何年か前に一度行ったことがあるお店をふと思い出して、訪ねてみることってありませんか？その時の記憶を辿ってたどり着くと、そこにお店はもうありませんでした。

それから間もなくして思いがけない場所で見つけたのですが、驚いたことに地下にあったお店がビルの最上階に。そりゃあ、なかなか見つからない訳ですよね。

場所はJR神戸駅を山側に出てすぐの場所。バスターミナルを左手にして空を見上げると、ビルの最上階に「段」という看板が見えました。さぞかし景色もいいことでしょう、これは是非とも行って確認してみなければ。

お店の中に入ると、壁際が半円状にカーブしていて、その横長な窓からは神戸駅や線路、ハーバーランドの建物などがパノラマ状態に見えています。思った通りの眺めですよ。

では早速、ランチを頂きます。お店一押しの「和(わ)ンプレートごはん」は鶏肉、魚、野菜がバランス良いランチメニュー。そこに2種類のおむすびが可愛く並べられています。

割烹出身の料理長が作っているというお料理は、化学調味料を極力使わず体に優しいものをと手掛けられているそう。野菜も湊川市場の新鮮野菜や、店長さんが育てた手作り無農薬野菜を使ったりもするのだとか。

よく味の染みた大根と煮魚、竹の子のシャキシャキ感や南蛮漬けの甘酸っぱさ。カツオちりめんや鮭のおむすび、そんなひと手間から愛情を感じます。メインのお肉とおむすび以外は、その時々の美味しい素材へと内容も変化。

お味噌汁は「重ね煮」という調理法で作られていました。素材の持つそれぞれの特徴を生かして調理することで、素材本来の甘みや旨味が上手に引き出されています。

このお店、実は居酒屋として30年以上もの歴史があるそうです。「昔は特に健康志向的なお店という訳ではなかったけれども、徐々に変化していきました。長いお付き合いの常連さんにも健康でいて欲しいし、社会貢献になれば」と、店長さん。

「家族連れにはキッズメニューもあり、おもちゃも用意したりします。ゆっくりと楽しんでもらえたら」という言葉に、サービスも行き届いている感じが伺えます。

座席は80席ほど、ソファー席やカウンター席、掘りごたつ式の長テーブルもありました。ディナー時にはハーバーランドの夜の姿も見えるそうで、今度は夜に来てみようかと思います。

自然光いっぱいの店内と、駅を真上から覗き込む楽しさ。地下から最上階へとジャンプアップした「段」は、パノラマに広がる窓から空と街を感じられる、ほっこり空間でした。

日日是 神戸　段