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さあ 対戦相手は決まった! ~21日開幕のセンバツ~

森本栄浩毎日放送アナウンサー
直近王者同士が初戦で激突。一昨年覇者の浦和学院・津田主将(左)と平安の江口主将

1915(大正4)年に夏の第1回大会が始まって100年の節目となる今センバツ。その大会に出場した桐蔭(和歌山)や昨春優勝の龍谷大平安(京都)、県岐阜商をはじめ、松山東(愛媛)、静岡、松商学園(長野)など、戦前から活躍した古豪、名門が顔を揃える。注目の組み合わせ抽選会は、13日、大阪市の毎日新聞オーバルホールで行われた。抽選は、同一都道府県のチームは決勝まで。近畿など多くの出場校がある地区でも、準々決勝までは対戦しないような配慮をして次々とカードが決まった。全体を4つのブロックに分けて展望する。学年は新学年。

開幕から激戦必至!大阪桐蔭も初日に登場~Aブロック

九州学院(熊本)-八戸学院光星(青森)

大阪桐蔭-東海大菅生(東京)

常総学院(茨城)-米子北(鳥取)

今治西(愛媛)-桐蔭(和歌山)

開幕戦から強豪が激突する。

常連同士の開幕戦。健闘を誓う九州学院・中原(左)と光星・澤田の両主将
常連同士の開幕戦。健闘を誓う九州学院・中原(左)と光星・澤田の両主将

秋の九州優勝の九州学院は大型右腕の伊勢大夢(3年)と4番の松下且興(2年)を中心に投打の軸がしっかりしている。光星は、昨年の春夏を経験した中川優(3年)と左腕の呉屋開斗(3年)が健在で心強い。12月に室内練習場が完成(八戸大と併用)し、澤田俊一主将(3年)は、「しっかり練習できました。室内なしで実績を残した先輩のことを思えば簡単に負けられません」と気合が入る。大阪桐蔭と東海大菅生も実力派同士。桐蔭が経験で上回るが、西谷浩一監督(45)は、「秋の神宮大会で観ましたが、相手エースの勝俣君(翔貴=3年)は、低めの変化球がよく、この時期に打ち崩すのは難しい」と警戒を緩めない。菅生の江藤勇治主将(3年)は、「強いところとやりたいと思っていたのでうれしい。勝俣が本来の投球をしてくれれば、通用すると思う」と金星奪取に意気込んだ。光星と大阪桐蔭が勝ち上がれば3年前の春夏決勝カードが2回戦で実現する。常総と米子北は、甲子園経験豊富で試合巧者の常総に、継投策の米子北がどこまで食い下がれるか。得点力が落ちる米子北としては序盤の失点を食い止め、終盤勝負に持ち込めれば勝機が生まれる。今治西と桐蔭は進学校同士。今治西のエース・杉内洸貴(3年)は、内野から投手になって日が浅いとは思えない成長ぶりで、大舞台でも力を発揮しそう。打線が上り調子の桐蔭は、しっかり守って終盤に勝負をかけたい。

秋の神宮王者・仙台育英は強豪と連戦~Bブロック

立命館宇治(京都)-静岡

木更津総合(千葉)-岡山理大付

奈良大付-敦賀気比(福井)

仙台育英(宮城)-神村学園(鹿児島)

力のある強豪が揃った激戦ブロック。3者連続本塁打など、爆発的な打力で東海大会を制した静岡に立命館宇治の左腕・山下太雅(3年)が挑む。秋は制球を乱す場面が多々あったが、ベテラン・卯瀧逸夫監督(65)は、「秋よりはコントロールもまとまってきました。ただ、揃えすぎたら打たれますから、ピンチでは思い切って投げてほしい」と期待を寄せる。立宇治は打線も上向きで、5点以上の打ち合いが予想される。木更津総合と岡山理大付は実力伯仲。左右2枚に堅い守りで競り合いに強い木更津総合に対し、理大付は中国大会4試合完投のエース・西山雅貴(3年)が大黒柱。守り合いで3点以内の僅差勝負か。初出場の奈良大付は、昨夏甲子園4強の敦賀気比に挑む。エースの坂口大誠(3年)は、キレのいい速球を軸に抜群の安定感。12日の練習試合でも神戸国際大付(兵庫)を6回無失点に抑えた。田中一訓監督(41)は、「相手は強力打線ですが、坂口はどんなタイプの打者にも臨機応変に対応できます」と信頼を寄せる。相手の敦賀気比は、実績十分の平沼翔太(3年)だけでなく、188センチの大型右腕・山崎颯一郎(2年)も力をつけていて、前チームよりも投打のバランスがよくなった。

仙台育英の佐藤世那は、最速144キロの速球を武器に東北勢初の甲子園優勝を狙う
仙台育英の佐藤世那は、最速144キロの速球を武器に東北勢初の甲子園優勝を狙う

秋の神宮大会王者・仙台育英は2年連続の神村学園と。仙台育英の佐藤世那(3年)は、140キロを超える速球を武器に変化球の精度も高い。打線も平沢大河(3年)、郡司裕也(3年)らが快打を連発する。投打にハイレベルでまとまっていて、東北勢初の甲子園優勝を狙える戦力だ。神村の北庄司恭兵(3年)は右サイドから打ちづらい球を投げる。中盤まで互角に渡り合いたい。仙台育英は、初戦から息の抜けない厳しい組み合わせになった。

王者同士に最注目の152キロ右腕高橋(県岐阜商)~Cブロック

浦和学院(埼玉)-龍谷大平安(京都)

英明(香川)-大曲工(秋田)

県岐阜商-松商学園(長野)

近江(滋賀)-九産大九州(福岡)

浦学と平安は一昨年王者と昨年覇者の好カード。ともに安定感のある左腕と堅守でチームカラーは似ている。浦学の江口奨理(3年)は、球速はそれほどでもないが、緩急を使った投球で打者のタイミングを外すのがうまい。主将の遊撃・津田翔希(3年)を軸にした伝統の堅守は健在で、津田は、「1年生から甲子園に出ているのはぼくだけなので、チームを引っ張っていきたい」と頼もしいセリフ。平安の原田英彦監督(54)は、「(相手は)組織力があるので、一球たりとも気を抜けない。今年のチームはわずかのことでも大崩れする可能性がある。(エースの)高橋(奎ニ=3年)も、寒かったので仕上がりはまだまだ」と昨夏に続く初戦埼玉勢(夏は春日部共栄)相手に不安は隠せない。高橋の経験は頼りになるが、打線は昨年より小粒になった印象で平安としては是が非でも先手を取りたい。四国王者の英明は、左腕の田中寛大(3年)に期待が集まる。打線も、狭いグラウンドながら、「9台のマシンでしっかり打ち込んでいます」(冨田勝貴主将=3年)と上向きだ。大曲工は、東北大会で花巻東(岩手)を延長15回引き分け再試合で破るなど、粘りが持ち味。しっかり守って得意の競り合いに持ち込みめれば面白い。

県岐阜商の高橋は早くもドラフト1位の呼び声。マスクもよく、スター間違いなしだ
県岐阜商の高橋は早くもドラフト1位の呼び声。マスクもよく、スター間違いなしだ

今大会注目ナンバーワンの高橋純平(3年)が投げる県岐阜商は、松商学園との隣県対決。コンパクトなスイングで豪腕に挑む松商は、14盗塁(12試合)の百瀬雅也(3年)が出塁してかき回したい。秋に152キロの速球を投げてプロのスカウトを仰天させた高橋は、「冬に徹底した走りこみをした成果で、下半身に粘りが出てきました。その分、リラックスして投げられるようになってきました」とさらに成長した姿を甲子園の大舞台で披露するつもりだ。こちらも注目の小川良憲(3年)擁する近江は、2年生バッテリーの九産大九州と。秋に調子を落としていた小川だが、多賀章仁監督(55)は、「いい感じで戻ってきました。秋は左打者にかなり打たれましたが、クロスする球に力強さが出てきました」と安心した様子。ただ「(相手投手は)左のサイドなので打ちにくいと思います」と秋に不調だった打線の復調を願う。

試合巧者の天理に機動力の健大高崎、二松学舎のバッテリーも~Dブロック

糸満(沖縄)-天理(奈良)

宇部鴻城(山口)-健大高崎(群馬)

二松学舎大付(東京)-松山東(愛媛)

東海大四(北海道)-豊橋工(愛知)

21世紀枠2校の健闘が期待されるブロック。まずは、秋の近畿王者・天理が糸満の挑戦を受ける。野手レベルが高い天理は、秋の近畿大会で大阪桐蔭を破って、選手たちに自信が漲っている。

天理は2年生の森浦が近畿大会で好投。特に大阪桐蔭を2点に抑えて完投した星が光る
天理は2年生の森浦が近畿大会で好投。特に大阪桐蔭を2点に抑えて完投した星が光る

俊足の上位打者が出て、主軸の坂口漠弥(3年)が還すパターンで得点力は高い。課題は左腕2枚の投手力で、齋藤佑羽(3年)、森浦大輔(2年)がどこまで踏ん張れるか。糸満は主力に左打者が多く、得意の機動力を発揮するには嫌な相手。エース・金城乃亜(3年)が低めに投げて、連打を避けたい。近年の甲子園で最強の機動力を発揮している健大高崎は、秋の中国大会優勝の宇部鴻城と。夏に続く山口勢(夏は岩国)との初戦になる。鴻城の速球派エース・上西嵐満(3年)は、低めの変化球を武器に奪三振も多い。勝負強い4番の岡田克樹(3年)の前に走者をためられるか。健大は、秋は牽制死もあり、看板の「機動破壊」はまだまだの印象だったが本番では必ず仕上げてくる。主戦の左腕・川井智也(3年)が昨夏を経験しているのも心強い。昨夏、大江竜聖と今村大輝の1年生バッテリーが活躍した二松学舎大付は、この二人がさらに成長して甲子園に戻ってくる。機動力を絡めた攻撃も多彩だ。松山東は前チームからエースの亀岡優樹(3年)がどこまで粘れるか。大江から大量点は期待できないため、亀岡の出来が全て。昨夏に続く出場の東海大四は、打力が前チームを上回る。エースの大澤志意也(3年)も安定感が増してきた。豊橋工は、エースの森奎真(3年)が140キロを超える速球を武器に立ちはだかる。しっかり守ってエースを支えられればチャンス十分だ。

Aブロックは開幕2カードがハイレベル。大阪桐蔭が軸になるが、楽な相手はいない。Bブロックも激戦で、敦賀気比、仙台育英の厚みのある戦力に打棒の静岡が絡む。Cブロックは浦学と平安のカードに注目。高橋の県岐阜商、小川の近江も打線の援護次第で勝ち抜く力はある。Dゾーンは天理、健大、二松学舎の上位争いか。初戦から好カードは多いが、強豪はうまく分散した印象。大会ナンバーワン投手の高橋(県岐阜商)が甲子園デビューとなりチームとしての力は未知数。また秋の神宮決勝を戦った仙台育英、浦和学院は昨年の春夏ともに出場を逃した。その分、昨年の甲子園を経験した投手を擁するチームには、若干のアドバンテージがある。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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