南の海上で台風25号が発生するも、日本列島には強い寒気が南下
台風25号の発生
令和元年(2019年)11月12日(火)15時にウェーク島近海で台風25号が発生しました。
この海域の海面水温は、台風が発生・発達する目安とされる27度を上回る29度もあります(図1)。
日本の南海上にほぼ東西に伸びる帯状の前線の南側は、まだ夏の暑さが残っています(タイトル画像参照)。
このため、台風25号は発達しながら西進し、15日(金)には小笠原近海で強い台風に発達しますが、その後は向きを東寄りに変える予報です。
小笠原諸島では、台風が西寄りに進んだ場合は影響を受けますので警戒が必要ですが、日本列島に接近する可能性は低いと思われます。
筆者が以前調査した11月の台風の統計では、東経145度付近を北上するものの、北緯30度まではほとんど北上しないというものです。
台風25号も、ほぼ統計通りのコースを予報していますので、例年通りの11月の台風といえそうです(図2)。
また、フィリピンの東海上にも熱帯低気圧がありますが、この海域の海面水温も29度以上です。
この熱帯低気圧は、まもなく台風に発達する見込みで、台風になれば、台風26号です。
気象庁での熱帯低気圧の予報は24時間先までですが、11月にフィリピンの東海上で発生する台風は、統計的には、西進して南シナ海に入ります。
【追記(11月13日14時)】
フィリピンの東海上の熱帯低気圧は、11月13日9時に台風26号に発達し、西北西に進んでいます。
日本海北部で低気圧の発達
11月13日(水)は、高気圧に覆われ、昼過ぎまで全国的に晴れる見込みですが、沿海州を発達しながら東進する低気圧の影響で夕方以降は雲が多くなり、夜には北日本と西日本で雨となる所がある見込みです。
この低気圧は、日本海北部で急発達をし、大荒れの天気となる見込みです。
図3は、11月14日(木)9時の予想天気図ですが、寒冷前線がほぼ南北に立って通過することを示しています。
寒冷前線がほぼ南北に立っているときは、寒冷前線の東側では、南からの暖気が一気に北上し、西側では北からの寒気が一気に南下しますので、低気圧が急発達し暴風や大雨・大雪の可能性が高くなります。
そして、真冬並みの寒気が南下してきます(図4)。
日本上空約5500メートルの気温分布をみると、北海道には大雪のめやすとされる氷点下36度の寒気が入ってきます。
ただ、寒気本体の南下は北日本どまりで、西日本では寒気南下の影響は一時的です。
北日本と北陸では暴風に警戒
北日本では、14日(木)から16日(土)頃にかけて、日本海側を中心に西よりの風が雪を伴い非常に強く、海は大しけとなる見込みです(図5)。
気象庁では、5日先までに警報を発表する可能性を、「高」「中」の2段階で示す、早期注意情報を発表していますが、これによると、14日(木)に暴風(暴風雪)警報を発表する可能性が「高」の地域は北日本の日本海側から北陸に及んでいます(図6)。
暴風や高波、猛ふぶきや吹きだまりによる交通障害に警戒が必要です。
また、北日本では、15日(金)から16日(土)頃にかけて、日本海側を中心に大雪となる所がありますので、積雪や路面凍結による交通障害に注意が必要です。
また、この雪は湿った雪ですので、樹木や電線等へ着雪しやすく、倒木や架線切れなどの被害にも注意が必要です。
なお、11月14日(木)~15日(金)の2日間に予想される降雪の深さは、北海道から東北北部で1センチ以上、特に北海道の日本海側では多いところで80センチ以上という予想です。
雪は積もっているうちに融けたり、自分の重みで圧縮されますので、降雪の深さがそのまま積雪の深さになるわけではありませんが、16日(土)以降も降雪が続きますので、積雪が増えることには変わりがありません。
最新の気象情報の入手に努め、警戒してください。
タイトル画像、図1、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:「饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁」を著者加筆。
図3の出典:気象庁ホームページ。