中国深圳で日本人男児が刺殺された事件 日中間に広がる衝撃、動揺、悲しみ、怒り #専門家のまとめ
9月18日、中国・深圳市で、通学途中の日本人男児が中国人男性に刺殺されるという痛ましい事件が起き、日中両国の関係者の間に衝撃や動揺、悲しみ、怒りが広がっている。なぜ、罪のない、幼い男児が殺されなければならなかったのか。
事件が発生した日は93年前、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日で、中国では「国恥日」と言われ、ナショナリズムが高まりやすい。地元警察は「偶発的事件」と発表しただけで、日本人を狙ったのかという動機は解明されていない。事件発生後、時系列にどのようなことが起きたかを以下に記した。今後の日中関係にはどのような影響が及ぶのだろうか。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
数年前から、中国の日本人学校は「スパイの養成機関だ」という誤った動画が中国のSNSで拡散されていたことがあり、今回の痛ましい事件は「起こるべくして起きたのでは……」との怒りの声もある。
中国の在留邦人は約10万人。北京や上海に次いで経済発展している深圳市には3600人以上が住んでおり、彼らの安全確保が何よりも重要だ。そのためには、中国側が犯人の動機を解明し、日本側にきちんと説明することが求められる。
6月には蘇州市で日本人母子が襲撃され、かばった中国人女性が亡くなる事件も起きたばかりだが、中国国内では情報統制が敷かれており、事件に関する報道はわずかしかない。在日中国人が日本での報道などをシェアする形で中国側にSNSで発信しているが、多くは削除されており、大半の中国国民は、この事件を知らないままだ。
逆に、中国のSNS上では、事件を知った人が揶揄するようなコメントも投稿されている。しかし、深圳では、事件を知った地元の人々が、日本人学校に献花に訪れており、その数は1000件を超えた。在日中国人の間でも、有志が集まってろうそく集会を行うなど、悲しみが広がっている。亡くなった男子児童は、父親が日本人、母親が中国人のハーフで、動物好きの活発な子だったという。
中国は日本産水産物の輸入措置を段階的に解除すると発表したが、このままでは、ますます日中関係は冷え込むことが予想されるのではないだろうか。一部企業は帯同していた家族の一時帰国などを検討しており、駐在員を減らすという動きが起きる可能性もある。日本政府には毅然とした対応を行ってほしい。