「恋するフォーチュンクッキー」に見られる企業コラボレーション効果
YouTubeのAKB48の公式サイトには、企業とのコラボレーションによる「恋するフォーチュンクッキー」の動画がたくさん公開されている。
百聞は一見にしかずである。
中でも、よくその特性がわかるのがタクシーの日本交通だ。
従来のタクシー会社は走っているクルマとドライバーがすべてだ。
しかしこのPVを見るとスマートフォンのアプリ開発部署まであることがわかる。
かつての事業案内を見るよりも、会社の雰囲気が圧倒的にわかりやすい。
リクルート手法としても、こんなAKB48を踊っている会社なら…というイマジネーションもおきることだろう。
そう、見えない企業の事業部が、この楽曲効果に乗ってすべて可視化されるのだ。これは企業にとっても好ましい状況だ。
IT企業の
GMOや
サイバーエージェントも
実際に働いているメンバーのリアルな顔が見える。
そして、現場の人が踊っていることが大事だ。楽曲の楽しさと企業の職場の雰囲気がリンクして見える。
また、この楽曲ならばのコラボが、通販の
ジャパネットたかた
テレビで見える部分しかわからないが、ラジオのブースがあったり、アフターサービスなども見える。このビデオならばテレビでも流してもよいだろう。ジャパネットのあのテーマソング以外で見る印象はいつもと全く違う。
また、ターゲットとしても、最適なコラボなのが、
サマンサタバサや
テイクアンドギブニーズだろう。
20〜30代女性の働くシーンが一致している。
そして、異質ながらもユニークなのが、各自治体だ。
佐賀県
神奈川県
県知事まで踊りだす現象だ。これもその部署ごとで「フォーチュンクッキー踊ってましたね〜」と話題になっていることだろう。
これらが、すべてAKB48の公式チャンネルだ。
コラボレーションといっても、金銭的なライセンスを受けてというニオイは感じられない。
むしろ、見れば見るほど、恋するフォーチュンクッキーが耳に焼き付いていることだろう。
そして、ダンスする人となれば、何百回とこの曲を聞いて練習し、職場のみんなでひとつの日常業務でないことを連携するというプロジェクトを展開する。
さらにYouTubeのAKB48公式に採用されることにより、会社の各プロモーションビデオは、100万単位で視聴されている。たとえ、AKB48で、別バージョンを作ってもここまでのビュー数は稼げない。
おなじ楽曲なのに、他の企業が踊るとどうなるのか?という興味がビュー数を支えているからだ。
まさに、そういった意味で、真のコラボレーションといえる。
では、どうすれば、AKB48とのコラボレーションが可能なのか?
兵庫県の
猪名川町の場合
はスマートフォンだけで撮影し、それが秋元プロデューサーの目にとまり公式化されたという。
つまり、コラボの公式化は、「いい作品を作る」ことだろう。
秋元氏のAKBプロジェクトは、いろんな意味で常に斬新である。ネット上でも、いろんなチャレンジを行っているからこその現在の成果がでている。
タレントがテレビアイドルだけで終わらず、総選挙で、ひとり複数枚のCDの購入や、Gooogle+などのコミュニケーション。そして、このような楽曲の、今までは、著作権侵害や違法アップロードと言われかねなかったことに対してのアプローチにより、見事なコラボレーション効果を醸成している。
そのうち、企業名が歌詞に入る権利プレゼントなんてコラボレーションも登場するのかもしれない。
アイドルをブランド化して、企業からお金をいただくだけではなく、企業とコラボレーションすることにより、アイドルの浸透と楽曲の浸透を、幅広い層へと認知させることに成功している事例だと思う。