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薄毛に悩む男性必見!低出力レーザー・LED療法の効果と安全性について皮膚科医が解説

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
Ideogramにて筆者作成

今回は、男性型脱毛症に対する低出力レーザー・LED療法の有効性について、最新の研究結果をご紹介いたします。

男性型脱毛症は、男性ホルモンの影響により頭髪が徐々に細く短くなり、抜け毛が増える疾患です。多くの男性を悩ませるこの脱毛症に対し、低出力レーザー・LED療法(LLLT)が効果的である可能性が示されました。

LLLTは、低出力のレーザーやLEDを用いて頭皮に照射する治療法です。この療法が毛髪の成長を促進し、脱毛症の改善に寄与することが期待されています。

【研究結果からみるLLLTの有効性】

Dermatologic Surgery誌に掲載された研究では、男性型脱毛症患者2,930名を対象に、LLLTの効果が検証されました。その結果、4~26週間のLLLT治療により、プラセボ群と比較して毛髪密度の有意な増加が認められました(95%信頼区間0.93-1.71、p=0.000)。

治療期間別に見ると、20週未満の治療で効果量が1.14(95%信頼区間0.51-1.78、p=0.000)、20週以上で1.44(95%信頼区間0.97-1.91、p=0.000)と、いずれも有意な改善が示されました。

この結果は、LLLTが男性型脱毛症の治療選択肢として有望であることを示唆しています。ただし、他の脱毛症における効果は明らかでなく、頭皮以外の体毛への影響も不明です。

【LLLTの皮膚への影響と安全性】

LLLTは、頭皮に対して非侵襲的かつ低コストな治療法と考えられます。皮膚の炎症や傷害のリスクが低く、副作用の報告も少ないことから、比較的安全性の高い治療法と言えるでしょう。

ただし、LLLTの機器は様々な設計や波長、使用方法があり、これらの違いが治療効果に影響する可能性があります。また、他の脱毛症治療薬と併用している患者が多く、LLLTの単独効果を評価することは難しい状況です。

【今後の展望と課題】

LLLTは男性型脱毛症の有望な治療選択肢ですが、他の脱毛症に対する有効性や、より詳細な治療条件の検討が求められます。頭皮以外の体毛への影響や、脱毛以外の皮膚疾患への効果なども明らかにしていく必要があるでしょう。

今後は、大規模な比較研究を通じて、LLLTの最適な機器設計や波長、使用方法を確立していくことが重要です。同時に、皮膚科医による適切な診断と治療方針の選択が、患者の皆様の満足度向上につながると期待されます。

参考文献:

Perez SM, Vattigunta M, Kelly C, Eber A. Low-level laser and LED therapy in alopecia:

a systematic review and meta-analysis. Dermatol Surg. Published online October 15,

2024. doi:10.1097/DSS.0000000000004442</document_content>

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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