【京都市上京区】冷泉家の桜が咲き始め 近衛邸跡の糸桜は5分咲き 京の桜は来週末が見ごろでしょうか!
京都地方気象台は京都の桜(そめいよしの)の開花を2024年3月24日と予想しています。例年それよりも先駆けて壁にたわわな姿を見せ春を告げる今出川通り沿いの冷泉家の桜を見に3月22日に訪れてみました。極寒の戻りのせいでしょうか? 今年はまだ花がほんの少し咲き始めただけのようでした。
冷泉家の先祖は「小倉百人一首」の選者である藤原定家で、約800年続いて代々世襲されてきた和歌の家。秀吉が京にいた時代には冷遇をうけ地方に下向したこともありましたが、江戸時代になって徳川将軍家の庇護のもと繁栄をしました。現在の敷地は家康から贈られたものです。
明治期の東京奠都の際、ほとんどの公家衆が明治天皇に従い東京に移住しましたが、上冷泉家は御留守居役として京都に留まりました。現在の京都御苑内にあった公家町の公家屋敷は明治初期の東京移住命令により全て取り壊されましたが、今出川以北にあった上冷泉家の屋敷は取り壊しを免れました。
その結果、上冷泉家は、鎌倉時代に始まる約800年の歴史を受け継ぎながら、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫として、藤原定家筆「古今和歌集」(国宝)始め、鎌倉初期から伝わる古典籍や古文書、年中行事にまつわる道具類などの公家文化の資料を現代に伝えることとなりました。
京都御所内では、その取り壊された五摂家の一つ、近衛邸跡のしだれざくら、通称糸桜が花を咲かせていました。今年はNHKの大河ドラマで話題となっていますが、奈良時代に南家・北家・式家・京家の四家に分かれて隆盛を誇った藤原一族も、長岡京建設途中での式家の藤原種継の暗殺や平安遷都を契機に、平安時代には北家が皇室と姻戚関係を結んで摂関政治を行うようになり大きく台頭します。
その藤原北家の流れが「近衛」「鷹司」「九条」「二条」「一条」家へと別れていくことになります。近衛家は、五摂家筆頭として、近衛前久など戦国時代から安土桃山時代、江戸時代にかけて、武家政権にありながら政治の中枢で暗躍したとも言われています。昭和の初めには、3度にわたって総理大臣を務めた近衛文麿を輩出したことでも知られます。
そんな歴史の舞台となった夢の跡地で咲く花たちは何を物語ってくれるのでしょうか? いつでも自由に散策出来ますので、春の陽気に誘われて出かけてみてください!
冷泉家住宅の桜 京都市上京区今出川通烏丸東入玄武町599
京都御苑内近衛邸跡 京都市上京区今出川町(今出川通)