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中国は新型コロナウイルスの感染源として輸入冷凍食品を警戒

宮崎紀秀ジャーナリスト
北京の食品市場は6月に封鎖。輸入サーモンのまな板から陽性(2020年6月16日)(写真:ロイター/アフロ)

 中国の天津で、新型コロナウイルスの無症状感染者が新たに確認された。輸入冷凍食品の流通をめぐる感染連鎖の可能性に中国政府は危機感を強めている。

今度は輸入冷凍豚肉から陽性反応

 天津市の衛生担当部門は、本日9日、同市で新たに1人の新型コロナウイルスの無症状感染者が確認されたと発表した。この無症状感染者は、輸入冷凍食品を運送した47歳のトラック運転手。

 天津市では、前日、その冷凍食品の運搬などに従事していた38歳の男性の感染が確認された。この男性の行動を追ったところ、トラック運転手の無症状感染が明らかになったという。運転手に発熱や咳などの症状は出ていないが、指定病院に移送されたという。

 その冷凍食品とはドイツから輸入された豚肉。この肉については、一昨日11月7日に流通先である山東省徳洲市で行われた新型コロナウイルスの核酸検査で、包装から陽性反応が出た。この豚肉は、10月19日に天津の港で陸揚げされていたという。11月7日の検査で陽性反応が出たわけだから、少なくとも中国内に入ってからだけでも冷凍状態で20日、ウイルスは生き続けたということにもなる。

頻発する輸入冷凍食品からのコロナ検出

 中国では、感染者の増加はほぼ抑えられていると言えるが、それでも度々、輸入冷凍食品の包装などから新型コロナウイルスの核酸検査で陽性反応が出て、その度に扱った業者などに対し厳しい措置が採られている。

 6月に北京で、多数の感染者が出て、彼らが関わっていた大型食品市場が閉鎖された際には輸入サーモンを切ったまな板から陽性反応が出たとされた。最近では、エクアドルから輸入したマナガツオの包装、インド産のタチウオの包装から陽性反応が出たことが明らかになった。

天津は 「戦争状態」で対応に当たるが...

 天津で陸揚げされた豚肉は、先の山東省徳洲市も含めすでに国内の3か所に出回っていた。中国メディアは「天津が戦争状態に入った」と予防や調査に全力を上げていると報じたが、中国政府は事態を重く見たようだ。

 中国国務院、すなわち中央政府は、本日、輸入冷凍食品に関する検査や消毒を強化する通知を出した。運送に使う機器や包装を全面的に消毒するよう求め、消毒証明を提示できなければ、市場での販売はできないとした。

 一方、天津で当該の冷凍食品の輸入に関わるなどした一部地域は、10日の午前0時から危険度が引き上げられ「中危険地区」となる。中国は新型コロナウイルスを基本的には抑え込んだと言えるが、まだまだ一進一退の攻防は続いている。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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