ドイツ政府、ウクライナ軍にドイツ製"2in1"監視ドローン105機提供:昨年夏に次いで2回目
探知されたらすぐに破壊されるので何機あっても足りない監視ドローン
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
ロシア軍はロシア製の監視・偵察ドローン、中国製の民生品ドローンを用いて監視を行ったり、イラン政府が提供している攻撃ドローン「シャハド136」などを利用してウクライナ軍やウクライナの民間施設を攻撃している。ウクライナ軍ではアメリカ、ドイツ、イギリス、ポーランド、ラトビア、リトアニアなど欧米諸国やトルコなどから提供されたドローンや、市民らの寄付金で購入した中国製の民生品ドローン、ウクライナ製のドローンを監視・偵察や攻撃に用いている。
そんななか、2023年1月にはドイツ政府はドイツの企業のQuantum Systemsが開発した監視・偵察用ドローン「Vector」を追加で105機、ウクライナ軍に提供することを明らかにした。同社が開発した監視・偵察ドローン「Vector」は2022年8月にもウクライナ軍に提供されており、今回は2回目の供与となる。
「Vector」は戦場で兵士が数分で簡単に組み立てることが可能で、戦場から目的地の上空に向けて垂直に簡単に飛ばすことができる。上空で2時間飛行することが可能で、両翼をつけるタイプの「Vector」とトリコプタータイプの「Scorpion」の2パターンのドローンを組み立てることができる。いわゆる「2in1」タイプのドローンで、両方とも監視・偵察用ドローンで監視する場所や目的に応じて使い分けることができる。同社では動画も公開している。
監視ドローン「Vector」は大きいので上空を飛行していたら目立ちやすく迎撃されやすい。ドローンは検知したら、すぐに機能停止させられたり、破壊されたりしている。ドローンで敵の居場所や情勢を確認したら、その場所をめがけてミサイルなどで攻撃を仕掛けるので偵察ドローンはすぐに破壊した方が良い。そのため、このような監視・偵察ドローンは何機あっても足りない。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破する、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。それぞれに迎撃システムがある。
「Vector」のような大型のドローンは地対空ミサイルなどのハードキルで破壊されることが多い。ドイツ政府が2022年8月に提供した「Vector」も多くがロシア軍に迎撃されてしまい、もう枯渇してしまったから、2回目として105機を追加供与ということになのだろう。
▼「Vector」と「Scorpion」の「2in1」
▼「Vector」
▼ウクライナ軍情報部の公式SNSでのドイツからのドローン提供の報告