<ウクライナのロシア侵攻>日本も他人事ではない 考える材料になるマンガ4選
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、世界中の人々が反対する意思を表明しています。ニュースや専門家らの考察だけでなく、SNSを通じてさまざま意見が出されている中で、「状況が難しくて、よくわからない……」という人も一定数いるのではないでしょうか。そこで今回の軍事侵攻を考えるうえで、助けになるであろうマンガを4作品挙げてみます。
◇ネットで無料公開のマンガも
まず、昨年亡くなったみなもと太郎さんの歴史マンガ「風雲児たち」です。同作では、江戸時代中期、ロシアに漂流した船頭の大黒屋光太夫の話があり、その中でロシアの歴史について、ユーモアあふれる解説があります。
ロシアの近代化に貢献したピョートル大帝や、女帝エカテリーナ2世などの話はもちろん、農奴解放を訴えてシベリア送りになった貴族で思想家のラジーシチェフにも触れるなどマニアックな話もあります。個人的には、ロシアの英雄の一人であろうイェルマークの最期の描写は、不謹慎なのでしょうが笑わずにいられませんでした(マンガのオチ的に)。気になる方は是非読んでみてください。その国の考えを知るには、その国の歴史を知ることは重要なことで、理解の一助になるでしょう。
二つ目は、やり手の交渉人(ネゴシエーター)の活躍を描いたマンガ「勇午」です。同シリーズは綿密な取材を基に政治や宗教、風俗などを織り交ぜています。同作のロシア編では、ある少女をロシア国外に連れ出してほしいという依頼を受けて、主人公・勇午がロシアに入り、国家機関のすさまじい妨害を受けながら、依頼を遂行するというストーリーです。
残虐な描写もあるので、誰にもおすすめできるわけではありませんが、先の読めないしびれるような展開があります。なお同作のロシア編は、ロシアが経済的に苦しんでいた1990年代の話で、それを踏まえて読むとまた違う発見があるでしょう。
三つめは、「沈黙の艦隊」や「ジパング」などで知られるかわぐちかいじさんのマンガ「空母いぶき」シリーズでしょうか。尖閣諸島を中国海軍が占拠して海上自衛隊の空母を投入するというストーリーです。映画化もされました。
同作のポイントは、軍事力と国際政治の駆け引きを描いていることです。同時に相手を死においやる戦いでの、当事者間の心理、ギリギリの判断、ベストではない選択を迫られる事態の複雑さにも触れられていています。続編「GREAT GAME」ではロシア海軍も登場します。
最後は、ウクライナを舞台にした6話分をネットで公開して話題になった「紛争でしたら八田まで」です。同作は、豪快な女性コンサルタントの八田百合が、依頼を受けて世界各国の危険な地帯に潜り込んで、解決していくというストーリーです。ウクライナ編では、欧州におけるウクライナの立ち位置、課題などが説明されていきます。
もちろん、他にも参考になるマンガはあります。興味の持てる作品があれば、ぜひ目にされると良いのではないでしょうか。
◇日本もロシアと国境を接している
マンガは創作物ですが、知識を売りにするマンガは、専門家の監修が入ったり、資料を基にしているのが普通です。そのため、考える上での参考になるものもあります(どう受け取るかも含めて)。エンタメとして成り立たせるため、そして読者に理解させるために構造を単純化している面もありますが、基礎知識を前提とした専門書よりもはるかに理解しやすい利点もあります。そして、ロシアとウクライナの歴史や立ち位置をある程度知ることで、ニュースからもう一歩、自分なりに読み進めることができるでしょう。
そしてウクライナの悲劇は、日本にとって他人事ではありません。日本は、ロシアと国境を接しており、ロシアと領土問題を抱えており、さらに言えば約120年前には多くの兵士を失う戦争となりました。そして約80年前にも……。個人的には言うまでもなく戦争に反対ですが、戦争から目をそらして、なかったことにするわけにもいきません。戦争に反対だからこそ考えるしかないのです。
普段は読みなれてない書籍を読み、今回のニュースを急に理解するのは、相応に大変かもしれません。そんなときは、マンガをフックにして理解を深めて、アンテナを張って考え続けることは重要だと思うのです。
そして1日も一刻も早い停戦が決まることを祈っています。