角度が日本最大級!江島大橋に隠された急勾配のヒミツを歴史とともに紹介
日本全国に約70万もの橋が架かっていることはご存じでしょうか。
そのなかには、一風変わった橋も存在しています。
例えば、島根県松江市八束町の江島と鳥取県境港市を結ぶ架け橋「江島大橋」です。
今回は、通称「べた踏み坂」ともよばれ、日本最大級の急勾配を誇る江島大橋の歴史について紹介します。
誕生までの秘話
江島大橋できるまで、中浦水門橋が江島と境港を結ぶ役割を担っていました。
中浦水門橋は、橋を左右から吊り上げることで船が通れるよう設計された「跳ね橋」です。
そのため、船が往来するたびに車の通行止めがおこなわれていたほか、総重量14トン以上ある自動車の通行も禁止されていました。
重量制限に引っかかった観光バスが、乗客を降ろして先に橋を通るといった光景も珍しくなかったようです。
上記のような不便さから、総事業費228億円をかけたビッグプロジェクト「江島大橋の建設案」が持ち上がります。
日本最大級の急勾配のヒミツ
江島大橋の建設工事案が持ち上がったのは、1985年12月の港湾審議会第112回計画部会でのこです。
しかし、幅25mの二車線車道と両側1.5mの歩道を完備した全長約1.4kmもある巨大橋の設置計画には多くの課題がありました。
なかでも問題となったのが、大型船の往来も頻繁である1級河川・斐伊川を跨いで橋を架けるという点です。
そこで、施工会社は「5千トン級の大型船が通過できる、最高所約45メートルの橋」の計画案を提出。
1985年12月の「江島大橋の建設案」から約12年の準備・計画期間を経て、1997年にようやく江島大橋の建設がスタートしたのでした。
現在の様子
約7年かけて工事が行われた江島大橋は、2004年10月に完成。
車のテレビCMで起用された際には、そそり立つ壁のような橋が話題となり、現在はその見た目から「べた踏み坂」とよばれる人気観光スポットとなりました。
また、江島大橋の角度は約3.5度程度と急ではなく、全長約1.7kmもの距離が相まって急な角度のように見えるのだとか。
そのため、自転車での通行も可能で、近年は江島を一望できるサイクリングスポットとしても注目を集めています。