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流れ星☆ 後がない!?“RED ZONE”と名付けた全国単独ライブツアー開幕「こんなにウケるなんて」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BSフジ

8回目の全国単独ライブツアースタート。『RED ZONE』(危険領域)と名付けたワケ

人気お笑いコンビ・流れ星☆の恒例の全国単独ライブツアー『RED ZONE supported by ナガセスッポン養殖場』が7月27日、東京・山野ホールからスタートした。今年で8回目となる全国ツアーのタイトルは『RED ZONE』(危険領域)。色々な意味で後がない、という危機感を表しているのか、それとも振り切って今までにはないゾーンに入っていくんだと自らを奮い立たせているのか……。

このツアーについてインタビューした際二人は「それくらいの意気込みということです」(ちゅうえい)、「毎年毎年その結果がすごく重要ですが、後がないぞっていう意味もあるし『THE SECOND2024~漫才トーナメント~』も負けたし、土俵際の流れ星☆です。何とかしなきゃいけないっていう危機感の意味もあります。燃えていきます。この渾身の一撃というか今までの単独ライブツアーの中で一番面白いライブにしなければという意気込みだし、望みです」(たきうえ)と語ってくれた。

会場の山野ホールは、家族連れから若い女性までまさに老若男女が駆け付ける、流れ星☆らしいファン構成で、ほぼ満員だ。誰もが楽しめる、アミューズメントパークのような世界観を作り上げる単独ライブをこれまで行なってきた。しかし今年は明らかに“更新”されている流れ星☆ワールドを楽しむことができた。

『THE SECOND』で敗れた、かもめんたる・う大を作家に迎え、「原点回帰」をテーマに初期衝動を昇華させたネタで臨むツアー

それは原点回帰をテーマに、初期衝動や熱量をネタに加えることをテーマに、『THE SECOND』(ノックアウトステージ32→16)で敗れた、かもめんたる・う大を作家に迎え、たきうえと共に新ネタを作り上げてきたからだ。かもめんたるとは20年以上の付き合いという流れ星☆が、自分達が尖っていた時代をよく知るう大に声を掛け、当時の“熱さ”をネタに昇華させた。たきうえはう大が作家として参加することについて「作家としてキャリアを積んで評価を得てきたう大先生から見た、今の流れ星☆という食材をどう料理してくれるのか、楽しみです」と語っていた。

ツアーは始まったばかりなので、ネタバレは厳禁だが、副業芸人として度々ネットニュースを賑わせてきたたきうえの、マンション経営、太陽光発電事業などパーソナルな部分にさらに切り込んだネタや、二人のこれまでの恥ずかしい話や黒歴史をほじくり返すネタ、地元ネタ等、よりパーソナル部分に光を当てたネタが多く、大きな笑いを取っていた。もちろんこれまでもプライベート、パーソナルな部分を切り取ったネタはあったが、今回はそこをよりツッコんでくる印象だ。

もちろん今までの老若男女に喜んでもらえる流れ星☆のエンターテインメントは崩さず、そこにう大のエッセンスが入り、初期の尖っていた、振り切っていた頃の流れ星☆が顔を出している。加えて、昔からやってきているような賑やかなネタもあるし、営業でやるようなネタ、彼らなりの“ベタ”も大切にしている。それらが凝縮されていることが「原点回帰」という意味でもある。

それにしても、その動きだけで笑いを取ることができるちゅうえいの破壊力の凄さも、改めてこのコンビの強さだと実感させてくれた。この動きこそが年齢関係なく笑いが取れる最高の武器になっている。たきうえ+う大で作り上げたネタで、ちゅうえいの動きがどうなるのかも今回の見どころのひとつだ。

お笑いマニアもお笑い初心者も満足できる「ジブリのようなライブ」

客席を巻き込んだネタも進化していた。誰もが参加できる“なるほど”と思わせてくれるネタで、客席はネタに参加しながら爆笑していた。もちろん幕間映像でもたっぷり笑わせてくれる。

去年まではどちらかというと、全方位のファンに向けてのネタがほとんどで、いわゆるお笑いマニアに向けたネタはなかった。しかしこのツアーではお笑いマニアもお笑い初心者も満足できる「ジブリのようなライブにしようと思います」と、インタビューで語っていたたきうえの言葉の意味がわかった。そして「老若男女向けのネタが流れ星☆なんだと思って、もしかしてもう観なくなった人もいるかもしれないですけど、初期のネタが好きだった人にもまた観て欲しいです。色々なことを気にしないというか、エゴが強いネタも出てくると思います」と語ってくれたちゅうえいの言葉も理解できた。

初日を終えて「こんなにウケるんだっていう“いい予想外”のことが起こりました」

ツアー初日を終えた二人に手応えを聞いてみた。

ちゅうえい 最高のロケットスタートが切れました。

たきうえ 本当にウケましたね。

ちゅうえい 正直、こんなにウケるんだっていう“いい予想外”のことが起こりました。こんなにボケなしで自画自賛したことないです(笑)

たきうえ 本当だよ。なんでこいつボケないんだろって思ってました(笑)。

と、相当手応えを感じている様子だった。

ファイナルは再び東京・山野ホールでスペシャルな内容の『RED ZONE SUPER』を開催

これからさらにブラッシュアップさせながらツアーは8月3日大阪・ナレッジシアター、8月10日岐阜・下呂交流会館アクティブ泉ホール、8月17日群馬・高崎市文化会館、8月25日埼玉・大宮ソニックシティホール小ホール、8月31日北海道・共済ホールと回り、ファイナルは9月29日再び東京・山野ホールに帰ってくる。このファイナル公演についてたきうえは「全く違うというと少々語弊がありますが、全国津々浦々回って磨きに磨き上げたネタにプラス、また最後の『RED ZONE SUPER』だけのネタをやろうと思っています。ツアーをどこかで観てくれた人も、『RED ZONE SUPER』はまた別物なので楽しんでいただけると思います」と語ってくれた。

RED ZONEを超えた先に何が待っているのか――流れ星☆の一番暑(熱)くて長い夏が始まった。

BSフジ『流れ星☆ 単独ライブツアー RED ZONE supported by ナガセスッポン養殖場』スペシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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