四国IL徳島の4番は韓国から来た18歳 同期の160キロ右腕が「来年は一緒にやろう」と母国からエール
今年で発足19年目を迎える独立リーグ、四国アイランドリーグplus。同リーグの徳島インディゴソックスの4番打者はチーム最年少、韓国から来た若者が務めている。チャン・ヒョンジン、名門・ソウル高校出身の18歳だ。
チャン・ヒョンジンは高3の公式戦22試合で74打数29安打22打点、打率3割9分2厘をマーク。しかし韓国KBOリーグのドラフト直前の全国大会で振るわなかったこともあり、プロからの指名はなかった。
「進学するか、軍隊に行くか迷いましたが以前、高知(ファイティングドッグス)でプレーしたハン・ソングコーチ(元KIA捕手)に『おまえのバッティングなら日本でもやれるから、挑戦してみたらどうだ』と言われて、入団テストを受ける機会を作ってもらいました」
テストに合格し徳島入りしたチャン・ヒョンジンは、3月25日の高知との開幕戦に7番で先発出場すると4打数4安打1打点を記録。以後、徐々に打順を上げていった。徳島の岡本哲司監督(元オリックス2軍監督など)は「コンタクト力が高くて、目もいいです。3、4番を打たせてもプレッシャーに感じていないので打たせています」と話す。
チャン・ヒョンジンは身長180cm、体重84kg。低めのトップの位置からムダのないスイングを見せる左打者だ。軸がぶれない振りによって徳島入りしてからは飛距離が出るようになった。
4月30日の愛媛戦では「小学生の時以来、7年ぶりでした」と本人も驚く一発を放った。岡本監督は「ここ(むつみスタジアム。中堅116m、両翼100m)でのフリー打撃で柵越えすることもあります」と成長を口にする。
5月12日時点の成績は20試合に出場、打率2割5分5厘、1本塁打。チーム2位タイの9打点を記録している。チャン・ヒョンジンについて橋本球史コーチは「同じ投手に1、2打席目と抑えられると打てなくなってしまう」として、今後の課題に「対応力」を挙げた。
チャン・ヒョンジンの目標はKBO新人ドラフトで指名されること。そのドラフト前、8月に行われる「海外アマ及びプロ出身選手を対象としたトライアウト」で球団スカウトに存在をアピールすることだ。
今年のKBOリーグは高卒新人の当たり年。チャン・ヒョンジンの同期が1軍で活躍している。そのうちの一人、160キロの球速で注目される右腕のキム・ソヒョン(ハンファ)はソウル高の元チームメイトであり親友だ。
「独立リーグの試合は毎日ではないので、試合がない日は夕食を食べてトレーニングした後、KBOリーグの映像をネットで探すのが唯一の娯楽です(笑)。(キム)ソヒョンが投げたかハンファの試合をいつもチェックしています。ソヒョンや高校の時に対戦した選手の姿を見ると、自分も一緒にKBOリーグでプレーしたいと思いますし、自信も湧いてきます」(チャン・ヒョンジン)
一方のキム・ソヒョンはKBOリーグの1軍でリリーフを務め、クローザーとしての適性もチェックされている。9試合10イニングを投げて防御率2.70。5月12日には初セーブを挙げた。その翌日、キム・ソヒョンにチャン・ヒョンジンの近況を伝えた。
「(チャン)ヒョンジンは高校の時からいい選手です。ホームラン打ったんですか?日本の野球に合っているのかもしれないですね。1年でも早くプロ(KBO)入りした方がいいと思うのでトライアウト通過して、一緒にハンファでプレーしたいです」
ポジションはサードまたは外野手だが、チーム事情で指名打者で出場しているチャン・ヒョンジン。彼は自身の長所について「160キロの速球でもしっかりととらえられるバッティング」と答えた。
来年は160キロを投げる親友がプレーするKBOリーグへ。徳島の地で夢を抱く。