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『Dr.チョコレート』で10歳の天才外科医役の白山乃愛。素顔も天才的でチョコ好きなのか?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)日本テレビ

ドラマ『Dr.チョコレート』で、天才的な外科医の腕を持つ10歳の少女を演じている白山乃愛。自身が10歳の小学5年生で、昨年「東宝シンデレラオーディション」で史上最年少でグランプリを受賞。今回がドラマデビューながら、メスを握ったときの天才ぶりと普段の素直な少女らしさを、堂々とした演技で体現している。

好きな食べ物はキュウリやハムや小松菜のごま和えです(笑)

 闇の世界で「どんな手術でも必ず成功させる」と噂されているDr.チョコレート。その正体はベールに包まれたまま、代理人のTeacherこと野田哲也(坂口健太郎)が報酬に求めるのは現金1億円、秘密保持契約、そして相応のチョコレート……。

 ということで、Dr.チョコレートこと寺島唯を演じる乃愛さんには毎回、手術シーンと共に、チョコレートを食べて至福の表情を浮かべるシーンがある。10歳としてはリアルに嬉しいところ?

「チョコレートは好きで、たまに撮影でもらって帰ったりもします。でも、一番好きな食べ物はキュウリとハムとタコとスルメとカルパス。あと、小松菜のごま和えです(笑)」

 小学生にしては意外な好物が出てきたが、役に入ってない乃愛さんはとびきりの愛らしさを別にすれば、まだあどけない普通の10歳という感じ。

「友だちとは鬼ごっこや一輪車や鉄棒をして遊んでます。鬼ごっこは学校で休み時間に校庭でやっていて、廊下は走りません(笑)。クラスではダンス係で、みんなの前で踊るのが楽しいです」

 習いごとはバレエ、習字とやっていた。

「どちらもお姉ちゃんが習っていたのを見て、始めました。あと、バレエは発表会のときの衣装がかわいかったから、着てみたいなと思って(笑)」

東宝シンデレラは「ここまで来たらグランプリに」と

 『Dr.チョコレート』の3話では、唯が授業参観で「将来の夢」を綴った作文を読むシーンがあった。実際にそんな作文を書いたことも?

「作文は書いてませんけど、幼稚園のときの夢はお寿司屋さんでした(笑)。お寿司を握ってみたかったので。そのあとは女優さんになりました。テレビを観ていて、自分も出たくて。坂口健太郎さんの『婚姻届に判を捺しただけですが』も好きでした」

 東宝シンデレラオーディションは、母親が募集を見つけて応募。第1回グランプリの沢口靖子から、長澤まさみ、上白石萌音、上白石萌歌、浜辺美波らを輩出してきた登竜門で、昨年6年ぶりに開催された。

「初めてのオーディションで、グランプリは『獲れたらいいね』みたいな感じでした。だけど、1次審査、2次審査、3次審査……とどんどん進むにつれて、『ここまで来たら獲りたい!』という気持ちに変わっていったんです。でも、一緒にオーディションを受けているみんなとは、仲良くしたいと思っていました」

テストで泣きすぎて本番で涙が出なくなって

 今回のDr.チョコレート=寺島唯役もオーディションで選ばれている。

「1話の飛行機でのシーンや、手術中に泣くシーンをやりました。私のときだけ、たくさん注意されて、30分くらい時間が押してしまったんです。だから、うまくできなかったのかなと思っていました」

 どんな注意をされたのか。

「私は大人っぽい感じで作っていって、おとなしい演技をしていたんです。でも、監督が求めていたのは小さな女の子らしさで、『もっと明るく』と言われました。泣くシーンも最初はできなくて、監督が厳しく言ってくれて涙が浮かんで、『よし、行こう』となって泣けました」

 その1話の泣くシーンとは、手術していた国会議員が自分の両親が殺害された事件に関わっていたと知り、手術を止めて「パパとママを返してよ」と言うところ。自然に涙が流れたように見えたが、本番もうまくいったのだろうか。

「テストで涙を全部出し切ってしまって、本番で全然出なかったんです。Teacherが『大丈夫、大丈夫』と言ってくれて、何とか泣けました。それからは、テストでは泣きすぎないように気をつけています(笑)」

 ちなみに乃愛さん自身、普段は泣くほう?

「小さい頃は転んで泣いちゃいました(笑)。怒られたときも泣いてましたけど、最近はそういうことはなくなってきました。でも、Teacherの最後の撮影で、記念写真を撮ったときは泣きました」

ハキハキしゃべって手術中は目力を出します

 劇中、唯はハマっている韓国ドラマからの知識で、Teacherにマセたことを言ったりもするが、公園で知り合った友だちと遊ぶときははしゃいだり、チョコレートに目を輝かせて走ってきたり、子どもらしい顔ものぞかせる。

「唯ちゃんはしっかり者だから、ハキハキしゃべるように意識しています。友だちの絵麻ちゃん、美琴ちゃんと遊園地でジェットコースターに乗ったシーンは、一番楽しくて。いつもはジェットコースターは怖くて、うるさくなっちゃいます(笑)」

 一方、Dr.チョコレートとして手術に当たるときは冷静沈着で頼もしく、サポート役のオペ看護師や麻酔科医らの大人に「全員、集中!」と厳しく注意したりも。

「手術中は(マスクとキャップを付けて)目しか映らないから、目力をパッと出します。『命はひとつ。誰にも平等にね』と台詞を言うときは、お腹から声を出しています」

医療用語よりチョコレートの説明が難しくて

 唯は心臓外科医だった父親から医学の知識を教わり、手術の練習用の動画を観てシミュレーションを繰り返していた設定。乃愛さんも実際に、手術シーンの練習はしているそう。

「本物のお医者さんに教えてもらって、医療リハーサルをやってます。難しいけど、楽しくて。撮影で失敗することもあまりないかもしれません」

 手先は器用なタイプのようだ。

「あやとりは得意で、図工も好きです。粘土で動物を作ったりするんですけど、足がうまく持たなくて、すぐ倒れちゃって。家に持ち帰ったら、絶対壊れます(笑)」

 そして、「アナフィラキシー」「ドレナージ手術」など医療用語も入る長台詞も多い。

「大変です(笑)。家でお母さんと一緒に練習してます。1日1時間と決めて、30分練習したら休憩して、10分練習して……というふうに分けていて。そうしないと、頭がパンクしてしまうので(笑)。『脳幹部海綿状血管腫の切除を始めます』とか、今はスラスラ言えますけど、すごく苦戦しました。血管、血流、出血もよく間違えちゃいます」

 そう言うが、取材の場では淀みなく言葉が出てきた。その回の撮影はとっくに終わっているのに、相当練習して体に染み込ませたのだろう。スタッフによれば、現場では大人のキャストも間違えがちなところで、ほとんどNGを出さないらしい。

「医療用語より、チョコレートの説明が難しいかもしれません。4話のサダハル・アオキのボンボンショコラについて、『ビターチョコレートとフランボワーズの酸味の相性が抜群で、さっぱりとした余韻が楽しいの』がなかなか言えませんでした。でも、楽しいことだと、勉強の暗記よりすぐ覚えられます(笑)」

学校の書き初めよりは緊張しません

 初めてのドラマ撮影の現場、驚いたこともあったとか。

「ひとつのシーンをいろいろな角度から撮ったり、何回もやるから、大変だなと思いました」

 それでも、ほぼ大人ばかりの中で「あまり緊張はしません」とも。

「最初は緊張したんですけど、坂口さんが話し掛けてくださって、話しやすくなりました。(葵)わかなさんや前田(旺志郎)さんに、おんぶしてもらったりもしています(笑)」

 現場でかわいがられているようだが、手術をするときの唯のように、肝が据わっているのかも?

「学校で書き初めをしたときが一番緊張しました。習字は1年生のときから習っているので、どうしても金賞を獲って、書道の先生に褒められたかったんです」

普段は9時半に寝るけど土曜は起きて放送を観ます

 『Dr.チョコレート』の放送は、1話から家族と一緒に観ている。

「普段は夜9時半ごろに寝てますけど、土曜日は頑張って(放送が始まる)10時まで起きてます。自分がテレビに出ているのは不思議な感じがします。今までは、お母さんが撮ってくれた運動会のビデオしか、自分が映ってることはなかったので(笑)」

 録画もして繰り返し観ているとのこと。

「放送前に完パケをもらうので、まずそれをお母さんと4回くらい観て、テレビを録画したのを、また4~5回観ます(笑)」

 学校でも、このドラマのことが話題になっている。

「『命はひとつ』を言ってと、頼まれたりします。あと、『黒幕は誰?』と聞かれるので『ナイショ』と言ってます(笑)」

夏休みは沖縄に行くのが楽しみです

 ドラマはこれから佳境に入り、唯の両親の命を奪った事件の黒幕や、唯がどうなるのか気になるところ。そして、放送が終わると乃愛さんは11歳の誕生日を迎え、夏休みも近づいてくる。

「去年の夏休みは東宝シンデレラのオーディションを受けていて、終わってからディズニーランドに行きました。今年は沖縄に行きます。前も1回行ったことがあるんですけど、風邪をひいていて海に入れなくて。だから、今度は楽しみたいです」

 無邪気に話す乃愛さん。『Dr.チョコレート』でのイメージと比べると、やはり素顔は本当に小学生らしい感じで、自身も1年前と比べても「あまり変わっていません」と話す。逆に言えば、10歳でのデビュー作から、女優として役を演じ切っているわけで、シンデレラらしい素質と将来性を感じさせる。

 最後に、今「将来の夢」の作文を書くとしたら? と聞いてみた。

「長澤まさみさんのような女優さんになりたいです。かわいいし、演技がうまいし、きれいだし、スタイルがいいし。だから、私も(現在135cmの)身長が伸びたらいいなと思います(笑)」

Profile

白山乃愛(しろやま・のあ)

2012年7月11日生まれ、埼玉県出身。

2022年に第9回「東宝シンデレラオーディション」でグランプリ。放送中のドラマ『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)でデビュー。

『Dr.チョコレート』

日本テレビ系/土曜22:00~

公式HP

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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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