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ドラフト2位・小野投手 まず鳴尾浜で“公式戦初登板”《4/13 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後、記者陣の取材に応じる小野泰己投手。

きのう4月13日に行われたウエスタン・ソフトバンク戦(鳴尾浜)で、阪神のドラフト2位・小野泰己投手(22)が先発しました。公式戦はプロ初登板初先発ですが、4月2日のウエスタン・広島戦(由宇)でも3イニングを投げています。ただし4回表の途中で降雨ノーゲームとなったため記録に残らず。さらに翌週の中日戦も雨天中止で、これが3度目の仕切り直しだったわけですね。

結果は2回までに、ヒット4本ながら3四球と3盗塁、自身の送球エラーなどで3失点。4回途中で交代しました。打線は、ソフトバンクの5安打に対し、こちらは10安打しながら1点のみで連敗。言い訳をすると…ソフトバンクの打線が重過ぎますよね。アメリカ帰りの川崎選手をはじめ、明石選手、吉村選手、城所選手、江川選手って。このカード、開幕は勝ち越しましたが、これで2勝3敗です。

《ウエスタン公式戦》4月13日

阪神-ソフトバンク 5回戦 (鳴尾浜)

ソフ 120 000 000 = 3

阪神 100 000 000 = 1

◆バッテリー

【阪神】●小野(1敗)‐島本‐高宮‐山本‐伊藤和‐柳瀬‐メンデス / 長坂

【ソフ】○大隣(1勝)(5回)-笠原(3回)‐S飯田(1S)(1回) / 斐紹

◆二塁打 森越、川崎

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]遊:植田  (5-2-0 / 2-0 / 0 / 0) .304

2]中:俊介  (4-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .429

3]右:板山  (5-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .169

4]一:陽川  (4-1-0 / 3-0 / 0 / 0) .254

5]三:キャン (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .500

〃打三:大山 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .190

6]左:狩野  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .333

7]二:森越  (4-3-0 / 1-0 / 0 / 0) .273

8]捕:長坂  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .208

9]投:小野  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .000

〃投:島本  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:小宮山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

〃投:高宮  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:山本  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:緒方  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .269

〃投:伊藤和 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:柳瀬  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:今成  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .233

〃投:メンデ (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

小野 3.2回 98球 (5-5-5 / 3-2 / 4.91) 149

島本 0.1回 4球 (0-0-0 / 0-0 / 3.12) 137

高宮  1回 13球 (0-1-0 / 0-0 / 3.00) 137

山本  1回 10球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 134

伊藤和 1回 21球 (0-0-1 / 0-0 / 0.00) 143

柳瀬  1回 12球 (0-2-0 / 0-0 / 1.35) 145

メンデ 1回 12球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 156

試合経過

まず小野は1回、川崎への四球と明石の内野安打で無死一、二塁とします。続く真砂の投ゴロを捕って二塁へ。しかしこれが悪送球となり、川崎を還しました。その裏、打線が植田の中前打と俊介の左前打で無死一、二塁のチャンスを作り、2死後にキャンベルが右前タイムリー!すぐに追いつきます。

初タイムリー、キャンベル選手。この写真は12日の初打席です。
初タイムリー、キャンベル選手。この写真は12日の初打席です。
今回はムネリンを見に来られた方も多かったでしょうね。
今回はムネリンを見に来られた方も多かったでしょうね。

ところが2回も先頭・城所に四球を与えた小野。釜元の左前打のあと重盗を決められ、9番・高田の左犠飛で勝ち越しを許します。川崎の投ゴロ(三本間で釜元を挟殺)で2死、でも二塁へ進んだ川崎が明石のセカンド内野安打で一気に生還。真砂も右前打と盗塁で2死二、三塁とピンチは広がりましたが、吉村を空振り三振に仕留めて終了。

3回は先頭の斐紹を振り逃げ(三振と暴投)で出し、二盗されたものの無失点。アウト3つとも三振です。4回は初めて先頭を打ち取りますが、川崎に右翼線二塁打を浴び、連続四球(この間に長坂の捕逸あり)で1死満塁…。投げたあと右足を伸ばす仕草に、高橋投手コーチとトレーナーがマウンドへ行くも続投。そして吉村を空振り三振に切って取ったところで降板しています。

代わった島本が斐紹を左飛に打ち取って3者残塁。以降は5回の高宮、6回の山本がピシャリ!7回の伊藤和は2死から四球を与えましたが、長坂の盗塁阻止。8回の柳瀬、9回のメンデスもきっちり三者凡退!6投手が揃ってノーヒット、3人ずつで片づけるという完ぺきなリリーフでした。

逆に、阪神打線は毎回ランナーを出しながら点が入りません。2回は先頭の森越が左翼線二塁打、3回はまた先頭の俊介が四球で出塁しながら無得点。4回はこれまた先頭の狩野がサードのエラーで出て、森越の中前打、長坂が犠打でキャッチャーの失策を誘い(犠打失策)、無死満塁!しかし後続を断たれています。5回は陽川の左前打のみ。

6回は先頭の森越が3安打目の中前打を放つも併殺など3人で終わり、7回は植田の内野安打と俊介の右前打で無死一、二塁としたのですが板山のバント失敗もあって0点。8回は2死から長坂が左前打しただけ。最後の9回は飯田の前に三者凡退で試合終了です。

“ストレートの力”は評価

試合後、掛布監督は取材のテレビカメラとともに引き揚げてきました。まず小野投手に「いい球を投げようという気持ちは伝わるんだけど、体と気持ちがバラバラで、うまくコントロールできなかったかも。フォアボールを出してしまって、リズムをつかみきれなかったね」と分析しています。

でも開始直後の第1球で、最速の149キロをマークした真っすぐの威力はさすがで「3失点という形で終われたっていうのは、彼のストレートの力じゃないかな」と監督も評価していました。「ゆるいボールを覚えるとストレートが生きるだろうね。あの (かなり粘られていた) ファウルも、今度はバットが空を切ると思いますよ」

ただし3回以降はぐっとスピードが落ちた点を聞かれ「2回で60球いってたからねえ。足もつってきたみたいだし。ブルペンじゃない、バッターとの勝負で、投げ急ぎもあったかなあ」と掛布監督。最後は「いい経験したと思う。だって、タテジマを着て投げるのは初めてでしょう?まあ次回ですね」と期待を込めての言葉でした。

また、これが2試合目でタイムリーも出たキャンベル選手について「きのうに比べるとスムーズに打っていた。だいぶ良くなっていると思います。いい手応えがあるでしょう。体の状態をみて、打席は増やしていきます」とのこと。9回1イニングをビシッと締めたメンデス投手には「どっしり感が出てきたね。おもしろいよ」と、嬉しい驚き?の表情です。

次への課題は、入りと平常心

小野投手は、野手陣やコーチよりも遅く、一番最後に引き揚げてきました。まず「1回、2回と先頭を四球で出してしまい、失点に絡んでいるのが課題です。3回からはしっかり落ち着いて投げられたと思う。変化球でも空振りやファウルを取れたので。3回以降のピッチングを1回からできるよう、入り(はいり)をしっかりやるという課題もあります」と初登板を振り返っています。

試合で投げてこその課題。次の小野投手に期待しましょう!
試合で投げてこその課題。次の小野投手に期待しましょう!

反省する立ち上がりについては「きのうの試合で(相手が18安打も)打っていたから、気持ち的にちょっと力んだところはあった。打たせて取ろうとと考えたけど、ああいう結果になって…」と、ルーキーらしい言葉。そして「力まずに投げることが大事だと思います」と続けました。この日投げた変化球はスライダーとフォークがほとんどで、カーブは1球のみ。「ブルペンでスライダーとフォークの感じがよかったので」

試合になると、クイックや牽制なども大切ですね。「盗塁(計4つ)をされているので、そこらへんをしっかり技術アップしていけるよう、普段から練習したい」。途中で右足がつったみたいで?「はい、急に。初めてです。そんなに痛みは大きくなくて、つるかな?というくらい」だそうで、大したことがなくて何よりです。

武器である真っすぐのキレや伸びは、初めて見た鳴尾浜のファンを魅了したのではないでしょうか。その真っすぐで追い込んだ場面があったし、打ち取った当たりも多かったと思います。でも真っすぐの手応えを聞かれ「きょうはまだ抜けていたボールが多かったので、もっとゾーンに力強く投げ込めたら」と答えた小野投手。その伸びしろにも期待大ですね。

3安打で存在感!森越選手

1得点ではありますが10安打した阪神打線、その中で森越選手は二塁打を含む3安打を放ちました。大当たり!と声をかけたら「たまたまですよ」。いつも同じ答えですねえ。「7番だったので、チームバッティングを考えるより自分のバッティングをしてくれていいと試合前に言われたこともあって、すっきりと打席に入れました」

4回の右前打(ライトとセカンドの間にポトリ)はラッキーヒットと森越選手は言います。でも6回の3本目は、代わったばかりの笠原投手から「変化球を待っていて、真っすぐ、真っすぐと来た。簡単にアウトにならず、ピッチャーに1球でも多く投げさせようと思っていたし、終盤に入っていたので、先頭で出ることを考えて」と2つ変化球を見送り、5球目の変化球をセンター前へ運んだものです。

試合後、ランニングをしに行く森越選手。何か話しかけられて、満面の笑みでした。
試合後、ランニングをしに行く森越選手。何か話しかけられて、満面の笑みでした。

「早い段階で2本出たことが、3本目につながったかな」。左翼線二塁打、右前打、中前打と広角に放った3安打です。ことし何か変えた点はありますか?「うーん、足を上げなくなったことですかね。遠くへ飛ばすのは陽川らがいるので、出塁するとか数多く投げさせるとか、ボールに対して無駄な動きをせずに、ということをキャンプの時から考えてやっていました。今後も続けていきます」

守備で注目されることが多い選手ですけど、ことしは2月の安芸キャンプから快打を見せてくれている森越選手。一緒に自主トレをした大和選手と、1軍で二遊間を守るところも見てみたいですね。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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