し」と「つ」から習い始め、簡単なもの、まぎらわしいもの(「ね」「わ」など)をうまくセットにしながら学習していきます。他には、自分の名前、家族の名前から始めてみたりと、学ばせる順番を意識することで子どもはスムーズに学習できるようになります。

普段の学習とは違うモノ

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普段の小学校での学習面とはちょっと異なる方面から力を育てたいな、ということもあるでしょう。デジタルに頼ってプログラミングに挑戦してみてもいいかもしれません。

スクラッチJr(ジュニア)ビスケットなどのビジュアルでプログラミングをしていくものは低年齢児でもわかりやすく、またチュートリアルのビデオなども充実していて初めての人でも自宅で取り組みやすい環境が整ってきています。

スクラッチジュニアではプログラミングとまではいかなくても、写真を撮影して「コマどりアニメーション」をさせながらストーリー性のあるお話を創ったりと創造力を屈しした作品作りもでき、遊びの幅を広げることができるかもしれません。タブレットやパソコンへののめりこみには注意をしながら「親のいる前で」「リビングでだけ」「15分だけ」などお約束をしてやらせてみてもいいかもしれませんね。発想力の豊かさに親のほうがびっくりすることもあるでしょう。

1年生から2年生に上がるタイミングを例にとってみましたが、小学生くらいであれば同じようなことをどの学年にも応用できると思います。算数の単位の換算が苦手だったら、gの感覚をつかむために一緒にお料理をしてみるのもいいでしょう。

小麦粉1kgの袋を買ってきて、ホットケーキを作るために250g使うんだけど、何回作れる?とか考えてみることもできますね。1kg=1000gがわかっていないとできない問題でもありますが、1kgってこのくらい、という感覚を身に着けることも大事だと私は思います。

小学校や塾の先生のように『教えるプロ』にはなれなくても、いつも観察している保護者だからこそ気づける、その子の興味を対象にした教え方を是非試してみてはいかがでしょうか。

(この記事はEnfaniからの転載です)

お茶の水女子大学 理学部 准教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員PD, RPD(筑波大学), 明治大学総合数理学部 専任講師,専任准教授を経て,現職.未踏ITのPM兼任.専門はヒューマンコンピュータインタラクションおよびコンピュータグラフィックス.子ども向けにITを使ったワークショップを行うなどアウトリーチ活動も行う.著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新書),「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子 (ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社),「縫うコンピュータグラフィックス」(オーム社)ほか.

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