韓国の子どもたちが「コロナの一番えらい人」に聞いたこと。「コロナは どれくらい ちいさいですか?」
トップも思わず笑った
冷静沈着に事態を説明し、時に熱い言葉で韓国国民をリードする。そんな姿を米ウォールストリートジャーナルが「英雄」と称した。
今年1月以降、韓国で時の人となっているソウル大医学部卒の「コロナのトップ」が思わず笑った。会見時に「誕生パーティをやったらだめですか?」という質問が飛んだのだ。韓国政府のチョン・ウンギョン疾病管理本部が4月29日、「こども特別ブリーフィング」に臨んだ際の出来事だ。
連日、14時から行われる記者会見(現在はリモートで開催)のうち、4月29日(韓国の大型連休前の最後の平日)に時間を取り、ふたりの専門医とともに登壇。動画で送られてきた子どもたちからの質問に答えた。韓国も5月5日がこどもの日なのだ(日本の「端午の節句」とは由来が別)。
子どもの質問はストレートで、意外と本質を突くことは多くある。また、日本国内での関連の議論が煮詰まるなか、外国でのやりとりがスッと頭に入ってくるということも多いのではないか。そこでは「子どもらしいかわいらしさ」と「大人顔負け(外国との事例と比較)」のやりとりがあった。質問はじつに15個届いた。少し長いが、ノーカットでお伝えする。
コロナウィルスのサイズを髪の毛と比べると?
Q1 こんにちは。僕は小学校2年生のユ・ウンホです。新型コロナはどれくらいちいさいですか? 病気の名前は誰が作ったのですか?
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部小児科学教授)
私たちの目に見えないほどすごく小さいサイズです。顕微鏡か、ふつうの顕微鏡よりも小さいものが見える電子顕微鏡が必要なサイズです。どれくらい小さいかというと、いっぽんの髪の毛の太さの約2,000分の1くらいです。
新型コロナという病気の名前は、「世界保健機関」という国際機関がつけました。私たち全人類の健康の世話をする国際機関です。「コロナウイルス」と呼ばれるウイルスの新しいものが2019年に流行し始め、その年の名前をつけて「コロナウイルス感染症-19」としました。それをもう少し簡単にいうため「新型コロナ」といいます。
Q2 こんにちは。私は象さん幼稚園青組のイ・ソウンです。コロナはなぜかかりますか? かからないためにはどうすればいいですか?
(キム・イェジン成均館医大 三星ソウル病院 小児青少年科教授)
いま、ソウンが聞いた「コロナはなぜかかりますか?」ですが、すでに子どもたちもたくさんの説明を聞いてよく知っていると思います。
このウイルスは、空気中に浮いているか、または物の表面にくっついていることがあります。だから、私たちが息を吸ったり、手にウィルスがついている時に目や口に触るとウイルスがからだに入ってきたりして、かかります。
だから、かからないための答えもここにあります。
いちばん大事なのは、手をよく洗い、きれいにすることだと思います。だからソウンも、外に出て帰ってきた時、トイレに行った時、ご飯を食べる前によく手を洗ってくださいね。
子ども用のマスクもあるので、人が多い場所に行く時にはつけてください。もしマスクがなくて、せきをするときには、服の袖口に口をつけてゴホンゴホンとしてください。
こういったことをしっかり守れば、かからないようにできるのではないか。そう思います。
Q3 友だちと誕生日にパーティーをしたらだめですか?
(キム・イェジン成均館医大 三星ソウル病院小児青少年科教授)
子どもたちにとって、誕生パーティーはとても大切ですよね。でもいまは、学校にも行かず、また友人同士も会えず、ほんとうに好きな友人の誕生日をお祝いできず、そして自分の誕生日にも友だちを招待できないから、残念ですよね。
今しばらく、新型コロナが流行している間、注意が必要です。だからお互い会えないけど、このコロナウイルスが流行していない時期が来ればいくらでも会えると思います。しかし今のところは、新しい考え方をしましょう。映像で誕生日のお祝いの歌を歌ってあげたり、互いに映像で会ったりして、パーティーをしましょう。来年も再来年も、コロナウイルスが退けば、その後も、誕生パーティーはできると思います。
子どもも大人もかかる理由は同じこと
Q4 新型コロナにかかると、手術をしないといけませんか?
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部小児科学教室教授)
本当にかわいい質問です。幸いにもコロナウイルスにかかっても、手術をすることはあまりありません。だから心配はしなくても大丈夫ですよ。
ただし、コロナウイルスにかかると、熱が出て苦しくなって、せきやたんが出て、おなかの調子が悪くなるときもあります。
そうなったら、お医者の先生から熱が下がる薬をもらうか、あるいはせきが出なくなる薬をもらいます。
だから手術の心配はしなくてもよさそうですが、入院することはあります。本当に時々、子どもたちの中でもすごく苦しくなる時があるんですよ。そうなったら、それぞれの状態に合わせて入院したり、必要な治療を受けたりましょう。
Q5 こんにちは。私は小学校4年生のユンギョムです。子どもが新型コロナにかかる確率は大人より低いでしょうか?
(キム・イェジン 成均館大学医学部/三星ソウル-ボンウォン小児青少年科教授)
この点について、子どもが聞きたくなるのは確かでしょう。
大人だって、はるかに子どもの患者数が少ないことをニュースで知っていると思います。
その理由は、まだまだデータが少ないためにはっきりとしたことは言えません。
ただし、このウイルスは、最初に大人に広まったことは確かです。大人が子どもよりもはるかに多くの社会活動をしていて、会う人も多いから、先に広がったようです。はっきりとしたデータはまだないのですが、先生としては「子どもも大人と同じようにかかる」と個人的には考えています。
ウイルスは空気のなかにあって、私たちの体の粘膜に触れて感染することは子どもも大人も同じです。だから大人と同じように、子どもたちみんなも、人々が多いところに行く時には注意してください。マスクをして、手をよく洗って、咳をするとき袖口で口を覆う。「個人衛生」を徹底的にやってください。
Q6 こんにちは。私は小学6年生ユンリンです。私が新型コロナで気になる点は、なぜ一部の人には症状があり、一部の人にはないのかということです。そして私もときどき咳が出て、熱っぽくなる時があります。それがコロナかどうか自分で確認する方法はありますか?
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部 小児科学教室教授)
いま、とても大切な二つの質問が出ました。
一つは、先生自身も非常に気にしていることです。私も本当に答えを知りたいような質問です。コロナウイルスに感染した時、ある人は無症状である場合があり、ある人は体が辛くなって、集中治療室に入院して、まれに死亡する方もいます。
この違いが出る理由が何なのか。新しいウイルスであるため、私たちは、正確にそれを知っているわけではありません。
ただし、これまで知られているものでは、重要な二つのポイントがあります。年齢が高いお年寄り、つまりユンリンのまわりのおじいちゃん、おばあちゃんはコロナウイルスに感染しましたらすごくつらくなることが多いです。年齢はとても重要です。
一方で、子どもたちは、年を取っていないぶん軽く済むことがありますが、安心しないでください。
なぜなら、子どもたちもひどくなりうるというような報告があるからです。繰り返しになりますが、このウイルスが新しいものです。誰も
一度も会ったことがないのです。誰もこれに対する「免疫」がまったくありません。ひどくなくても、誰しもが気をつけなければなりません。
そして年齢に関係なく、特定の病気を持っている方がいます。たぶん子どもたちはよく分からないでしょうが、かかりやすい病気ではあります。高血圧とか、腎臓病とか、糖尿病です。このような病気を持っている方は、年齢に関係なく、コロナウイルスに感染すると、症状が重たくなることが多いです。
だからご家族でこのような病気を持っている方がいる場合は、このウイルスにかからないように、家族全員が気をつけてください。
そして二番目の質問です。果たして、咳や痰、熱があるとき「ああ、この症状がコロナだ」とぴったり確認できるのか。特定の症状があるのか。今のところは「必ずコロナだ」と答えられるような特定の症状がまだありません。だから風邪の症状や熱があれば、その後にコロナだと分かる可能性があるので、非常に注意しなければなりません。その症状を他の人が広がったりしないように、私たちはすべての注意が必要になります。
「学校再開」についてシンガポールの事例との比較も
Q7 新型コロナワクチンや治療薬はいつ頃できますか? 本当に2年以上かかりますか? ワクチンが開発されると、インフルエンザの予防接種のように、毎年注射が必要ですか?
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部 小児科学教室教授)
これもまた、とても大切な質問です。今、コロナウイルス感染症と戦う私たちに必要なものはそして「治療」と「ワクチン」です。もちろん「ふだんの生活で気をつけること」を行った上でのことです。
だから今、韓国だけでなく、世界的に多くの科学者やお医師さん、研究者が「治療」と「ワクチン」を開発しようと努力しています。しかし新しいウイルスなのでまだ、まだ効予防効果がある治療薬とワクチンが開発されていません。
ワクチン、または治療剤が開発されると、専門家は二つのことを必ず証明しなければなりません。
まずは効果があってこそのことです。そして多くの人に投与されるため、安全でなければなりません。この二つのことを証明するためには、専門家は「少なくとも1年はかるのではないか」とか「あるいは平均18ヶ月程度は必要だ」と言っています。その期間中、私たちはサッカーに例えるならば、守備をしなければならないのです。
まだ治療とワクチンはありませんが、私たちはしっかり守備をやって、ウイルスが私の体に入ってこないように努力をしてなくてはなりません。
新型コロナに対するワクチンが開発されても、インフルエンザの予防接種のように毎年打たなければならないかまではまだ分かりません。またワクチンの効果がどのくらい持続するかもまだ分かっていません。開発されたワクチンの効果が証明された後に分かることです。
韓国サッカーの英雄・パク・チソンも疾病管理本部公式You Tubeに出演し「正しい手洗いの方法」をレクチャー。
Q8 シンガポールで学校が始まり、その後感染者が増えました。学校が始まったからですか? 韓国で学校が始まった後、子どもたちが守るべきルールは何ですか?
(キム・イェジン 成均館医大三星ソウル病院/小児青少年科教授)
高学年だからでしょうか。国内だけでなく、外国の状況にも関心が高いようです。シンガポールでの学校始業後に感染者が増えたことには、いくつかの複合的な理由があると思います。
もちろん始業をしつつ、人々の動きが増えてきて、複数の人が集まるようなこともあるでしょうが、これ以外のシンガポール国内の感染に関連する事情が重なったからだと思います。従ってシンガポールで起きたことが韓国でも同じように起きるかどうかはまだよく分かりません。
次いで始業後に子どもたちが気をつけるべきことです。これを子どもたちがこれを守ってくれれば、社会全体でもより状況がよくなるのではないか。そう思っています。
結局はさっき申し上げたように、手の洗浄をよくやり、咳をしたときに口元を覆い、マスクを使用すること。個人個人が衛生管理をすることが非常に重要です。
もしかしたら私たちは自分に症状が生じたときにどうするかを多く考えているのかもしれません。「これがコロナの症状か」「熱が出た」「首が痛む」「咳が出る」などです。子どもだったら大人にどう伝えるか、家で治療をしているとますます苦しくなるのか、などです。
そうならないために、まずは予防を考えることです。その次に子どもは大人に早く体がおかしいと思ったら伝えることです。
(チョン・ウンギョン 韓国政府疾病管理本部長)
少し補足説明をいたします。いま心配したように、シンガポールではとても感染症の管理をうまくやり、学校も始まりました。しかしすぐに患者数が再び多く増え、学校も門を閉じ、それだけではなく、多くのお店もお休みにする強力な措置を取っています。
シンガポールの場合も、最近最も感染者が多く生まれているのは、主に外国人労働者が集団生活する寮です。そこから大規模な流行が広がり、一日に1000人近い患者が生まれることもありました。
このウイルスの流行のはじめのころ、シンガポールでは幼稚園で感染が広がりました。これは幼稚園の子どもたちの間で流行があったわけではなく、幼稚園の先生たちと親が外国旅行に行って、その外国で感染した結果、帰国後に園での集団発生を生んだのです。
いま、学校を始業すると、複数の人々が出会うことになり、また人と人との距離が確保しづらくなるかもしれません。それをできるだけ防ぐような処置を今、考えています。
司会者より:今、YouTubeでも多くの方がご覧になっています。もし質問があれば、YouTubeでも質問いただければ。現場の専門家の方々は詳しいので今すぐ聞いてみましょう。ご覧の方は、コメントしてください。
次の質問お願いします。
Q9 こんにちは。私はお前小学校3年生ユ・ジホです。私新型コロナに気になる点は、友だちが新型コロナにかかったのですが、友だちの近くですごしてはいけませんか?
(キム・イェジン 成均館医大/三星ソウル病院小児青少年科教授)
ジホくんのような心配はみんなも持つものでしょう。また実際に近くの人がコロナにかかっていなかったとしても、今ニュースなどでとても多くの人がコロナの話をしていたり、周辺の大人も心配したりしているので、思うことはたくさんあるでしょう。
その後、新型コロナにかかった友だちがしっかり回復して、退院もして、自宅で十分な時間を過ごした後、特別な問題がないことが確認された場合、友だちに会ってもいいと思います。
ご存知のように、今、韓国にとても多く、1万人以上の患者の感染が確認されていますが、そのなかにまた、信じられないほど多く、数千人の人々が治療を受けて回復しました。隔離解除、といいます。
ですから、ジホくんの友だちも新型コロナにかかって苦労したけれど、しっかり治して、他の人に移さないと分かったらしっかりと会って、慰めてあげましょう。
(チョン・ウンギョン 韓国政府疾病管理本部長)
友だちが新型コロナに感染したとのこと。残念ではありますよね。でも退院したのなら、保健所や病院が「もう感染させない」と確認したということなのです。だから会える時というのはもう、移らないということなのです。いじめたり、ひとりぼっちにさせたり、避けたりせず、いま先生が言ったように慰めて暖かく迎えてあげましょう。
”新一年生”からの質問「がっこうに行って気をつけることは?」
会場では司会者から「Youtubeを通じてリアルタイムに質問を」との呼びかけがあった。すると、今年小学校に入学をする「イェジュンくん」からの質問が入った。
Q10 学校に行く時、なにを注意したらいいですか?
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部 小児科学教室教授)
おそらくイェジュンくんの保護者の方が質問したのでしょう。
学校生活を今まさに開始しようとしているイェジュンくん。今年の場合は、過去の小学校1年生の日常的な学校生活とは全く異なる新しい1年生の生活を始めることになりそうです。
以前はマスクをしなくてもよかったし、登校する時も母親や友だちの手をつないで登校をしたはずなのに、今はそれもありません。
友だちと一緒に遊ぶ時も、マスクのほか、手洗い、咳のマナーを考えなければいけません。これらが新型コロナ感染を防ぐための重要な生活習慣です。これは今回のウィルスがなくともとてもよい健康の習慣、よい習慣です。学校で教わるであろうことを、ぜひご家庭でも習慣づけられるよう助けていただきたいです。
(チョン・ウンギョン 韓国政府疾病管理本部長)
私が少し補充してお答えします。おそらくイェジュンの立場では、はじめて学校に行くことに対してときめきも多かったのではないでしょうか。お母さんも新しいカバンや、靴を揃えたのではないでしょうか。しかし今は家にいます。すごく苦しいのではないでしょうか。
いま、先生がおっしゃったように、新しい健康習慣を育てることが非常に重要です。手の洗浄、マスク、そして子どももまた、ソーシャルディスタンスが必要。
ある程度の距離を置くこととは、つまり身体的な接触も避けなければならないということです。子ども同士じゃれあって遊ぶのは当たり前のことですが、しばらくは我慢が必要です。
しかし、これらの対策のうちいくつかはこの先、インフルエンザや風邪、下痢を防ぐためにも重要な健康習慣です。
従ってそのような部分を家でもよく訓練し、初めて学校に行く際に習慣化されていることが望ましいです。これはご家庭のお母さんにもお願いしたい部分です。
ブリーフィング時の様子/韓国政府公式You Tube
Q11 コロナは無くなりますか? 今より新しいコロナは生まれますか? そして今より新しいコロナが生まれた時、どうしたらいいですか?
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部 小児科学教室教授)
「コロナウイルス-19」が果たして無くなるのか。また無くなるとしたら私たちが期待するように速く、この世界から無くなるか。この点については実際のところ、私たちはよくわかりません。
分かっていることはこのウイルスが非常に多く、世界的に流行しているということです。その大きな流行をできるだけ少なくするようにすごく頑張って努力をしています。
いま、予測できることはこのウイルスが夏と初秋を過ぎたあとに戻ってくるだろうということです。だから私たちは子どもたちみんなに「無くなります」という答えは言えません。
大人を含めて世界中のみんなが努力をすれば、被害を一番少なく抑えられると考えています。
“今より新しいコロナ”が生まれるでしょうか。過去には2009年に「新型インフルエンザ」が流行りました。韓国はこれにはうまく打ち勝ちました。かなり最近の例だと2015年に「MERS」というウイルスが発生しました。これも恐ろしいものでした。私たちが多くの努力をした結果、最終的には生き残ることができました。なぜこんな話をするかというと、しっかりとした対策を立てれば勝ち抜ける。この自信をもって、心配を減らしてほしいからです。
この先も新しいウイルスが、実際に現れることはあります。どんな姿で来るのかは分かりません。今回得た経験と対処方法を活かし、そして健康的な生活習慣を続けること。そうすれば恐ろしいウイルスが来たとしても、私たちはある程度立ち向かえる。そう考えています。
(司会者)もうひとつ、You Tubeから質問が入りました。
Q12 コロナにかかると体に跡が残りますか?
(キム・イェジン 成均館大学医学部/三星ソウル-ボンウォン小児青少年科教授)
跡が残ることはありません。新型コロナウイルスが呼吸器に入り、熱が出たり咳が出たりすることはありますが、体に傷が残るとか、肌の色が変わるといったことはありません。
ただし、体のなかには「跡」が残ります。傷ではありません。悪いことでもありません。
ふつうはウイルス感染にかかった後に回復すると私たちの体はウィルスに会ったことを覚えます。「免疫細胞(めんえきさいぼう)」と言います。
そのウイルスに出会って戦い、生き残った後、血液中でそれが活躍することがあります。「免疫抗体(めんえきこうたい)」「免疫反応(めんえきはんのう)」ともいいます。これは外からは見えません。それが何かの「跡」だとすれば、そういうことも出来ます。
感染者や家族への慰め方「誰もせいでもないと考える」
(司会者)二つ、お父さんお母さんから似た質問が入っています。
Q13 コロナにかかった人に「どうやって慰めたら失礼がないでしょうか」(ガウンさん)「近くに感染した人や家族がいたとして、親は子どもにどうこれを説明したらよいでしょうか」(ムン・ヨンドクさん)
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部 小児科学教室教授)
このコロナウイルスは、今、この場にいる専門家たる私も感染しうるものです。繰り返しになりますが、新たに出現したウイルスなのです。分からないことが多い。
だから「かかる」ということ自体が誰のせいにもできないのです。だから、今ある情報や資料をもとに「多くの人が順調に回復したのだから、あなたも回復するでしょう」と励ましたり、「今は症状が出ているけど、すぐに打ち勝てる。多くの人が乗り越えているのだから」という声の掛け方がよいでしょう。
ラスト2問。「僕もそこで働きたいけどどうしたらいいですか?」
Q14 新型コロナの状況では、疾病管理本部では思わぬことがたくさんありました。いちばんたいへんだったことはなんですか?
(チョン・ウンギョン 韓国政府疾病管理本部長)
難しい質問ですね。いま質問してくれたように「思いもよらなかったこと」が、おそらくいちばん大変だったと思います。新型コロナは、世界の誰も経験したことない、非常に新しいウイルスです。最初はこのウイルスがどのように伝染するか、誰が危険で、感染するとのような症状が起きるのか、どう管理する必要があるのかが分かりませんでした。そのなかで、つねに「どうすべきか」という指針を立てて、決定するすべての瞬間が大変です。
例えば、最近も私には多くの質問が届きます。
「流行がどのようになるのか」
「ずっとこうなのか」
「それともまた大きな流行がくるのか」
「患者は何人くらいになるの」
こんなに聞いてくださるのに、答えきれないこと。これも困難です。
まだまだありますよ。
「学校はいつ始まるの」
「どの程度の状況だと、学校を始められるの」
「劇場に行くとしたら、隣と何席くらい空けないといけないの」
「誰に検査をしたら状況がよくなるの?」
「周囲の人との距離はいつまで空けないといけないの?」
「なぜ、再検査で陽性になる人が出るの?」
すべて、これは「新型のウイルス」に関する質問なので、新しい「知識」を作り出さないといけません。この方針を決めることが難しいですよね。
しかし、どんな状況でもいちばんいい選択をしないといけません。専門家などの他の人の意見を聞きつつ、科学的な知識に基づいて最良の選択をするのです。これが一番むずかしいのですが、でもこれこそが私たち疾病管理本部の役割です。科学的な決定を、根拠をもって忠実にする。この点をここからも努力していきます。
Q15 どうすれば、疾病管理の本部長のような人になれるでしょうか? どんな勉強をすれば疾病管理本部で働くことができますか?
(チョン・ウンギョン 韓国政府疾病管理本部長)
まず、疾病管理本部で働きたいという話をしてくれて、本当にありがたく思います。疾病管理本部は、とても多くの人々が仕事をしています。医師、看護師などの医療関係者。また微生物や、ウイルスの専門家。統計分析や行政の専門家。多様な分野の人々が一緒に集まって仕事をしているので、ここで働く機会は無限で多様だと思います。
今、やっている勉強を忠実に続けると、可能だと言いたいです。疾病管理本部で一緒に働けたらいいですね。
Q15「二ヶ月以上家の外に出ていません。外に出て散歩したり、自転車でびゅうびゅうと風に当たってみたいです」スンユン・大邱在住・6歳
(チェ・ウンファ ソウル大学医学部 小児科学教室教授)
スンユンはほんとうは、外に出て盛んに駆け回って遊ばなくちゃならないですよね。家の中に縛られているようでとても苦しいでしょう。私は病院に来る患者さんにいつもこう申し上げています。「複数が密集している閉鎖された空間ではなく、澄んだ空気の屋外に一人で出かけることは可能です」と。
外出をしてなにか活動をしたり、複数の人に会うのではなく、一人出て自転車に乗って外の風を感じる。出来ないことではありません。もちろんマスクは必要です。どのような空間になるか分からないので。マスクがあれば、その程度は可能だと思います。
了