子供へのこづかい額はこの40年でどれだけ変化したのか
他世帯の事情はつかみにくい、しかし世間全般の平均額などが気になるお金周りの話の一つ、「子供のこづかい額」。各家計のお財布事情や教育方針、周辺環境によって実情は大きな違いを見せるが、「この年頃の子供にはどれ位の額のこづかいが普通なのだろうか」と、気になる保護者も多いはず。金融広報中央委員会の「知るぽると」では毎年、家計の金融行動に関する世論調査の公開をしているが、その中にずばり該当するデータを見出すことができる。
調査対象母集団のうち、子供がいる世帯のこづかいの平均額が次のグラフ。この値には「必要に応じてこづかいを渡す」スタイルの世帯は含まれていない。定期的にこづかいを渡す世帯に限り、月ベースでの金額を算出している。
小学校低中学年で1000円近く、高学年になると1000円強、中学生で2800円程度が平均額となる。高校生では5000円強、大学生は(こづかいをもらっているとすれば)平均で2万5000円程度。先日ソニー生命保険の調査を基にした記事「小中学生のこづかい額を探る」の内容と大きな違いはない。
そしてこの値を過去のデータについて順次さかのぼり、1971年以降について推移を見たのが次のグラフ。大学生は受け取り事例が少ないのに加え、額が大きくグラフが見難くなるので省略した。
1980年にかけて一定の上昇が見られた後は、高校生以外はほぼ一定額を維持している。また小学生以前がこの2年ほど「跳ねて」いるが、多分にイレギュラーなものと考えられる。とはいえ2年連続のイレギュラーの発生も想定しにくいので、小学校以前の子供に対するこづかい面での姿勢の変化が起きているのかもしれない。
消費者物価指数は1980年後半以降、ほとんど変動していない。子供のこづかい額も中学生・高校生向けの金額は、それに大体則している形となる。一方1980年代後半では中学生・高校生で明らかに大きな減少、小学生でも小規模な減額の動きがある。いわゆる「バブル崩壊」が、子供のふところ事情にも少なからぬ影響を与えていたようだ。
高校生に限れば、前世紀末から起伏を繰り返しながら、少しずつ減少する動きが見られる。この15年間で1000円ほど減った形だ。単に親の懐事情が厳しくなっているのか、高校生が使う携帯電話の電話料金を親に払ってもらう代わりに、フリーハンドで使えるこづかいが減らされているのか。高校生の周囲環境を推し量ると、後者と考えた方が道理は通る。
大きな景気変動や高校生の携帯電話台の肩代わりと引き換えの形での減額などによる影響を除けば、子供へのこづかいはこの40年間大きな変化を見せていない。ただし、子供のこづかいの多分は娯楽に用いられていること、そして子供の娯楽における携帯電話、特にスマートフォンの立ち位置が大きくなりつつある昨今の状況を見るに、将来的には定額で手渡されるこづかいは、中高生では漸減の動きを見せることになることは容易に想像できよう。
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