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GoogleとAppleの地球スマホ連合のプライバシー VS 新型コロナウィルスの戦い

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Apple Google

KNNポール神田です。

□米アップルとグーグルは(2020年4月)10日、スマートフォンを使って新型コロナウイルスの濃厚接触の可能性を検出・通知する技術を共同開発すると発表した。5月に第1弾となる機能を各国の公衆衛生当局向けに提供を始める。日本でも展開する。スマホを使って感染経路を追跡する技術はすでに中国などで導入されているが、プライバシー上の課題もあり、対策が急務になっている。

□スマホの近距離無線通信規格「ブルートゥース」を活用。周辺のスマホを一定の間隔で検知し、互いの識別情報を端末内に保存する。新型コロナの感染者が見つかった場合、本人の同意を得られれば、過去14日間に蓄積した近隣のスマホの識別情報がクラウド上のシステムに送られ、濃厚接触の可能性がある人々に通知が届く仕組みだ。

□スマホの識別情報を匿名化した上で一定間隔で更新する。誰が新型コロナに感染したかはアップルやグーグルでも把握できないという。

出典:コロナ濃厚接触をスマホで通知 AppleとGoogle

Appleによると…

世界中の政府機関と保健当局は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを抑えるソリューションを見つけ、人々を保護し、社会生活を維持するために協力しています。また、ソフトウェア開発者は、ウイルスと闘い命を救うために役立つツールの開発を通じ、感染症対策に貢献しています。このような助け合いの精神のもと、GoogleとApple は政府と保健機関による感染拡大を防ぐ活動を支援すべく、ユーザーのプライバシーとセキュリティを設計の中心に据えた Bluetooth テクノロジーの利用を可能にする共同の取り組みを発表しました。

出典:AppleとGoogle、 新型コロナウイルス対策として、 濃厚接触の可能性を 検出する技術で協力

■世界のスマートフォンの合計99%のシェアのGoogle72.2%とApple27.0%のタッグ

現在の世界のスマートフォンのシェアは、GoogleのAndroidが72.2%でAppleのiOSは27.0%となっている。合計99.29%のシェアだ(2020年3月現在)。ちなみに日本でのシェアは、iOS64.4% Android35.3% 合計99.78%とiOSが逆転している。AppleとGoogleがタッグを組むことによって、もはや、全地球上のスマートフォン連合によるセンサーが機能することを意味しているのだ。

https://gs.statcounter.com/os-market-share/mobile/

■Apple Googleの『コンタクトトレーシング Contact Tracing』技術の特徴

スマートフォンのOSでは競合関係であるこの両社が相互にBluetooth技術を活用し、許可を得た(オプトイン)ユーザーに対してセキュリティによる匿名処理をおこない、新型コロナウィルスが判明したユーザーの14日間前にさかのぼり、緊密な接触(同じ位置の10メートル×10分以上)をしたクラウドに記録されたスマートフォン識別子を元に、警鐘(アラート)を鳴らすという仕組みだ。

1番の特徴はまず、許可を得たオプトインユーザーに対してのみに提供されるサービスであることなので勝手にユーザーの動きを特定しているわけではない。

2番目にBluetooth(ブルートゥース)という近距離無線通信を使うので、10メートル以内の距離にスマートフォン同士が近づいた場合のみ日時を記録する。GPSなどの居所や場所の信号は記録されない。

3番目にこのアプリやサービスには、個別のユーザー情報を持たせない。あくまでもスマートフォン同士が近接した記録のみを元に、アラートを鳴らすだけで、どこかに通報されることもない。この時点で、中国や韓国やシンガポール方式とは違いプライバシーが担保されいている。

ゆえに、自分からアプリやサービスに利用を許可をしなければこの機能が使えないという弱点を持っている。

■スマートフォンを用いた感染リンクを追跡するツールは、新型コロナウイルスに関連して中国、シンガポール、韓国が提供している。しかし、位置情報までを把握する追跡ツールであるため、非常事態とはいえ国が国民の行動を監視する構造を取っていた。非常事態になし崩し的に監視・管理社会へとつなげる意図があるのではと懸念を抱く人もいる

出典:新型コロナ感染追跡とプライバシー保護を両立 AppleとGoogleが共同開発する技術とは?

■技術的な要素よりも、安心感と危機感という心理的な2面性を併せ持つ

自分が感染者として加害者となった場合には、匿名で、感染者自分と接触していたことが、スマートフォンの識別番号を通じて、お知らせすることができるのだ。逆に感染者と接触していたこともスマートフォン同士が近距離にいた場合に、2週間前にさかのぼりアラートでお知らせされることとなる。

どこで接触したかはわからなくても、『何月何日何時』に感染者との接触があるとわかった時点で自分が潜伏期間の可能性があるかがわかる。

それゆえ、アラートがならない限り、自分の自粛が効果的だったのかがわかり、感染者と10分以上接触した可能性があればスマートフォンの警鐘からわかるのだ。しかし、日々、異常を感じることもなくがんばって『自粛』していたにもかかわらず、アラートが鳴らされたら、ショックに至るだろう。

むしろ、感染する『潜伏期間告知』である。これはこれで、ショッキングである。ならない限りは安心。鳴ったら危機感を持って厳粛に自宅内隔離を必要とされる。これは、安心感と危機感という心理的な2面性を併せ持つことになる。そのためにも、心理的にこの提供されたアプリもしくはサービスを許可したユーザーは、より第三者との接触に厳重に注意をすることにもなり、世界的にも接触率を落とすことが可能なのだ。

ただ、アラートが鳴った時点から、感染の可能性という不安は最大限に上がる…。見えないと怖くないが、新型ィルスの近接が可視化された時点でそれは恐怖に近いものとなる。

まずは、命を守るための自粛と人と接触しないことが最大の防御策であることにはちがいない。

■『コンタクトトレーシング Contact Tracing』技術のAPI提供

出典:Apple Google
出典:Apple Google

https://www.apple.com/covid19/contacttracing/

ContactTracing のFramework API 出典:Apple Google
ContactTracing のFramework API 出典:Apple Google

■第三者には個人を特定できない

出典:Google
出典:Google

□このシステムは位置情報を収集せずに済むので、プライヴァシー保護の観点からメリットがある。「(この方法なら)個人情報と濃厚接触とが、ひも付けられることがありません」と、スタンフォード大学のコンピューター科学者であるクリスティーナ・ホワイト

□このシステムではユーザーの位置情報を記録しないことはもちろんのこと、個人の特定に結びつくいかなるデータもサーヴァーに残さないとグーグルとアップルは強調している。

□このシステムの第2弾は6月のリリースが予定されている。アップルとグーグルによると、OS自体にシステムを組み込むことで、アプリをインストールせずにBluetoothを使った濃厚接触の追跡が可能になる

出典:アップルとグーグルが目指す「位置情報の追跡」は、こうして新型コロナウイルスへの濃厚接触を見つけ出す

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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