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ラニーニャ終息へ 冬の天候に影響は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
ラニーニャ現象は徐々に弱まっている(NOAA Climate.gov)

2016年秋(9月)に発生したラニーニャ現象は勢いを欠く。日米豪の気象庁はそろってラニーニャが終息に向かうとの見通しだ。冬の天候への影響が不透明になり、「北暖西冷」の予想に黄信号が。

勢いを欠くラニーニャ

気象庁が9日発表したエルニーニョ監視速報によると、11月の太平洋赤道域東部の海面水温は基準値より0.6度低く、ラニーニャが続いているとみられます。ただ、先月と比べて大きな変化はなく、わずかにラニーニャを維持している状況です。

米海洋気象局も同様の見方を示していますが、オーストラリア気象局はすでにラニーニャを脱し、平常の状態に近いとしています。

いずれにしても、ラニーニャはこれ以上強まらず、むしろ弱まる傾向がはっきりしてきました。

ラニーニャの終息近いか?

監視海域の月平均海面水温の基準値との差の先月までの経過と今後の予測(気象庁)
監視海域の月平均海面水温の基準値との差の先月までの経過と今後の予測(気象庁)

しばらくは海面から水深100メートル付近にある冷水がラニーニャを支える役割をするでしょう。

しかし、海面水温は次第に基準値に近づく見通しで、ラニーニャが冬の終わりまで続く可能性は50%です。

そして、11月は赤道付近に吹く東寄りの風(貿易風)が中部で平年の状態になりました。貿易風が強いと、ラニーニャが発達するのですが、貿易風が平常に戻ったことから、ラニーニャを維持、発達させる海洋と大気のサイクルが機能しなくなってきています。

この冬への影響は?

この冬は西日本や沖縄で例年よりも寒気の影響を受けやすいとされ、その原因のひとつがラニーニャです。

この予想の根底が揺らぐことになり、この冬の天気がどうなるのか、見通しが不透明になってきました。もちろん、ラニーニャが終わってしまっても、すぐに影響が消えるわけではありません。

14日(水)午後3時の上空1500メートル付近の寒気の予想。寒気が西日本へ流れ込む。
14日(水)午後3時の上空1500メートル付近の寒気の予想。寒気が西日本へ流れ込む。

今週は一時的に気温が高くなりますが、14日(水)以降は強い寒気が西日本・沖縄に流れ込む予想です。10日は札幌で積雪が65センチに達し記録的な大雪になりました。今週は西日本でも雪の降る日がありそうです。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No. 291),2016年12月9日

米海洋気象局(NOAA):EL NINO/SOUTHERN OSCILLATION (ENSO) DIAGNOSTIC DISCUSSION,08 December 2016

オーストラリア気象局:ENSO Wrap-Up,6 December 2016

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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